イチ子さんの捜しもの。
「ふるーいイングランドの詩集で、四六判よりも小さくて赤茶のクロス装なんだけど、どこかで見なかった? 背表紙の文字が銀の箔押しのやつよ」とイチ子さん。
「えっ? キーツとかイェイツとか?」とぼく —— いやいやいや、間違えた。イェイツは、そもそもイングランド人じゃない。
「いいえ、カウリーよ。エイブラハム・カウリー」
確か随分昔に英文学事典でお見かけしたようなお名前 —— 英語が堪能な方が読む本って、違うもんだ。
「ウ〜ン、見てない、ような気がする」
【来生たかお - あなたのように】