【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

【報道特集JNN-TBS 2024.2.10】

2024-02-11 14:51:50 | 社会・政治思想・歴史
事実の丹念な取材がもつ説得力と胸に響くジャーナリズムの貴重さ




❶一般ニュース

・「能登半島地震ボランテイア」ボランテイアの受け入れが始まった。被災者の不安に、寄り添うだけで心強い面もあるだろう。
・「春節」中国は90億人!国内だけでも影響は大きなものとなる。
・イスラエル首相府の「ハマス殲滅」。おそろしい発想だ。

❷ 特集Ⅰ:群馬県高崎市 朝鮮人慰霊碑撤去

朝鮮人慰霊碑の強制撤去。戦争で日本が強制連行した朝鮮や中国の労働者が日本国内で差別と収奪をされた。右翼団体の怒号がとびかう。生まれて育った高崎市。保守的だが故郷は人情の篤い土地柄だ。哀しく残忍な仕打ちだ。日本軍は朝鮮や中国から強制労働に駆り立ててきた。北海道の真冬に鉄道敷設に酷使された中国人りゅうりぇんれんは、真冬の原野に逃げた。茨木のり子さんの長編叙事詩に記されている。中国や朝鮮への過酷な仕打ち。

群馬県知事山本一太氏は自民党国会議員でも有力なひとりだった。父親の山本富雄氏は県会議員として自民党でも重鎮だった。後に参院議員になったと思う。山本知事は当選後に県政をてきぱきとこなし見直されていた。だが二期目当選し、行動的にと発言していた。保守群馬は合理派と極右派。
あっというまに追悼碑は撤去された。沖縄県で話題となった「代執行」は群馬県で最初に行われた。住民の心情などおかまいなしに。沖縄県民が戦後闘い続け民意を表明してきたことにその重みに重要さがあった。沖縄は6月23日に県議選がある。今回の勇気ある反対派に感謝する。
「代執行」
沖縄で裁判所が使った言葉が群馬県で実行。政府は強硬に行った。反対派が勇気ある行動に立ちあがったことに感銘を覚える。だがいまがどんな時代か痛感。6月23日に沖縄県議選がある。市民がたちあがらない限り権力の行使は横暴になっていく。

❸ 特集Ⅱ:性被害者を自死においこむ「同調圧力社会ニッポン」


男性の同性愛は大名とお小姓、古代ギリシャの「プラトン愛」など世間にはあったようだ。だがジャニー喜多川の性犯罪は次元が異なる。すべての人間の性愛は個人の尊厳に由来する。被害者が自死する。日本は恐ろしい世の中になったものだ。表面はタレント事務所経営者の性加害問題。その深層に「同調圧力」「空気」が漂う日本社会の変化がある。新聞記者望月衣楚子さんはこの問題を元朝日新聞記者と追及してきた。テレビのように、被害者を励ます支援者の勇気ある女性。気になるのは裁判所の変質。まちまちだが無視できない。性被害者を支援するNPOの森山さんの言葉が印象深い。新たな体制の事務所側と一緒に誹謗中傷に取り組むことで、性被害者たちが受けた中傷が減るようにしたいと。多くの善意の集合で改善の方向へむかってほしい。

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時代を開拓する【報道特集】2023.7.8

2023-07-09 07:39:36 | 社会・政治思想・歴史
時代を開拓する【報道特集】2023.7.8


❶ 気象現象末世感

梅雨と台風シーズン。どちらも雨風が多い。風も。日本列島も日本人の雑なつかいかたで疲れただろう

❷ 袴田事件と『レ・ミゼラブル』

袴田事件で検察が新たな証拠をあげるという報道。なにがなんでも死刑判決が正しいという信念か?『レ・ミゼラブル』のジャンバルジャンと執拗に追う刑事のことを思い出す。法に基づいて犯罪を糺す。けれど、事実の真相が異なっても、徹底的に追い込むのか。

❸ 統一協会が主軸を占める自主憲法制定規制同盟・自民党の蛇行

自主憲法制定期成同盟。なにかずっと見ていて、日本はアメリカの宗主国ー植民地のようだと考えてきたが、日本は韓国の統一協会の手先だ。協会のトップが日本は韓国の言うがままになれという発言。新々植民地主義の奴隷と宗主国の関係だ。情けない。どこが「自主」なものか。

❹「独占 蛇行剣保存処理で新発見」

奈良県の考古学研究所の方がたが考古学でも新たな発見に取組む丁寧な対応の姿が、学問と歴史学、古代遺産へのアプローチとして頭がさがる。巨大な剣を1600年前に誰が作ったのか、というナレーションがふさわしい。巨大な蛇行剣は、謎の4世紀につくわれた。呪術的な視点から、という解説に同感だ。日本でつくられたが、中国や韓半島から技術が伝承したと考える。熊倉浩靖群馬県立大学名誉教授(現・高崎商科大学特任教授)は、世界的遺産である高崎市の上野三碑には既に韓半島の高官の名が刻まれていることを顕彰している。


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油断は大敗のもと❶【広原盛明のつれづれ日記】転載❷「枝野幸男と山本太郎」拙稿

2021-10-21 11:11:02 | 社会・政治思想・歴史
構成
第一部【広原盛明のつれづれ日記】
第二部【枝野幸男と山本太郎】
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【広原盛明のつれづれ日記】
2021-10-16
立憲民主党と共産党が奇妙な取り引き(?)、京都は〝魑魅魍魎〟の世界なのか、岸田内閣と野党共闘(その2)
国会が10月14日に解散され、衆院選告示が19日と間近に迫った。自民党は11日、小選挙区と比例区の1次公認295人を発表し、残る5選挙区でも候補者調整の目途をほぼつけたとされる。野党共闘の方は立憲民主党と共産党の選挙協力態勢が固まり、競合していた選挙区で立憲民主党は3小選挙区、共産党は22小選挙区で候補予定者を取り下げた。この結果、全国289の小選挙区のうち、立憲、共産、国民、社民、れいわの5党の候補者が一本化される選挙区は200以上になる見通しとなった(朝日10月14日)。



ところが...である。京都では立憲民主党幹部からの共産党との共闘を否定する発言が相次いでいる。立憲民主党京都府連は10月9日、役員会と常任幹事会を開き、公認候補を擁立していない京都の1区、2区、4区についての対応を協議した。その結果、共産党の穀田国対委員長が立候補を予定している1区では(あくまでも)独自候補の擁立を追求し、その一方国民民主党が前原氏を擁立する2区と、無所属の北神氏が立候補予定の4区については、両氏がいずれも連合の推薦候補であることから独自候補を立てないという方針を表明した。党政調会長の要職にありかつ京都府連会長も務める泉氏は、終了後の記者会見において共産党から協議の申し入れのあった共闘については、「京都は自民、共産両党とは議席を争った地。これまでも非自民・非共産の立場で支持されてきた」と説明し、「『野党統一候補』という考えは取らないし、共産との選挙協力はない」と改めて強調した(毎日10月10日)。



