1964年のアメリカ。ペンシルベニア州のある田舎町にパターソン電気商会はあった。
ある日、ハイスクールを卒業して家業を手伝うガイ・パターソンのところに学生時代から知り合いでバンドをやっている友人が訪ねてきた ----- 今夜、バンドコンテストに出ることになっているのだが、ドラマーが急に腕を骨折したから、今夜だけドラムを叩いてくれないかと言う。
本来はバラードである、そのバンドの十八番の曲を、ガイは仲間を無視して、強引にアップ・テンポでドラムを叩いた。それにより乗りの良いロックンロールナンバーと化したその曲 ”That Thing You Do! (きみのすること!)” で、そのバンド『ザ・ワンダーズ』は念願の優勝を果たす。
その夜以来、市内にあるイタリアン・レストランでのライブのアルバイト、さらにシングル・レコードの自主製作を経てラジオ番組に出演、敏腕マネージャーにも恵まれ、大手レコード会社からのメジャー・デビュー、そしてテレビ出演。曲は遂に全米トップ100に初登場、☆付き第七位まで急上昇する。
ガイがあるクラブで知り合った憧れの黒人ジャズ・シンガーに言われる言葉 ----- 「長続きするバンドなんて無いんだ...」
その予言は的中、デビュー曲がチャートインしている最中にザ・ワンダーズは空中分解する。
***
人気絶頂のザ・ワンダーズがロス・アンジェルスのコンサートで『きみのすること!』を歌う場面は、同年(1964)、アメリカでツアー・デビューを果たすザ・ビートルズのワシントンD.C.でのコンサートを彷彿とさせる。
あの頃、もし、ザ・ワンダーズがアメリカに実在していたら、あのビートルズに対抗出来たかも知れないという、若い頃にミュージシャンを目指したトム・ハンクスの見果てぬ夢がこの映画の随所に見え隠れする。
原作・脚本・監督・助演・主要挿入歌の作詞作曲トム・ハンクス。1996年20世紀フォックス製作。アメリカ映画。 ”That Thing You Do! (邦題 = すべてをあなたに!)”
The Wonders / That Thing You Do!
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