きみの靴の中の砂

あれから三十年以上経ったある日





 大岡昇平編求龍堂版(1972)『富永太郎詩畫集』繙読。
 昭和四十七年当時、限定八百部一万五千円のこの本は、ぼくには高価で買えなかった。
 あれから三十年以上経ったある日、そのうちの一冊が、あの頃の倍近い金額でようやくぼくのものになった。
 それ以来いつも、その詩畫集は、ぼくの寝床から手の届くところにあり続ける。


 

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