また、京都新聞は10月12日、福山立憲民主党幹事長および田中京都府連幹事長の衆院選に関するインタビュー記事を掲載し、両氏が共産党との選挙協力を明確に否定したことを紹介している。

【福山幹事長】

 ―共産党とは「限定的な閣外協力」で合意したが、京都では共闘しない。福山幹事長、泉健太政調会長の地元で共闘しないことを有権者にどう説明するか。

「私も共産党と20年以上、選挙を含めて争っている。一方、全国的には自公を倒すために共産を含めて他の野党と選挙区調整をして戦う機運がすごく高まっている。今回は『市民連合』が仲介した常識的な政策を実現する限定的な閣外からの協力であり、日米安保や天皇制、自衛隊の存在では以前から変わらない距離で共産党と向き合う」

―京都1区は独自候補の擁立をまだ検討するのか。

「ぎりぎりまで府連の努力を見守りたい。1区は(自民党の)伊吹さんが議席を守ってきた。候補者を立てるのならしっかりとした候補者をという思いも泉府連会長にはあるようだ」

―京都で、共産党とは1、3、6区で「すみ分け」しているようにも見える。

「京都で話し合いの場があるわけでもなく我々は関知していない。すみ分けしているつもりは全くない」

【田中府連幹事長】

 「京都3区と5区、6区の3人はいずれも現職(比例復活含む)であり、必勝を期す。現在空白の1区は候補者を見つけられるよう最後まで努力したい。2、4区は独自候補の擁立は見送るが、近畿ブロックでの当選者を増やすため、街宣活動を強化して比例票を伸ばす」

 「連携を重視するのは、党本部が選挙協力で覚書を結んだ国民民主党だ。2区は国民現職、4区には無所属元職とかって共に活動した仲間がいる。信頼関係を維持したい。共産党とは地方選挙で対立してきた過去の経緯から京都府内では選挙協力できない」



 驚くのは、福山幹事長と泉政調会長がいずれも共産党と選挙協力を結んだ立憲民主党の幹部(当事者)でありながら、京都ではこれまで共産党と選挙戦を戦ってきたという理由にならない理由で「共闘しない」「選挙協力しない」と言い切っていることである。こんな(屁)理屈が全国に適用することになると、野党各党はこれまで互いに選挙戦を激しく戦ってきたのだから、野党共闘や選挙協力などは永久にできないことになる。要するに、福山幹事長も泉政調会長も田中府連幹事長も、政党としての政策協議などはそっちのけで、「共産党とは死んでも一緒にやらない」と言っているだけのことなのである。



 ところが、さらに驚くべきことが起こった。共産党京都府委員会は10月14日記者会見を開き、渡辺委員長が立憲民主党府連に対し1区で穀田国対委員長を野党の統一候補にすることを前提に、立憲前職がいる3区と6区は自主投票とし、共産党が候補者擁立を見送る方針を明らかにしたのである。共産党は過去の衆院選では全6選挙区に候補者を擁立してきたにもかかわらず、今回候補者擁立を見送る理由として渡辺委員長が挙げたのは、「中央では共通政策・政権合意・選挙協力という3つの合意が成立した意味は大きい。政権交代のために全力を尽くす」、「その代わり3区、6区については、比例での大幅得票増を狙う」との説明だった(毎日・京都10月15日)。



 6区の山井氏はともかく、3区の泉氏がおよそ野党共闘の対象たり得ない人物であることは、今回の立憲府連会長としての行動をみれば即座にわかることだ。それがあろうことか共産党が候補者擁立を見送るというのだから、呆れてものが言えない。京都新聞はこの事態を「実質的には京都3区と6区で立憲民主党の前職を応援することになる」と書いている(10月15日)。



かくいう私は京都3区の有権者である。2016年衆院補選でも共産党は全国での野党共闘を推進するためと称して京都3区で候補者を擁立せず、泉氏を「革新統一候補」として応援するという間違いを犯した。「二度あることは三度ある」というが、今回の方針はこれまでとは比較にならないほど(悪)影響が大きい。前回の衆院補選では、こんな有権者を馬鹿にした選挙には行かないとばかり、私の周辺では大量の棄権者が続出した。私自身も選挙権を持って以来、初めて棄権したのがこの選挙だった。



京都3区の有権者は猛烈に怒っている。泉氏に投票するぐらいなら死んだ方がましだと本気で思っている有権者が数多くいるのである。共産党は有権者を馬鹿にしてはいけない。渡辺委員長が候補者擁立を取り下げる代わりに比例の大幅得票増を狙うと言ったらしいが、こんな計算がどうしてできるのか不思議でならない。第一野党共闘の支持者が投票に行かないのだから、共産党の比例票が増えるわけがないのである。



こんなことは考えたくないが、立憲民主党が京都1区に擁立できる候補者が見つからないのを見越して、共産党が3区と6区の候補者を降ろしたのだとしたら、これは「密約」以外の何物でもないことになる。これでは、京都はまるで〝魑魅魍魎〟の世界ではないか。市民と野党共闘の政策を踏みにじり、理由にもならない理由で共産党との選挙協力を拒否してきた福山幹事長や泉政調会長を応援することは、野党共闘の大義を否定することになる。共産党は遠からずして京都3区の有権者の厳しい審判を受けることになるだろう。(つづく)

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『枝野幸男と山本太郎』

【序】
 立憲民主党とれいわ新選組を比較、立民党は全国で多数の票を集めるだろう。だが、必要なのは投票率に多くの民意を結集することだ。投票率が低ければ自公政治は延長される。山本太郎は国民の貧しき人々の暮らしに寄せる目線の高さは同じ。元民主党官房長官枝野幸男氏の首相としてふさわしい脱皮に期待する。

【破】
 都知事選で立民は山本太郎氏に事前に働きかけた。立民にれいわは、❶消費税を下げる❷れいわ新選組の名称を残すことを要請。交渉の結果は❶消費税はさげない❷れいわの名は使わない。これで山本太郎氏は立民との交渉をあきらめた。
 市民連合の要請で4野党共産立民社民れいわは緊急政策で合意。山本氏は東京小選挙区から立候補を表明。枝野氏と立民で「不快」表明。比例区に回った。いま4野党とは、れいわが消え国民の名前と変わった。国民は自民に接近中。立憲民主党政権樹立をめざす政権では共産は閣外。
 山本太郎は俳優出身の政治家素人だった。小沢一郎氏のもとで薫陶をうけしだいに成長してきた。前回参院選では大阪や神奈川の応援に東奔西走。辰巳コータローの選挙カーに同乗しマイク応援を。枝野氏より政治的稚拙だが、枝野氏よりも人情に篤い。枝野氏は、押しが強いが山本太郎氏に比べて、庶民にはどうか?

