きみの靴の中の砂

ゼンマイの切れた時計

 

 

 気紛れといえば気紛れからだったかもしれない —— 二十何年前のきみを探して、散歩がてら、とうとう由比ヶ浜まで来てしまった —— 海の季節にはまだ早い、人影もまばらな午前九時。

 腰越まで続く堤防の下、波消しブロックの陰にたたずめば、今もきみの呼吸が聞こえるよう。

 人も街もみんな老いるのに、目をつぶると、なぜかきみだけがあの夏の日々 —— ゼンマイの切れた時計と暮らしているの?

 

 

【Hello People - It Wouldn't Have Made Any Difference】

 

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