久し振りの休日に渓流釣りに出かけると言ったら、イチ子さんが「特別サービスよ」と早起きしてオムスビを握ってくれた。
イチ子さんのその手付きは、ぼくの祖母のそれに良く似ている。
それを明かすと、「へぇ、そうなんだぁ」と妙に感心した口調で彼女が答える。
「それで、どっちが美味しいの?」
「おばあさんの方が、もう少しふんわり握っていたかな」
「だったら、あと三十年待ちなさいネ。アタシも年を取って手の力が抜けてきたら、おんなじように握れるかも知れないから...」
でも、その頃になれば、イチ子さんの方が、ずっと上手にオムスビを握っているようにぼくには思えるのだが...。
Dr. Hook / When you're In Love With A Beautiful Woman
最新の画像もっと見る
最近の「きみがいる時間」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2007年
人気記事