【急】
 いかに枝野氏が在野政党にどんな対応をしても、自公政権に堂々と闘い、国民を奈落の底から救出する事業に一貫して取り組めば結論は変わる。要は魑魅魍魎の永田町で憲法精神の擁護者であるか否かだ。そこが貫徹できるなら枝野幸男氏を見直す。政治の世界は暗闇だ。2人の健闘を!

左翼から右翼への転換とマルクス主義の方法の問題(2013年)社会思想史ノート

2020-12-30 23:31:45 | 社会・政治思想・歴史
櫻井智志


 牧太郎氏は毎日新聞社の記者だった。牧氏がサンデー毎日で連載『牧太郎の青い空 白い雲』を受け持っている。四月七日号を呼んでびっくりした。石原慎太郎氏の三男の宏高氏のパチンコメーカー業者との「腐れ縁」スキャンダルを取り上げつつ、書いている別のことに驚いたのだ。

 牧太郎氏の原文のまま写す。
【石原一家は慎太郎・裕次郎の天才的な兄弟が作ったファミリーである。結束の家族である。その柱を作ったのは、二人を産み、育てた母親だった。
 今でこそ、右翼?の慎太郎さんだが、高校生の時は左翼だった。『太陽の季節』を引っ提げて華々しくデビューしたとき、『サンデー毎日』は「五つの道をゆく”石原慎太郎批判”」と題し、9ページの特集を組んだ(1956年9月9日号)。記事の中にある湘南高校時代の教師の証言。
「慎太郎が高校一年生の時だった。学生運動が盛んになろうとしていた48年に、民主学生同盟にいち早く入り、学内に社会研究会を作った。日本共産党へのヒロイックな気持ちにかられていた時、母は”大衆のために両親や弟を、そして地位も財産も捨て、獄につながれても後悔しない自信があるなら、私は反対しないが、その覚悟をしてほしい。それならお父さんが、どんなに反対しても、私は賛成する”と言った。この言葉にそのあくる日から慎太郎は学生運動を離れている」
 慎太郎は後に「主義主張が母親の意見で変わるなんてウソですよ」と否定的に語っているが、慎太郎は若い時から「家族」を大事にするタイプだった。】

 この話で出てくる民主学生同盟は、日本共産党との関係はやや微妙である。日本共産党の幹部であった志賀義雄氏(徳田球一氏とともに獄中に十八年いて非転向を貫いた)が、ソ連の核実験の時に、共産党主流派と対立してソ連を支持した。そのために志賀義雄氏、中野重治氏、佐多稲子氏らとともに共産党を除名され(主体的には離党して)「日本共産党日本のこえ」を創設した。このときに共産党の青年組織であった民主青年同盟(民青)と別に結成されたのが民学銅である。私は1970年代初期に早稲田大学の民学同にいたいとこから一緒に活動しないかと入学時に勧められてあいまいにことわった記憶がある。民学同の学生は、自らを新左翼とは思っていないし、早稲田大学で学生運動の主導権を当時握っていた革マル派からは「スターリニスト!」と呼ばれていた。
 
 かつて週刊金曜日の編集委員で私が尊敬する評論家の佐高信氏が石原慎太郎氏と対談したことがあった。対談の内容が掲載された雑誌の次週の投書欄は、佐高氏が石原氏とあいまいで強く厳しく論破していないことに読者は怒りを感じたらしい。
 だが、石原氏がかつて左翼学生運動を高校生の頃に経験していて、なおかつ60年安保の時には大江健三郎氏、江藤淳氏らとともに「若い日本の世代の会」を結成して安保反対の意思表示もしたことがあった。石原氏は既に保守反動化していたと思うが、左翼経由の石原氏に佐高氏は活字にならない対話があったか、予想していた石原氏と異なる何かがあったのだろう。本多勝一氏が大江健三郎氏を『貧困なる精神』で徹底的に批判したのと比べて、佐高氏と石原氏の議論にはやや性質の相違が感じられる。

 私は今年2013年3月にこぶし書房から双書こぶし文庫「戦後日本思想の原点」シリーズの一巻として復刻され出版された鈴木正氏の『日本思想史の遺産』を思う。
 そこで鈴木正氏は「有機的知識人の思想と行動」として古在由重氏を読み解いている。

【古在によれば、本来の方法とは、ものの見方・考え方ということばから、ともすれば表象されがちな、知識を獲得するための一つの術といった外的なものではない。それはわれわれの知識と生活のすみずみにまで養分を与え、それを成長させるための根のようなものである。生活と闘争のなかで、真に生きてはたらく思想体系は、かならず実践と結合するはずだが、その連結点にこそ、方法の問題がよこたわるというのが古在の立場である。それにひきかえ、理論と実践の行動の統一の確立ないし回復をくりかえし規定しなおし、再定義してゆく領域を、マルクス主義が自覚的にもっていることを認めないものには、所詮、方法の問題は意識されずに終わる。
(中略)「現在」と「実践」に参加する姿勢と切れた、ひたすら「過去」と「文献」をあさる態度である。 そこには史料操作の技術的方法(批判)はあっても、まともな意味での歴史的方法(批判)は、最後まで存在しない。われわれが思想の生きた歴史をみるとき、思想の科学性だけではなしに、思想に対する誠実、勇気、責任等の実践性ないし倫理性をみすごすなら、けっしてその真相をつかむことができないだろうというのが、これと対極に位置する存在の思想史の方法である。】

 大江氏の評論に「言葉の再定義」というような表題の評論集を読んだ覚えがある。大江氏は、マルクス主義者ではないが、鈴木正氏が古在氏の思想を継承している箇所(太字部分)を見事に無意識のうちに踏襲している。

 鈴木正氏が表現した文中は、左翼とは何か、左翼が右翼になぜ簡単に転換するかの疑問を解く本質がある。通り一遍の左翼用語を難解な言葉で論文に書いたりしゃべるようになるまでは、さほどの年月は要しない。しかし、繰り返し繰り返し理論と実践の行動との確立を規定しなおし、再定義しなおすという生き方は、それほど簡単なことではない。
言い換えれば、左翼とよばれる集団や個人の中にも、情勢が変われば簡単に周囲の状況に適応して保守反動にも容易に転換する事例が多々あるだろう。

