オーブンの閉まる音。
日曜の午後の早い時間のことだ。
金属を細かく衝突させる音が聞こえるのは、受け皿をレードルでこそげてグレービーを製作中なのか、あるいは、サニーサイドアップをターナーで切り分けているのか...。
***
さて、後から掛けるソースが良く染み込むよう、トーストは中が乾くまで焼きたい。それを皿に敷き、まず最初のサニーサイドアップを置く。次にミートローフ。その上に焼トマトのスライス。最後にもうひとつのサニーサイドアップを載せ、上からグレービーをたっぷり掛ける。パセリなど、刻んだ青物を黄身の上に散らすと美しい。
ところで、これがなんという料理なのか詮索したことがない。深く考えることなく、ただ、オープンサンドと呼べば済む話か。
大皿にそれぞれ分けて盛り付けるのではなく、小さめの皿に重ね上げていくところなど、英国ならではの装い方だ。イギリス人は、昔からの習慣で、これを食べづらいなどとは誰も思わないのだろう。
***
「なにかランチ向きの話題でもある?」と聞くと、きみは、
「ええ、あるわよ。世界各国のお料理屋さんがあるなか、なに故、アングロ=サクソン料理店はないのか、なんてどう?」
確かにいい話題だ。世界中、至る所を歩いてきたけれど、どこへ行っても、イギリス料理とアメリカ料理の看板を掲げたレストランは見たことがない。
松尾清憲 / サニーシャイニーモーニング
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