江戸時代の佐賀鍋島藩に伝わった藩士としてのマニュアル『葉隠』は、後世の軍人勅諭や歩兵操典、さらには今の企業の会社規則等、いわゆる総ての規則書と一線を画す。特筆されるのは、鍋島藩士としての生き方・品位にまでも踏み込んでいる点である。
例えば飲酒の心得として、
『自分の適量を良く知り、それ以上は飲まないようにする』
『酒席は公の場であると心得たい』
『飲むなら綺麗な飲み方に努める』
『飲酒にいいところはなく、病の素でもある。日頃大人しい人も飲み過ぎれば、取り乱して余計なことを言い、口論になれば本心を曝け出し見苦しい』
『酔ったときは、とにかく理屈を言わないこと』
『酔っ払ったときは、サッサと寝てしまうのがいい』とある。
そんなことは常識と思うなかれ。これに合格点をとる者など、世の酒飲みには一人もいないのだから...。