 私は神奈川県に住んでいるが、他の地域が中心の社会人の学習運動に消極的に加わる機会があった。生活の多面的な要素をとらえて、講演会や映画鑑賞会、学習会をインターネットなどの現代的機器も活用してかなり広範な人数を動員している。私は内部のメーリングリストの討論に加わった。情勢が戦前のような危機の時代に入ったら、この集団は変わっていくだろうと思った。それは指導者自らが、思想的方法として体系化された左翼思想にはくわしいけれど、他者の意見と自分たちの意見とがどこが違うかを吟味して、討論して相手の指摘する事実が何を示しているのかを理解しようとする態度に疑わしい様子がうかがわれたからである。ツイッター、フェイスブック、メーリングリストと現代が軍事技術開発の鬼子として生まれたインターネット・テクノロジーは革命的な技術である。文明の様相を大きく変えたといってよい。それを容易にこなしている独創性は素晴らしいし、現代社会の特徴である最新技術をこなしていると感心する。
 ただインターネットの向こう側にある思想の方法はどうか。ふだんのやりとりはそうでもないが、たまに起きる事柄がある。指導者とその支持者が発言に権力をもち、異論を差し挟む者たちが指導者に問い続けている内にそれは起こる。異論を唱える者を強制的にインターネットのサークルから排除していく。私の友人も同じ処置を受けたが、それから次の年に、私も退会に付された。見解の応酬に疲れはて三月いっぱいで退会すると公開で表明した。わずか四日後に月がかわるのに、即刻強制的にインターネットの回路から切断された。理論は述べても、相手の意見をうけとめない。両者が議論において公平な立場にない。その学習運動の代表者への異論は、学習運動団体からの排除へとつながっている。
 ここに私は科学=技術革命の資本主義的形態をまとって技術革新時代における新たな装いの教条的方法主義をみる。ルソーやペスタロッチ、日本で言えば林竹二、丸木政臣、中野光などの教育思想家たちは「教師は子どもによって教育を媒介として教育される」ことを見究めて、学習や教育の思想的意味をあきらかにしている。

 現代の肯定すべき左翼、さらにいえばマルクス主義者たちは、自らが対象とむかいあい相手の現象や人間達とのずれを見つめつつ、それにどう対話し議論するかについて、理論と自らの実践との統一的な確立を規定し直し、再定義しなおす勇気が必須である。
 そのような覚悟のない左翼や社会主義者たちは、簡単に右翼に転換する。現在の左翼の中でも最も伝統的理論的正統的な日本共産党や社民党が、七月の参院選の結果によっては参院から政党でなく政治団体に転落しそうな厳しい政治の季節を迎えているのは、マスコミの操作や教育による教化、選挙制度の改悪、労働運動への弾圧と懐柔など系統的な反動支配層からの戦略的対策が功を奏してのことである、
 しかし、もしも本当に社会主義や共産主義が政治的冬の時代でも次の歴史を展望させるだけの民衆的支持を得ようと心から願うのならば、教条的で固定的なスタンスではなく、虚心坦懐に他者の意見を吟味し、時には受け入れ時には説得し、理論と行動との統一のために何度も何度も規定し直し再定義し直していく勇気ある謙虚さが必須である。
 このことがわからないと、自分への批判を誹謗しているのだと思い込んで冷静さを失う。相手に非難を浴びせ続け、サークルにおける相手の存在そのものを否定しようとしていく。かつて「内ゲバ」は、日本の革新運動に壊滅的なダメージを与えた。連合赤軍リンチ殺人事件はその典型だった。日本以外で、カンボジア・ポルポト政権、戦時中のソ連、毛沢東指揮下の文化大革命。次々に異端者が処刑されていった事実があきらかになった。長い目で見ると、一進一退の連続で世界史は変わり続けてきた。けれど、科学的社会主義が思想の方法としての社会主義の人類史的な理想的意義を示すとしても、思想の方法が実践された場合だけである。

 「#中曽根康弘はそれほどの偉人賢人か」

2020-10-17 20:14:13 | 社会・政治思想・歴史
写真は同じ選挙区で「上州福・中戦争」を競った福田赳夫氏


 戦後の日本を不沈空母化するような愚劣な方向にミスリードした風見鶏政治家。毅然と葬儀欠席した志位和夫日本共産党委員長、半旗掲揚を拒否した大学。逆方向で軍事大国を驀進した中曽根氏は機を見るに敏な軍事海洋国家の牽引車でしかない。


 欧州でコロナウイルスの第二波感染の波に備え、本腰を据えて取り組み始めた。日本は中途半端だ。政府が至らぬ処を医学者や現場が不眠不休で対応し続けてきた。必ずしも楽観できない。感染大国のアメリカは、トップがトランプでいる限り、コロナを鎮静化できるのだろうか?


 内閣に内調が発足する時日本版CIAとして識者は懸念を表明した。公安畑の人物を安倍・菅両政権は警察国家の色彩を強めてきた。日本から自由が奪われ政治への批判をつぎつぎに剥奪。ひとつひとつ「否!」と意思表示することが辛うじて後退しつつも「蜘蛛の糸」を保持している。油断できない。赤木雅子さんは、政府や官僚が喪失した戦後の民主主義の倫理とモラルを固持している。大学教授や大手マスコミの幹部は、赤木夫妻から真摯に民主主義の魂を学んでほしい。壮絶な夫妻の生きる過程には、どれだけ日本の民主主義が圧殺されているかを明確にひしひしと伝わってくる。


中曽根康弘も福田赳夫も自民党保守派だ。だが、福田赳夫は犬養蔵相のもとで大蔵省主計局長として、軍拡派の陸軍をおさえ軍縮につとめた。福田氏は安江良介氏と対談し、犬養蔵相が昭和維新軍人に暗殺されたときに、同家で潜んでいたと、語っている。中曽根氏は内務省で特高などの元締め。


 いまの自民党政府の森友加計汚職の対応も、中曽根内調創設以来一本の連鎖。のこのこ葬儀に参列し日の丸を掲げるような偉人賢人ではない。内調特高警察型政治は、中曽根氏に始まり安倍=菅政権に連なる。

新型コロナウイルスに対する安倍晋三首相の専制独断に思う

2020-03-01 18:57:43 | 社会・政治思想・歴史
新型コロナウイルスに対する安倍晋三氏の専制独断に思う
~TBS「報道特集」「news23」2020.2.24-2.29視聴メモ~
櫻井 智志

【序】
なぜコロナウイルス肺炎が発生し蔓延したのだろう?結果として中国、日本、韓国で被害が広がった。自然発生でそうなったのか?事故か意図によってそうなったのか?安易な憶測は避けたい。ただ、張作霖爆破やトンキン湾事件など現代史で策略やテロ、謀略による事件もあった。慎重に吟味したい。


