【現代思想とジャーナリスト精神】

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転載【AERA dot.】(構成/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

2023-09-14 14:49:16 | 転載・政治社会と思想報道
望月衣塑子氏「岸田首相、大丈夫?」 小渕氏のみそぎも萩生田氏の旧統一教会の説明もまだ
吉崎洋夫 によるストーリー •
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望月衣塑子氏「岸田首相、大丈夫?」 小渕氏のみそぎも萩生田氏の旧統一教会の説明もまだ

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 9月13日、岸田文雄首相の内閣改造、自民党役員人事の顔ぶれが決まった。女性閣僚が過去最多タイの5人、初閣僚が11人と刷新感を出しながら、政権の中枢を担うポストは留任させ、支持率の回復と権力基盤の安定を狙ったと見られている。しかし、SNSでは早速、選対委員長に就いた小渕優子氏の起用に批判が噴出している。果たして今回の岸田首相の人事は吉と出るのか、凶と出るのか。東京新聞の望月衣塑子記者に聞いた。

*  *  *

――今回の人事の第一印象はどうか。

 女性を登用し、刷新感もあり、注目されていますが、インパクトはそこまでないと思います。

今回入閣した女性5人のうち加藤鮎子氏、自見英子氏、土屋品子氏は世襲政治家です。女性活躍を掲げながら、「世襲でないと閣僚になりにくい」という印象が出てしまうのは残念です。

――注目の抜擢は?

 外相に就く上川陽子氏は実力者だと聞いてます。首相になるためには、内政だけではなく、外交もできないといけないと言われています。選対委員長になった小渕優子氏が将来の首相候補として期待されている向きもありますが、上川氏のほうが一歩近づいたように思います。自民党内では対中強硬派の声が強まっていると言われてますが、それをいかに抑えて、中国との関係を正常化していくか、手腕が問われるところだと思います。

 また、世襲議員ですが、こども政策担当相の加藤氏がジャニーズ問題でどこまで踏み込むか注目しています。前任の小倉将信氏は元所属タレントからヒアリングは行わず、消極的な姿勢を見せていました。

望月衣塑子氏「岸田首相、大丈夫?」 小渕氏のみそぎも萩生田氏の旧統一教会の説明もまだ

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 省庁ではジャニーズタレントを広告に起用しているところもあります。政府として無関係とはいえないでしょう。今回の事件は国際的にも問題視されており、加藤氏がこどもの性被害問題に積極的に取り組むことができるか問われていると思います。

――岸田首相の人事の狙いはどこにあると思いますか。

 表向きは刷新感を出しながら、権力の中枢は派閥の会長や幹部が占めました。麻生派を率いる麻生太郎氏は副総裁に留任、茂木派トップの茂木敏充氏も幹事長留任が早々に決まりました。安倍派の幹部である松野博一官房長官、萩生田光一政調会長も留任となりました。これまでの政権の骨格は維持したかたちです。

関連するビデオ: 自民・選対委員長に小渕優子氏「心に反省を持ち」 女性閣僚5人“過去最多タイ” 第2次岸田再改造内閣 (日テレNEWS)
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自民・選対委員長に小渕優子氏「心に反省を持ち」 女性閣僚5人“過去最多タイ” 第2次岸田再改造内閣


 今回の人事で、国民の支持率を回復に向かわせながら、足元の党内の基盤を整えたことで、次期衆院選や来年の総裁選に臨んでいこうとしているのだと思います

――支持率は上がるのでしょうか。解散のタイミングはいつが考えられるのでしょうか。

 今回の人事で少し改善するとは思いますが、これまでの不人気を払しょくするほどではないでしょうね。これから出てくる経済対策でどのくらいインパクトを出せるかがポイントになってくると思います。

 解散については、最短では、臨時国会を召集して、冒頭解散というシナリオが考えられます。北朝鮮がミサイルを飛ばし、金正恩総書記とロシアのプーチン大統領が会談をするなど国際情勢が厳しい中だと政権の支持率が上がりやすい傾向があります。そうしたなかで、今回の人事と経済対策などで国民の支持を高め、そして解散というシナリオですね。

 臨時国会が始まってしまうと、支持率は下がるでしょう。原発処理水やマイナンバーカード、物価高対策など野党から厳しく追及される問題が山積しているからです。岸田首相としてはこのままズルズルとやって、任期満了で降ろされるというのは避けたいところでしょう。

――衆院選、総裁選を乗り越えると、宏池会で最も長く首相を務めた池田勇人氏の在職日数1575日が視野に入ってきます。岸田首相が池田氏と並ぶのは、26年1月と言われています。

 岸田首相は池田氏を「尊敬している」と述べていますし、目標にしているところはあるでしょう。岸田首相は「これがしたい」という政策が見えてこないので、そうなると池田氏の在職日数を超えることが目標となってくるかもしれませんね。

――岸田首相は改造後に「思い切った経済対策を実行する」と述べていました。期待は?

 支持率回復に向けて思い切った対策を出したいのでしょうが、これまでの政策を見ていると期待はしていません。「異次元の少子化対策」では、十分な対策を示し切ることができていませんでした。聞こえのいい言葉だけの政策に国民は飽き飽きしています。国民の生活は本当に疲弊しています。生活者に寄り添った政策を示せなければ、支持率は回復しないと思います。


――岸田首相の増税路線に対してSNSでは「増税メガネ」などと揶揄されています。今回の人事で、増税路線は変わらないでしょうか。

 増税路線は変わらないと思います。今回の人事では官房副長官の木原誠二氏の後任として、岸田派の村井英樹氏が就きました。村井氏は財務省の出身です。財務省にとって岸田・木原は「やりやすい」と言われており、財務省の意向に沿って増税路線の政策が行われてきましたが、同じ路線でいくということでしょう。

 先日、経団連が少子化対策などの社会保障制度の維持のための財源として消費税の増税が有力な選択肢の一つと提言していました。増税を進めたい政府を後押ししようとしているのだと見ています。岸田首相は、結局、国民を見た政策はしていません。国民の生活を助けるような「減税」という言葉は絶対に出てこないと思います。

――小渕氏、萩生田氏、木原氏は政治スキャンダル含みと言われています。

 いずれも支持率に影響すると思います。

 小渕氏は2014年に政治資金規正法違反が発覚した際、責任をとって議員辞職するべきでした。辞職して再選するといったプロセスを経て、みそぎを済ませるべきでした。事件から9年を経てもなお国民からの激しい批判を見ると、みそぎができたとはいえません。

 萩生田氏は旧統一教会と深い関係について記者会見を開くことなく、説明責任を十分に果たしていないと指摘されています。しかし、昨日(13日)の就任会見で「今後も不備があれば、求めに応じていきたい」と言いながらも、「説明不足だというご指摘は当たらない」とも答えていました。メディアも厳しく質問して、追及していかなければなりません。

 木原氏については、妻の元夫の死亡を巡る疑惑、愛人疑惑、違法デリヘル問題などで『週刊文春』の追及を受けていましたが、「留任するのでは」と見られていました。岸田首相は何とか留任させたいと考えていたようです。しかし、このような疑念のある人物を重用しようとするのには疑問があります。

 現在、党の幹事長代理に就任するという報道が出ていますが、呆れますね。国民の目に触れにくい幹事長代理というポジションに逃げさせて、スキャンダルは見て見ぬふりとなれば、国民の支持は得られないでしょうね。

「岸田首相、大丈夫かな」という印象です。


(構成/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)



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