『湖のほとりで』

北イタリアの小さな村にある湖のほとりで、美しい少女アンナの死体が見つかる。
捜査にあたった警部のサンツィオは、争った形跡がないことから顔見知りの犯行と推測。
第一発見者で障害のあるマリオとその父親。アンナの恋人のロベルト。アンナを溺愛
していた父親。アンナがベビーシッターをしていた赤ん坊の両親。
捜査を進めて行く中で、村人達が抱える心の闇が浮かび上がり、事件の裏に隠された
悲しい真実へと導いていく。


イタリア・アカデミー賞史上最多10部門独占の快挙を成し遂げた映画
と言うことで期待して見に行ってきました

“アンナはなぜ殺されて、犯人は一体誰なのか”と言うのが物語の柱だと思っていたので、
最後に犯人が明らかになるところはさほどどんでん返しもなく、ちょっと拍子抜け

でもこの映画は、犯人探しじゃなくて、犯人探しの過程で警部のサンツィオが直面する
村人達の心の奥に秘めた感情がテーマで、その部分は本当に切なく心に残りました

アンナが発見された湖のように静かに淡々と日々が過ぎていくように見えて、でも実際には

みんなそれぞれが人に言えない悩みを抱えてもがき苦しんでいると言うことなのかも知れません…

そんな村人達の心の闇に触れながら犯人に辿り着いていくサンツィオもまた、妻が

若年性認知症に冒され家族のことも忘れていくと言う悩みを抱えていて、何とも言えない

悲哀が感じられる素敵な俳優さんでした

ちょっと自分が期待しすぎた感はあったけど、景色そのままに美しくて悲しい良作だと思います