売却してもう無いが、亡くなった両親の家はデカイ家で部屋が余っていた。その家で、ぼくの部屋のあった二階には使っていないバスルームがあって、成人したついでにそこを暗室にして作業を始めた。
その頃、ぼくは芸術大学の文芸学科に通っていて、写真は子供の頃からの趣味に過ぎなかったが、写真を学ぶ友人が現像機材をワンステップ・アップするというので、不要なものをもらい、無いものを買ってぼくのダークルームが稼働した。元々風呂場だから電気も水も目の前に来ていて、写真学生がアパートの押入を暗室に改造することと比べたら運は良かった。