きみの靴の中の砂

古いロンドン訛り

 

 

 ポートモレスビー・ジャクソン国際空港でジャンボ・ジェットを国内線の古い双発プロペラ機に乗り継いで一時間。

 そして、行き着く島の港からフェリーに揺られて半時間。

 ようやく上陸したのが、環礁に囲まれた周囲三キロにも満たない離れ小島。

 唯一のホテルも客室はツイン・ルームがたったの三つ。フェリーは一日一度か二度の往復だけだから、宿泊客を含めても、日々、島の人口が1ダースを超えることはないという。

                    

 仕事続きの合間に、幸運にも手に入った短期休暇、思い切って足を伸ばしたのだと水口イチ子がメールで知らせてきたのは、『日本の春に秋の収穫を迎え、日本の秋に春の花咲く南半球の国』からであった。

 ホテルを営む老齢の白人夫妻は、見事なまでに古いロンドン訛りで彼女をしばしば戸惑わせるという。

 

 

 

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