きみの靴の中の砂

果たして文学は世の中の役に立つのか

 

 

 ポール・ヴァレリーの『カイエ』の冒頭数頁は、取り敢えず暗唱できるまでとは言わないまでも、そのように繰り返し理解する価値がある。言わばカイエという船の竜骨である。

『果たして文学は世の中の役に立つのか』という重要な問題について、わたし達は、カイエの冒頭部分から早くも回答を導き出せる —— 『文学は本人・個人の役には立つが、総体的な世の中の役には立たない』。もし、それに近い形で役立つとするなら、それは『役立つと信じた無数の個人の集合体』の効果である。そこに至るに不可欠な決定版原典など存在しない。無数の個人が、無数の異なる原典を探索した結果として炙り出された原典のみ。

 

 

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