きみの靴の中の砂

死者からかかってきた電話





 『死者にかかってきた電話(Call for the Dead)』は、映画化もされたジョン・ル・カレのデビュー作品だが、それとはなんら関係なく、昨夜の夢で、とっくに死んだ父親から電話がかかってきた。
 晩年のろれつの回らない口調で「〇〇の上に〇〇があるから、今度来るとき持ってきてくれ」と一方的に告げられ、聞き取れないうちに切れた。

 更にその前夜、去年死んだ母親が夢に出てきて「お父さんから電話がかかってきた」と言う。きっと同じ内容だろう。
 お袋が逝ったとき、親父の私物は持たせていないから俺に持って来いということなのか。

 お盆休みに入る前に定期健診に行ったら「エコーにP波が出ているから、急にではないが、心臓が止まるかも知れない。ペースメーカーを入れる必要があるかも知れない」と言われた。どうやらプロットが整いつつあるようだ。
 親父に会って「一体何が欲しいのか」聞いてきてもいいような気になってきた。

 お盆に経を読んでもらった檀家寺の三代目和尚は、かつてお寺を継ぐのが嫌で逃亡を図った過去のある、元ロン毛のサーファーだから、経の選択を間違え、イタコでも呼び寄せたのかと疑いはじめているところだ。

 話を戻すと、両親の家は既に始末してしまっていて、今更何かをあの世まで持ってこいと言われても手の打ちようがない。死に際に確か「中華料理が食べたい」と言っていたから、まさかあの電話で「テーブルの上に(何度食べても飽きない赤坂樓外樓飯店の)鶏のモツそばがあるから、今度来るとき持ってきてくれ」と出前を頼まれたのかも知れない。




【Earl Klugh Trio - Theme from "The Deadly Affair"】

 

最新の画像もっと見る

最近の「これくしょん」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事