小千谷から(Ojiya kara)

新潟県中越大震災の、とある被災者からのメッセージ
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【雪害】助かる命がある

2006年01月17日 03時07分33秒 | 小千谷(新潟)
「セッピ(雪庇)にちゅういして!!」
「やねの上を見上げてから入ってきてね!」
近所の保育園の玄関にはセッピに十分注意するよう大きな文字で警告文が貼り付けられている。
また雪の多い時期は、セッピの下に子供たちが近づかないように危険区域をバーで囲っている。

昨日福島県の保育園児3人が園の屋根から落ちてきた雪に巻き込まれるという痛ましい事故があり、3人のうちひとりの園児の死亡が9時すぎに確認された。
ついに子供の犠牲者が出てしまった。

恥ずかしいことだが私は「雪庇」という言葉を知ったのはつい3-4年前のことだ。
それが落下して死亡事故にいたるほど危険だということを認識したのはさらに恥ずかしいが去年のことだ。
甘かった。
なんにも知らなかった。
3人の小さな子供をもつ雪国の母親としては失格だ。
やっと今年になって「セッピのしたで遊んじゃダメだよ。」「流雪溝があいてないかちゃんと見るんだよ。」「ひとりで遊ばないで友達と大勢で遊ぶんだよ」「なんかあったらすぐに大人に知らせるんだよ」と口うるさく言うようになった。

核家族の我が家では、雪のことを教えてくれる人は夫しかいない。
気温が上昇したら雪崩が起こりやすいことは教わっていたが、それは山の話だと思っていた。
屋根の雪が緩んでずるんと落下することがある、それがどんなに危険なことかははっきりいって認識不足だった。

雪下ろしをしていて屋根の上から万が一落下してしまっても早期に発見すれば助かる命があるということにも去年までは気づくことができなかった。
だから「ひとりでしない」「夜しない」「隣近所に声かけて」なのだと。

私みたいな人がまだまだいるんじゃないだろうか。
もっともっと注意喚起をする必要がある。

雪の扱いには自負のあるお年寄りやプロの大工さんにも
雪下ろしをする前は家族か近所に「ちょっといってくらぁ」と必ず声をかけるように、とまわりの人が口うるさく言ってほしい。

今冬に入って大雪による死亡者が100人を超えてしまった。
テレビの報道においては倒壊した家屋や遺族の涙をうつすだけではなく、もっともっと雪害を減らすための注意喚起をしていただきたい。

雪害は雪慣れしているところでも雪慣れしてないところでも起こっている。
キャスターやお天気おねえさんが簡単に「気温が高くなりますので雪崩に気をつけてください」とまとめるが、本当に気をつけなければならないことを私のような「雪にぬるい人間」に具体的かつ的確に伝えていただければと思う。

「助かる命がある。」