福助の部屋

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阿佐ヶ谷スパイダース『桜飛沫』その②

2006-03-06 22:07:59 | 演劇
前回あらすじだけで長くなってしまったので、今回は感想を。
最初に断っておきますが、長くなります

まずは会場の新潟・りゅーとぴあ
とっても立派な建物でビックリしました
大きな建物の中に劇場とコンサートホールと能楽堂があって、
開場前に建物の中に入れるのが良かったですね
座席は少し傾斜が急になっていて、前の人の頭が気にならず
どこからでも見やすい感じがしました
私の中ではかなりお気に入りの劇場に。
近いうちにきっとまた行くような気がします…
っていうか、絶対行きますね(笑)
そして肝心のお芝居の方ですが、私は大満足でした
今までテレビで見た長塚作品は結構なグロさで、
“生で見て耐えられるだろうか…”と言うのが心配だったんですが、
『桜飛沫』は私でも耐えられました(笑)
人間の弱かったり汚かったりする部分を衝撃的な描写で表現する
独特の“長塚ワールド”ですが、今回はより一人一人の登場人物の
心の動きが鮮明に描かれていたように思います。
昔から阿佐スパを見ている方は、物足りなかったと感想をお持ちの
方も多かったようですが。

第一部は蛇を信仰する村のお話。
3人以上子供を作ると重罪なのに、村の男は蛇を食べる風習があって
どんどん子供が出来てしまう。そんな村で避妊の知識を広めようと
するのが医者の徳市役の橋本じゅんさん
このお芝居、とにかくこの御方の存在にやられました、私。
パワー、勢い、テンション(?あれ、どっかで聞いたフレーズ(笑))
それに加えて台詞回しとか佇まいとか、もう圧倒されっぱなし
始めはとってもコミカルで笑いを取るんですよ。
4人目の子供を妊娠したと言ってサカエが相談に来た時も、
“だから先生あれほど中に出しちゃダメって言ったでしょ~?”的な
セリフで(笑)
でもね、だんだん真剣に、って徳市先生は最初から真剣なんだろうけど、
何度も子供を堕ろしてるサカエの体を本当に心配してるのが伝わって
来るんです。で、いつのまにかほろっとさせられてた
“泣いたってダメなんだよ…”と徳市先生がサカエを前にうなだれる
場面が心に残りましたね。じゅんさんと水野さんの絡みも○
そして第一部は長塚さんの出番が多く、役者・長塚圭史も堪能

第二部は寂れた宿場町のお話。
舞台の中央に満開の桜の木があって、花びらがはらはらと落ちるのが
美しくも切ない感じ。
二部はなんと言っても山本亨さん演じる佐久間と峯村リエさん演じる
グズの心の触れ合いが印象的。
第一部の方が展開に勢いがあって面白かったと言う意見が多いようですが、私は二部の、静かな流れの中でそれぞれの登場人物の心の内を見せる演出も好きでしたね。
山本さんは足の骨折がまだ完治していらっしゃらないのか、今作は足を
怪我したお尋ね者の役で派手な殺陣はなかったものの、身も心も傷ついた男の切なさが伝わってきました。
峯村さんも素敵でした~頭が少しおかしい役なんですが、心は
とても綺麗で純真無垢な女性なんですよね、グズって。
そんなグズの綺麗な心に触れて、佐久間の黒く固まった心がほどけていく感じが切なかったです
ちなみに峯村さんは『銀のエンゼル』にコンビニの店員役でご出演なさってます
そして、忘れちゃいけないのが僧正(笑)
今作は二部のみのご出演でしたけど、舞台での存在感はやっぱり僧正
今回は、仇であるはずの佐久間に複雑な感情を抱く同性愛者の盗賊の役。
…なんか文字にすると、ものすごく違和感がありますが(笑)
でもこんなキワモノの役もそれは僧正、見事に観客(私)の心を掴んでしまうんです。
仲間と憧れの人の間で揺れる男心…って感じでしたね~

そして、対峙した徳市と佐久間が剣を交える瞬間、舞台袖から二人を
覆い尽くすように吹き荒れる桜吹雪のラストシーン。
これが“桜飛沫”。
私は全てが桜色に染められた舞台をただただ呆然と、夢を見ているような気持ちで見つめていました
その後暗転し、終演、カーテンコール。
3時間の緊張から役者も観客も解放されて、舞台の上のちょっとホッとしたような顔を見ることが出来るこの数分間が大好きです
私が見た回でのカーテンコールは3回。
“いい加減、帰らせろ!”と僧正に怒られるんじゃないかと
ヒヤヒヤしましたけど、僧正も長塚さんも手を振ったりしてくれて一安心(笑)

そして今でも、最後にグズが言った“佐久間、バイバイ…”と言う言葉と、
舞台一面を覆う桜飛沫を思い出します。



コメント (3)
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