きみの靴の中の砂

イチ子とヤマウズラのいち日

 

 

 秋の最初の風は丘陵地の灌木帯を抜け、開け放った窓に吹く。それは、囲炉裏に朱く燃える備長炭の煙を揺らし、またたなびかせる。

 晴れた休日、静かにイチ子とジビエを食べる。

 炉端には甘垂れと塩、唐辛子があるのみ。胡椒、にんにく、パセリ、セージ、ローズマリーやタイムなどは用いず焼くのが、猟師風というかお狩り場風というか...。何種かの山鳥を小さな掛小屋の中で食べさせるのがこの店の作法。

 イチ子とヤマウズラのいち日。

 

 
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