【現代思想とジャーナリスト精神】

日本の国民は何故こんなに酷くなったのか。殺害の契機は首相だ。評価するが60,6%。愕然!する。

孫崎享のつぶやき
日本の国民は何故こんなに酷くなったのか。殺害の契機は首相だ。評価するが60,6%。愕然とする!
2015-02-08 07:2713




私は時々、日本国民の判断にがっかりすることがある。前回の衆議院選挙の結果もそうである。しかし、今度の人質事件に対する反応位がっかりしたことはない。
共同通信社が25日に実施した全国緊急電話世論調査によると、「邦人人質事件に対する安倍政権の対応を「評価する」は「ある程度評価する」を含めて60・6%」、総じて評価するが60.6%、一体この国民はどうなったのであろうか。


 ■第一に今回のイスラム国の殺害を起こしたのは間違いなく、安倍首相の発言が契機である。

 安倍首相は「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISIL(注:イスラム国)がもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」と話した。イスラム国を敵視する発言をした。
 これがイスラム国側を刺激したことは間違いない。
 それはイスラム国側の反応を見てもらえばわかる。 2月1日イスラム国は後藤氏を殺害するビデオを公開した。ここで次の発言をした。

「日本政府は邪悪な有志連合に参加した愚かな同盟国と同じように『イスラム国』の力と権威を理解できなかった。(省略)安倍総理よ。勝てない戦争に参加した向こう見ずな決断によって、このナイフは後藤を殺すだけでない。今後もあなたの国民はどこにいても殺される。日本の悪夢は始まる」

 この時期、シリアに入ったことを咎める自己責任論がある。しかし拘束されたことと殺害されたこととは同じではない。
「あなたの国民はどこにいても殺される。日本の悪夢は始まる」という認識の中で殺害が行われた。



 ■次に今回日本政府は人質返還に対して真剣な交渉はしていない。

過去、人質事件があった時には日本政府は相手が誰であれ、もし金銭の提供ですむならそれを実施する姿勢を取ってきた。

 麻生財務相発言である。「要求のめばテロに屈するのと同じ」=麻生財務相。そして、朝日「予備費から身代金出す可能性に”今テロに屈する予定がないから、手続きまで考えていない”と述べた」。

 そして官房長官の発言である。

 [東京 2日 ロイター] - 菅官房長官は2日午後の会見で、過激派組織「イスラム国」とみられるグループに日本人2人が殺害された事件に関して、政府としては身代金を用意せず、犯人側と交渉するつもりはなかったことを明らかにした。

 第3者を通じ高唱したと言うが、途中で第三者を介することはあろう。しかし、「犯人側と交渉するつもりはなかった」とはどういう事だろう。

 首相の発言により、日本人が殺害された。そして交渉は行わかった。その政府を評価するが60,6%だという。これをどう評価したらよいのか。

 ◎一つは日本人の持つ限界説だ。かつてマッカーサーが日本国民をとらえてこういった。
「軍事占領とはどうしても一方はドレイになり、他方はその主人の役を演ずるものだ」
 そして日本視察をしたマサチューセッツ大学総長はトルーマン大統領に次の報告を行った。

「日本は事実上、軍人をボスとする封建組織の奴隷国であった。一般の人は一方のボスのもとから他方のボスすなわち現在の占領軍の下にK里代わっただけである」

時の支配者をそのまま受け入れる。おかしいことがあってもそのまま受け入れる。

 ◎今一つは、今の安倍政権、それに追随するマスコミの動きも酷かった。
非自治解放までは一致してあたらなければならないという声を出して批判を一切しなかった。その実、日本政府は「犯人側と交渉するつもりはない」という立場であった。
そして殺害されるや、政府擁護の御用コメントで埋め尽くした。

若干声を上げる者は潰した。批判の声を「イスラム国寄り」とリストアップした産経が典型である。




●私はこの国の未来は本当に暗いと思う。自国民の殺害を誘発した首相を是認する国民に明るい未来なんぞあろうはずがない。

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私見
 外交のエキスパートだった人物が、呻くようにぎりぎりのところから発する言葉は、冷静な絶望である。
「この国の未来は本当に暗い」
「自国民の殺害を誘発した首相を是認する国民」
「明るい未来なんぞあろうはずがない」
私は、もう少し楽観的である。「巌頭の感」を残して明治期の旧制一高の藤村操は華厳の滝に飛び込んだ。遺書はそこに残されていた。

悠々たるかな天上
稜々たる哉古今
五尺の小躯を以てこの大をはからんとす
ホレーショの哲学何ぞ及ばず
・・・・・
大なる悲観は大なる楽観に通ずることを

また、中国の魯迅は、残した。

絶望の虚妄なること、
希望の虚妄たることとひとしい

日本は、安倍晋三の手によって、戦前の治安維持法下の社会よりももっと酷い状況に陥った。それは彼によって、言語がすべて実際の内実を伴わないうわべだけの虚飾に陥った。「積極的平和主義」といえば、「強硬な軍国主義」をさす。「人命支援」といえば、軍事的侵略を背後に秘めている。安倍晋三の最大の政治的逸脱は、ふわふわしたか~~るい文化で、自分も「あの素晴らしい愛をもう一度」を臆面もなく日比谷野音ステージにのぼって歌い、「嗤っていいとも」(ふだんは「笑っていいとも」だった)にフジサンケイグループの人脈で出演し、サザンオールスターズのライブに聞きにいって、後からそうとう手厳しい抗議を行った。爆笑問題のコントにさえ鉄拳を食らわす。
こんな総理、見たことないっ!!

まさしくこの国の未来は、どうしようもない事態に陥ってしまった。


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