きみの靴の中の砂

撤退戦を戦う


(op.20250302-3 / Studio31, TOKYO)




 十代もしくは二十代で小説を書こうと試みたことのある人なら、『文学賞に入選する作品』というものが、作家の特殊・特別な経験の先に成立していることがわかる。
 それに気付かない人ももちろんいるが、自分にはそれが整っていないことを理解すると、ほとんどの人は創作からの撤退を決める。もう少し頑張ってみたいというなら無理には止めないが、なるべく早い段階で自信をつかまない限り、経験上、他の生き甲斐を見つけた方が楽しい人生があると思う。

 往生際が悪く、転戦にも失敗するとなると、その後はほぼ一生、撤退戦を戦うことになる。まあ、仕舞いにはそれも楽しくなってはくるのだが...。




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