 新型コロナウイルスの流行は、東アジアから疾病と死者は世界に拡散している。だが、新型コロナ肺炎に比べ、インフルエンザのほうがはるかに病状は重く死者も比にならない。
インフルエンザを死因とする死亡者の年度別人口動態統計(1950~2018)は厚労省によるとグラフのとおり。 https://honkawa2.sakura.ne.jp/1955.html?fbclid=IwAR04B3W2ieqxJJtdYMnA3NJUaawrE6e7N8WO65qfbET5xhpJFsdiDlqVmts


「#この要請で何か問題が生まれれば政府が責任をとる」?「#私や妻が関わっていたら総理はおろか議員も辞める」! 責任とは何か。 言葉のあやを織りなす修飾語を、憲法は「責任を果たす」とは言わない。幾千万人の犠牲で生まれた日本国憲法。方便で泥を塗りたくる安倍総理の児戯を拒否する。
「休業」=#しごとを休むこと 「休校」=#学校が授業を休みにすること 
安部総理は会見で「きゅうぎょう」すると話した。どのニュースも「きゅうこう」とテロップを流した。きょうの報道特集は「休校」と正しく報じた。安倍総理の発言に正確に吟味している姿勢を感じた。安倍総理にとって「#責任」とはどのようなものとしてとらえられているのだろうか?


良いことも「決め方」や「日本国行政への全面的影響」はどうか?卒業は「思い出づくり」ではない、学校から社会へ定められた教育と人格陶冶を修養したことを証す画期だ。#閣僚官僚にもはからず社会への悪影響も不十分だ。#総理の責任では担えない巨大行政案件だ。


インフルエンザと新型ウイルスの比較をしたのか?インフルエンザを死因とする死亡者の年度別人口動態統計は厚労省によるとグラフのとおり1950~2018だ。もっと落ち着いて行政すべき。#総理は興奮し自己陶酔するも冷静な認識がない。 https://honkawa2.sakura.ne.jp/1955.html?fbclid=IwAR04B3W2ieqxJJtdYMnA3NJUaawrE6e7N8WO65qfbET5xhpJFsdiDlqVmts


危機は?独断でアピールする安倍総理の補佐官が、同時刻に立食の宴会に出ている。予算は各国より一桁も低い。 口先だけで、予算も執行閣僚の内容もあまりにお粗末。 これだけの重大事態は安部総理の「責任」のことばでは担いきれない。全閣僚全官僚の知恵を結集すべし。報道では、総理要請発言を菅官房長官さえ当日まで知らなかった。総理側近と思えた文科大臣は、全国一律休校に反対したという。政府内閣の機能が総理専断に陥っている。小中高が休みで学童保育や公立保育園は開業状態。学校より狭い学童ホールに密集状態で、子どもの安全と健康をどう守るのか。


「報道特集」が取材した、うえむら小児科内科クリニックの発熱外来の創意。一般外来と発熱外来をわけ、赤の部屋、緑の部屋、黄の部屋3つの発熱外来も換気扇でウイルスが入らないようなエアカーテンなど完璧な仕組み。医師が患者の部屋に出向き医師の細かなアルコール消毒。親への温かさ。


今年度予備費2千数百億を「休職した保護者の保証金」に回す。これは最初の数百億円への野党から批判で出されていたことだ。だが、おし潰されそうな貧困層に生活保障を考えると補償金、保証金で十全ではない。「#総理の私が決断したことだから私の責任において」自惚れの自信過剰に失笑。


感染症医師の発言と小川彩佳キャスターの応答は意義深いものがあった。市民の切実な疑問を代弁し、それに臨床医の専門性からわかりやすく応えていた。このような啓蒙がワイドショーから消えて、国民に不安や偏見を煽るような傾向があることを元外務省の田中均氏も『見えない戦争』で触れている。


【むすび】
安部晋三総理が行おうとしていることは、新型コロナ問題を盾に #社会のシステムを一時的に停止して危機管理態勢の実験なのではないか?日常的営みに混乱と動揺を与えどう制止するかの総理専断回路確立を。コロナを真剣制御するなら軍事費突出の予算案に充分な対策費を盛り込まないはずがない。充分な聞き取り、調査も極めて不十分で、文科相や厚労相など関係部局の意見もほとんど無視し、菅官房長官さえ発表の当日まで知らされていないという内閣としての意思統一を欠いた大失態である。
 安倍晋三氏には、内閣総理としての国政統治の能力も正統性も皆無に近い。




断章・日本の憂愁2019.11.9    櫻井智志

2019-11-12 12:51:09 | 社会・政治思想・歴史


「私たちはどこから来た?」
「私たちは何処へ行く?」


この問いを持ち続けることが、現代社会で生きている私たちを取りまく問題の所在をあきらかにたちする。問いの発生は必ずその解答を用意していてくれる。私はこのような発想を、哲学者や教育学者からじかに聴いたことを記憶する。

日本は天皇の引退と即位が行われた。上皇ご夫妻や天皇ご夫妻の人間性や人格に大いに共感をもつ。だがにもかかわらず、戦後民主化以前の天皇制の政治と宗教一致の儀式が復活している。「戦後憲法順守」と「憲法にのっとる」とは、全く異なる。後者は憲法がどう改定されても通用する曖昧な言葉である。


あいつぐ大水害の被害の惨禍の後に見たものは・・・ボランティアに率先する方々、現場で助けあう姿である。災害が進行中でも、わがこととは無縁な首相、知事。 公明党から国土交通相となった赤羽氏は、他の閣僚と異なる。その国会答弁や対策具体案に頷く。やはり本物は何処にでもいると感じた。

災害と情報通知と避難についての日本社会の対応が、都市型社会に対応している。過疎地や山村への取り組みは不十分だ。だが都市型社会も、今年10、 11月の台風と豪雨には悲惨な死傷者被害者が続出した。近世から戦前にかけて、河川の昔氾濫を繰り返した地域に、不動産産業が相次いでマンションを建築した。氾濫の続出によって、現在の都市開発は大規模災害に追いついていないことが赤裸々となった。

若者たちは、年金のための納付をしても自分たちが年金をもらえるかわからない状態。高齢者は年金の毎年の減額と介護保険料天引きの額の増額により、年金では暮らせない額。社会保険庁が、年金を職員が私用に流用して追及されたら社保庁をなくした!できた日本年金機構でも不明朗さ。絶句! 「定年後も働きたい」!? 数々の成人病を抱えて、「働かざるをえない」ほうが多いと捉えている。 だが、こんな状態が続いていくと、ニッポン亡国も比喩とばかりは言えない。それがあり得ない話ではない。青年も老人も活気を失い続け、外国人に依存するのか。「留学実習生」の名で招いた外国人を酷使して行方不明もいる実態。世界に与える不審が強まる。 「働きたい」ということは、本質は良いことだが・・・・
ひとは労働によって人格を陶冶できる。だが「働かないと生活できない」「疎外された労働」はひとを労働災害や職業病に追い込む。両者を意図的に混同した論者が多くなった。

