初めの一歩

　

　

　表現形式は別にして世界最古の『男と女の間の出来事』について書かれたものは、紀元前700年頃に成立したと思われるホメーロスの『イリアス / オデュッセイア』まで遡り、その後に書かれた総ての恋愛文学の元とされている。つまり、わたし達が知る恋愛をテーマにした文学作品の類いは、ことごとく、その焼き直しに過ぎないと理解していい。そうと知れば、後続の文学小僧の気も楽なはず。

　誰でも小説を書こうと試みるとき、やたら大説を書こうとして挫折しがち。謙虚な構想の下、謙虚な『小説』を目差すのが初めの一歩。