明治政府が欧米にならい大陰暦から太陽暦に改めたため、それ以来暦が凡そひと月前倒しになり、私達も季節の風の肌触りをひと月早く感じなくてはならなくなった。
今、この五月は、どちらの暦でも初夏のくくりとして問題はないが、年の瀬に鮮やかな紅い実をつける南天が、今年もこの初夏に早くも白い花の蕾を膨らませはじめた。
春秋の境目は、きみの心のようにいつもハッキリしないけれど、夏冬のそれは、部屋の窓から見える南天の花と実がそれぞれに教えてくれる。
今のぼくにとって、季節は、2サイクル・エンジンの二輪車が、バタバタとせわしない音を立てて通り過ぎていくのに似ている。