「国民主権」とは?日本は国民主権国家か?
だが 「天皇主権国家」でもない。 「隷従型独裁政権」が全権を実質的に握っている。 天皇ご夫妻をも、コントロールしようとしてきた。 中国やロシアは覇権主義だが、中ロよりも酷いのが2019年日本社会の現状だ。。

展望   櫻井 智志

2019-10-04 22:57:14 | 社会・政治思想・歴史

まもなく安倍晋三政権が明治以来最長の政権となる。
発想を逆転。
明治以来支配者は国民を恫喝し恐怖によって国民を押さえつけてきた。
安倍晋三はその象徴にふさわしい。
戦後民主化はアメリカCIAと傀儡政権に抗いつつ推進されてきた。
土壇場が「安倍式憲法破壊」だ。
マスコミ篭絡で膨大な世論右翼化。




安倍政権打倒は、安倍政権を支える政治家・右派団体・官僚等の現在の政治腐敗政治極右化利権汚職忖度の現状への対抗策である。
立憲民主・国民・社民などの統一会派。
日本共産党とれいわ新選組の交流。
反安倍保守リベラルの結集。
3層が段階的に国民的規模の統一戦線を構築する意志の存在が最大の実践的課題となるだろう。





日本の政治はトランプの手の中。
だが、大国中華共産党に香港市民は天安門事件の教訓を実現継承した。
中国もロシアもコンミューン主義を離れ覇権主義。
戦後自主独立の日本共産党の存在は意義をもつ。
ただ草の根に根付いた声は生かしきれていない。
立ち上がった反原連等自主的市民との連繋が究極的な鍵である。

正体を現した安倍政権『天皇制復活』の陰謀と現実的危機  櫻井 智志

2019-04-18 01:28:38 | 社会・政治思想・歴史

今上天皇ご夫妻の人格は、日本国憲法が明示した戦後民主主義の天皇条項にふさわしい。


日本国憲法条文
第一章 天皇
第一条【天皇の地位・国民主権】 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の 存する日本国民の総意に基く。
第二条【皇位の継承】 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、 これを継承する。
第三条【天皇の国事行為と内閣の責任】 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、 その責任を負ふ。
第四条【天皇の権能の限界、天皇の国事行為の委任】
1 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有 しない。
1946 年 11 月 3 日 公布
1947 年 5 月 3 日 施行 2
2 天皇は、法律(国事行為の臨時代行に関する法律)の定めるところにより、その国 事に関する行為を委任することができる。
第五条【摂政】 皇室典範の定めるところにより、摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国 事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
第六条【天皇の任命権】
1 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第七条【天皇の国事行為】 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及 び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授不すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。
第八条【皇室の財産授受の制限】 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜不することは、 国会の議決に基かなければならない。




大嘗祭:
戦後に11月23日の「勤労感謝の日」が、戦前の「大嘗祭」の日の廃止により定められた。天皇制を軍国主義政治が利用し軍事侵略戦争がアジアや海外諸国に悲惨な戦禍をもたらしたばかりか、国民を戦争によって戦死させ、またアメリカなど相手国によって戦死させられた。米軍により広島、長崎に核兵器が投下され、歴史上はじめて核兵器によって攻撃され壊滅的な被害を受けた。その教訓から、戦前の天皇制にかかわる行事は全面的に見直された。

神武天皇、天照大神:
退位する今上天皇・皇后が、あいついで神武天皇や天照大神を祀る伊勢神宮に「報告」、と報道。ここに至って私は、天皇ご夫妻個人とこの国を大きく戦前の天皇制国家に逆戻が圧倒的な速度で驀進していることに目が醒めた。



三権の長:
何気なく見過ごしがちだ。ニュースが「三権の長として安倍首相が」という言葉を聞いた。司法・立法・行政は、裁判所、内閣、衆参国会がつかさどる。そして、三権の長とは、今まで半世紀以上生きて来た私がそのような場合の恒例は、衆議院議長が行ってきた。安倍晋三がここ数年、自らを「立法府の最高責任者」と僭称するたびに国民は安倍氏はボケてきたのか、と。ワイマール憲法を改悪して、「総統」と独裁者となったナチスのヒットラー。同レベルの野望を抱いている恐れが透けてきた。


news23投稿
天照大神は、モデルはあったかも知れぬが神話上の人物。ご退位寸前で超多忙なご夫妻が訪ずれる最後が伊勢神宮とは・・・・神話と歴史の混合から脱する昭和天皇の「人間宣言」だった。憲法第一章【天皇】第三条【天皇の国事行為と内閣の責任】から言えば、明らかに内閣のミスリードと思う。

仮説【枝野幸男立憲民主党は立憲保守政権をめざしているのだろう】 (増補)櫻井 智志

2019-04-10 23:15:53 | 社会・政治思想・歴史
 
構成
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Ⅰ:枝野幸男立憲民主党は立憲保守政権をめざしているという着想
Ⅱ:立憲民主党よ、初志は何処へいったのか~2017衆院選と2019神奈川県知事選
Ⅲ:小沢一郎氏と枝野幸男氏は政権交代をめざしているが器が違う
Ⅳ:増補資料 統一地方選2019・黒岩知事3選 圧勝の先に(下)集大成へ高まる緊張(神奈川新聞 2019年04月10日 05:00 )

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Ⅰ:枝野幸男立憲民主党は立憲保守政権をめざしているという着想

「立憲保守政権」とは、自民党安倍政権の➀憲法の論理を無視した独断的独裁的政治➁憲法を軍事的管理主義によって恣意的誘導的改定をもくろむ進め方 の大きく2点とは真逆の政権である。

枝野幸男氏は菅直人民主党政権の官房長官を務めた。おりしも東日本大震災が発生した。枝野官房長官は、同時の福島原発爆発事故の現状を詳細に国民に向けて寝る暇もないほどの説明報告に誠心誠意取り組んだ。この時に私は、専門家からの説明の内容への批判に同感したけれど、枝野氏の国民の不安に対応する力量に好感を覚えた。

新党さきがけの政治家として活躍した田中秀征氏は、『自民党本流と保守本流 保守二党ふたたび』(2018年講談社)を著した。自民党本流は改憲を本旨として岸信介から始まり安倍晋三に至る。保守本流は護憲主義の立場であり、石橋湛山から始まり、宮沢喜一・田中角栄・加藤紘一に連なるが、「加藤の乱」を契機に途絶え自民党はそれから「保守本流」が途絶えずっと「自民党本流」の政治家が総裁総理をになってきた。

