辻邦生の生前に編まれた作品集が、今、『ぼくが死ぬまでに必要だった三十冊』の選考に残っている。
鴎外以降、世に出た作家の全集は、かつて他に十数人分書庫にあったが、古書肆に買い取られて行っていないのは辻と他に詩人がひとりだけ。
辻を残した理由をずっと考えていたのだが、よくわからないでいた。
ところが先日、月報の辻と粟津則雄の対談にその答を見つけた ------ 粟津の主旨は『同時代の作家と比べ、辻の作品の雰囲気には(当時日本人のほとんどにあった)敗戦がもたらした後遺症というか、闇市的なところを感じさせない』というものだった。それが、大東亜戦争を知らない戦後世代の書痴を惹き付ける理由だと思った。
しかし、実は、そこが辻の小説家としての欠点でもあって、一世を風靡した同世代の『第三の新人』達と一線を画することにもなった。
【Minnie Riperton - Island In The Sun】
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