室内の温度は22~23℃を越えないように設定するのが好きだと毎年冬になるとイチ子さんが言う。湿度にもよるが、その温度だと首筋・背筋がいくらか肌寒く感じることがあって、そんな時は ------ ほとんど毎日 ------ 充分に暖房が行き届かなかった昔の欧州人のように着るもので調節しようとぼくを誘う。その方が風邪をひかないと信じているようだ。理由はわからないが確かに風邪をひくことはほとんどなくなった。
着るものは、ぼくは、お金のない貧乏大学生のように概ねフード付きのトレーナーを重ね着している。実際、大学生の頃からのものもあり、襟や袖もすり切れているが愛着があって棄てきれない。胸や背中にいろいろと書いてあるが、それを説明していると話が逸れるのでここでは触れない。二十数年前、桑港に居た頃に買ったものが多く、当時の大学生が好みそうな文言が懐かしい。話を戻す。やや涼しめに温度調節された部屋の中でトレーナーのフードを被ることはまずないが、首筋が温かいので重宝している。イチ子さんは長いマフラーを何本か持っていて、気分により取っ替え引っ替え、ゆったりと巻いて過ごすのが好きと見える。
イチ子さんは今年になってから古い原書を引っ張り出してきて、少しずつ読んでいる。ボロボロになった表紙にHenri-Pierre Rochéと書いてあるのが見えるので『突然炎のごとく』か『二人の英国女性と大陸』のどちらかだ。書名が長いので恐らく後者だろう。トリュフォーが映画化していて何度か観たのも懐かしい。
【Georges Delerue - Les Deux Anglaises Et Le Continent】
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