枝野氏は、反安倍反自民のスタンスに立つ。だが「野党共闘」や「市民と野党の共闘」よりも、田中秀征氏のいう「保守本流政権」を創ることで、安倍独裁政治を政権交代することをめざしている。枝野氏の構想は政党共闘よりも立憲民主党そのものを、自民党に代わる一大勢力に発展させることだ。いくつかの政党を合併吸収や提携はあっても、連立政権をおそらく考えてはいまい。

その志は構想大と言えるが、現場で自民党にのみ込まれたり、篭絡されていく危険はないだろうか?私は、黒岩祐治氏を最初に知事選で推薦した旧民主党の中心的な勢力である立憲民主党に対して三選出馬の黒岩氏がとった対応を怪訝に思う。黒岩氏に推薦を申し入れた立民党に、なんと選挙を直前に黒岩知事は推薦を突き返したのだ。カジノ誘致問題に両者のやりとりに食い違いがあって、知事は怒り・・・。立憲民主党は誰も支持しない決定を決めた。

 神奈川県知事選と立憲民主党との関連に以前まとめた記事を、次に掲載する。



 Ⅱ:立憲民主党よ、初志は何処へいったのか~2017衆院選と2019神奈川県知事選
                                 
➀ 2017衆院選

2017衆院選の直前に、小池百合子都知事が、民進党を分裂させ「希望の党」を立ち上げたことで順調に進んでいた野党共闘は頓挫した。なかでも、分裂した民進党から、枝野幸男氏が「立憲民主党」をたちあげ、民主党=民進党の中での立憲主義と国民側に立つ政策を継承する志を示した。

 だが、国会勢力が維持されるかどうかの現実問題として危機は続いた。この時に、立憲民主党に手を差し伸べ支援したのが、日本共産党だった。従来全選挙区に候補者を擁立してきた共産党は、立憲民主党が立候補した選挙区で早くから内定し準備をしてきた候補をおろすという、驚天動地と言って大げさでない方針を決めて全国の選挙区で実施した。
  例を私が住む神奈川県の実際に焦点をあて、毎日新聞記事をデータとしてお借りする。

神奈川選挙区は18の小選挙区にわかれる。立憲民主党は、6つの選挙区に候補を出した。日本共産党は立憲民主党が候補を擁立した5つの選挙区で候補をおろした。両党が候補を出したのは、現内閣官房長官菅 義偉氏が立候補した神奈川2区だけである。

神奈川2区
当 菅  義偉 (68) 自民 南関東ブロック 前 123,218票 57.1%
高橋 野枝 (43) 立憲 南関東ブロック 新 47,191票 21.9%
橋本 久美 (48) 希望 南関東ブロック 新 28,635票 13.3%
大貫 清文 (60) 共産 新 16,699票 7.7%

 また日本共産党は、社会民主党が唯一立候補した選挙区でも、自党候補をおろしていえる。

神奈川15区
当 河野 太郎 (54) 自民 南関東ブロック 前 159,647票 67.6%
佐々木克己 (62) 社民 南関東ブロック 新 38,242票 16.2%
乃木 涼介 (53) 希望 南関東ブロック 新 38,162票 16.2%

 このような野党協力について、共産党内部でも、現在では国会議員選挙で候補をおろす必要はないと意見を表明するベテランOBの意見もある。
 2017衆院選では、そのような選挙協力によってどうなったか。2区15区は重複を避ける。


2017衆院選神奈川選挙区共産・立民協力区の開票結果

神奈川1区
当 松本  純 (67) 自民 南関東ブロック 前 103,070票 47.8%
当比 篠原  豪 (42) 立憲 南関東ブロック 前 78,019票 36.2%
長島 一由 (50) 希望 南関東ブロック 元 34,433票 16.0%

神奈川4区
当 早稲田夕季 (58) 立憲 南関東ブロック 新 67,020票 34.8%
当比 山本 朋広 (42) 自民 南関東ブロック 前 55,700票 28.9%
浅尾慶一郎 (53) 無 前 51,495票 26.7%
風間 法子 (47) 希望 南関東ブロック 新 18,618票 9.7%


神奈川6区
当 青柳陽一郎 (48) 立憲 南関東ブロック 前 86,291票 44.6%
上田  勇 (59) 公明 前 82,788票 42.8%
当比 串田 誠一 (59) 維新 南関東ブロック 新 24,424票 12.6%

神奈川7区
当 鈴木 馨祐 (40) 自民 南関東ブロック 前 103,324票 47.0%
当比 中谷 一馬 (34) 立憲 南関東ブロック 新 87,819票 40.0%
川野  案 (35) 希望 南関東ブロック 新 28,685票 13.1%

神奈川12区
当 阿部 知子 (69) 立憲 南関東ブロック 前 86,550票 43.2%
当比 星野 剛士 (54) 自民 南関東ブロック 前 83,924票 41.9%
原  輝雄 (43) 希望 南関東ブロック 新 29,852票 14.9%

5人がすべて当選している。3人は前職、2人は新人である。

➁ 2019神奈川県知事選
4月7日は、2019統一地方選挙の前半、道府県知事選が実施される。
東京新聞神奈川版は候補者をこう伝える。


◆黒岩祐治(くろいわ・ゆうじ)さん(64) 無現<2>=自民国民公明
 若葉台団地を未病モデルに
 横浜市旭区の横浜若葉台団地で第一声に臨んだ黒岩さんは「何の迷いもなくここを選んだ。若葉台団地の『奇跡』が、これからの日本を救うと確信しているから」と理由を切り出した。
 自らが掲げる「未病改善」の取り組みに触れ、「超高齢社会を乗り越えていく神奈川モデルが未病という言葉に象徴されている。今回の選挙を通じてその先に行きたい」と強調した。同団地の高齢化率は48%と全国平均を上回りながら、この十年で要介護認定率は12%に下がっていることを挙げ「住みよい、楽しい団地にしたいとやってきた結果だと聞いた。これこそが超高齢社会を生きていくモデルだ」と指摘した。
 さらに「笑いも重要なキーワード。笑いを増やし、元気に、健康になる。これが命輝く神奈川の具体的な姿。若葉台団地になろう、と訴え続けていく」と支持を求めた。 (北爪三記)
<略歴>知事(元)大学院教授・フジテレビキャスター▽早大


◆岸牧子(きし・まきこ)さん(62)無新=共産・緑の党
 健康と教育の格差是正訴え
 岸さんは横浜市西区の横浜駅西口で、大勢の支持者らを前に「貧困による格差を、健康と教育の格差にしてはいけない。誰一人取り残さない神奈川にリボーン(再生)する」と第一声を上げた。
 今の県政では、待機児童の解消や中学校給食の導入は進まず、給料も年金も少なく「どの人も苦しんでいる」と主張。
 黒岩知事が目玉に打ち出す「未病改善」は「医療を商品化し、健康を自己責任にしている」と問題視し、カジノ誘致に反対を明言しないことも批判した。
 その上で「カジノより給食」とのスローガンを掲げ、全公立中での給食の実施や十八歳までの医療費無料化、最低賃金の千五百円(時給)への引き上げ、脱原発の推進といった公約を紹介。「私たちは多数派だ。私たちが願う政治に変えられる」と呼び掛けた。
<略歴>市民団体代表・園芸業(元)中学校教諭▽武蔵野美大

 岸正子氏には、告示日に「緑の党」が推薦している。
私が問題として疑問に思うのは、自民党、公明党、国民民主党、の後に現知事黒岩候補を推薦して、推薦を候補から断られた立憲民主党の政治方針だ。黒岩氏に断られた立民党は、「誰も推薦しない」方針を表明した。
 一方、「緑の党」は告示日に岸正子候補推薦をご本人に伝えた。岸正子氏は「よこすか市民9条の会」共同代表や「よこすか・みうら市民連合」事務局を務めている。「緑の党」や「新社会党」など議席数は少ないけれども、政治運動や市民運動に日常的に国民サイドで誠意ある有意義な日常的実践を継続している。

 立憲民主党は、枝野幸男代表が「地方組織の拡充」を喫緊の課題としている。神奈川県知事選への対応にも、立民党の内部の事情があることが、横浜市市長選での自民党推薦候補支持や京都府知事選での自民党推薦候補を支持する側に回っているのか。

 今回、北海道知事選や沖縄衆院補選では、他の立憲野党と協同して野党共闘を構成するスタンスにある。立憲民主党が、万一、市民運動候補サイドに立てば、立民と友党の神奈川県地域政党の「神奈川ネットワーク」も反自民候補の側にたつだろう。
 立憲民主党よ、何処へいく?!


Ⅲ:小沢一郎氏と枝野幸男氏は政権交代をめざしているが器が違う

 前回新潟県知事選、沖縄県知事選。この選挙に森ゆうこ参議院議員、玉城デニー氏が果たした役割は大きい。この選挙において、小沢一郎氏は実に重要な役割を果たした。自民党幹事長を40歳代で務めた氏は、自民党を脱出して、政界の中枢で動き続けた。民主党を鳩山由紀夫氏と立ち上げた仕事は、小沢氏への私の視点を逆転させた。

 民主党は、小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏の退場によって変質していった。菅直人氏の代表就任で変わり、野田佳彦代表によって民主党は自壊していった。

 その後も小沢一郎氏は政界で毀誉褒貶に折れずに活躍してきた。氏の志は【政権交代】である。枝野幸男氏が「市民と野党の共闘」に建前で賛同し、実質は立憲民主党拡大に奔走するのはそれだけの志を確固としてもっているからだ。

  しかし、黒岩祐治元アナウンサーごときに翻弄されているようでは、安倍自民党の前で旧民主党の国会議員が次々に自民党入りしている現段階、枝野氏にはなんら心配していないが、立憲民主党の総体が枝野氏の志を理解し同行し続けるか、神奈川県知事選知事選のような定見を持たず右往左往して自民党グループに漁夫の利を与えた結果は、他の都道府県ではないことを願う。

 立憲民主党の政治家と支持者には期待している。枝野代表のご健闘を期待してやまない。

           -了―21019.4.10

(*写真:社民党大会時のものでネット検索で探し転載させていただいた)




Ⅳ:増補資料   統一地方選2019・黒岩知事3選 圧勝の先に(下)集大成へ高まる緊張(神奈川新聞 2019年04月10日 05:00 )



統一地方選2019  神奈川県知事選

選挙 神奈川新聞  2019年04月10日 05:00

https://www.kanaloco.jp/article/entry-160278.html


 元キャスター2人による与野党の一騎打ち-。

 現職圧勝の気配が既に広がっていた3月21日の知事選告示前、立憲民主党のごく少数の国会議員が黒岩祐治知事への「刺客」擁立を極秘裏に進めていた。

 キャッチフレーズは「かながわのサンダース」。米大統領選の民主党候補に名が挙がる左派系上院議員に重ね、市民派・リベラルの旗を打ち立てていく戦略を検討。一騎打ちになれば現職を脅かす候補になると確信していた。

 「三くだり半を突き付けられ、野党第1党として黙っていられない」

 立憲民主党の県連幹部には、「推薦」を依頼しておきながら自ら取り下げた知事に対する不信感が増大。背後に自民党の影も重ね、対抗心むきだしに戦いを挑む姿勢を強めていた。

 しかし、残された時間はあまりに短く、中央政界の事情もあり、「キャスター対決」は幻に終わった。

 カジノ反対、中学校給食の完全実施、原発ゼロ-。黒岩知事への推薦を巡り、立民が「政党として譲れなかった主張」(県連幹部)は、共産党推薦で出馬した岸牧子氏の看板政策とほぼ一致していた。だが、自主投票とした立民が岸陣営に加勢することはなかった。

 「もともと是々非々でやっており、『知事与党』という言葉は厳に戒めてきた」

 県議会・立民会派の団長はこう強調するが、2期8年の黒岩県政で知事提出議案に反対したケースは、前身の民主党会派時代からゼロ。知事選で与野党相乗りの支援体制から外れた今も「これからも野党ではない」との立場を崩さない。

 前回の得票数を上回る225万票を得た知事も、選挙結果に「(立民離脱の)影響はなかった」と説明。推薦の枠組みから外れたのは「党の中央」が原因とし、「県議団とは同じ方向性で非常にいい関係」との見方を示す。

 しかし、知事を推した自民、国民民主、公明党は「反立民」の姿勢を激化。県議からは「これまでも仲間ではなかったが、敵であることが決定的になった」との声が相次ぐ。

 県議会でも先鋭化する与野党対決は、政策の行方にどう作用するのか-。

 知事は「与党だと思っている会派からも厳しく追及され、私からは全部野党にも見える」と二元代表制の緊張感を自覚するが、今まで以上に厳しく向き合う姿勢は早くも見え隠れする。

 「笑うのはいいことだが、やかましいと感じる人もいる。政治家はそこも感じ取らなければいけない」

 笑いを振りまいた選挙活動に対する自民県連幹部の言葉に、ベテラン県議が続ける。「次の4年は、集大成だ。笑ってる場合ではない」

引用終了