・パスタPasta ぱすた
イタリア語でパスタは小麦粉をこねて作った食品を総称し、スパゲッティを含めマカロニなど練り物のことをさしています。日本では主にイタリア料理に使われている硬質のディラムDurum小麦を使ったセモリナ粉の小麦粉で作られた製品のことを一般にパスタといっています。
パスタはイタリア語で「麺類」の意味でもいいますが、イタリアにはさまざまな形のパスタがあり、全部で数百種類ともいわれています。ショートパスタともいい、その用途によってさまざまな形状があり、やはりそれぞれに名称があります。
スパゲティは小麦粉で作られる、細いひものように麺になっているものでパスタの麺はスパゲティということになり『紐・糸Spago』という意味をもつスパゲッティは、イタリアでは直径が2mm前後の細長い麺のことです。スパゲティはそのパスタの中の一種なのです。私たちの、なじみの細い棒状のパスタは「ロングパスタLong pasta」、サラダなどに使うマカロニは「ショートストパスタShort Pasta」に分類します。細い麺になった長さが25cmほどのパスタであるロングパスタでもその太さによって名前が変わります。まずスパゲッティSpaghettiは太さが2mm程度のパスタであり使い勝手が良く、どんなソースにも合うのが特徴です。2mmより太いパスタはスパゲットーニSpaghettoniといいます。
パスタが歴史上に初めて登場したといわれる時期は、紀元前にさかのぼると言われ、そのころは、小麦粉で練った生地を茹でる、スープに入れる、焼く食べ方であったようです。古代ローマ時代に存在したテスタロイTestaroiは穀物の粥状を薄く焼いたもので、ピッツァやラザーニャの原型に近いものと言われます。12世紀には、すでに乾燥パスタの大規模な製造が現在のイタリア国内のシチリアでは行われていました。13~14世紀のイタリアでは、パスタは一般家庭に普及するようになり、15世紀にはスパゲティの元祖ともいえる棒状の乾燥パスタがつくられていました。
そして16世紀には圧力機が出現し、それまでの手づくりから、一部機械を利用した押し出し方式の製法に変わります。
パスタが人気になった時期は17~18世紀頃に入ってからで1492年のコロンブスによる新大陸からイタリアにトマトが上陸したのは16世紀、品種改良によりパスタ料理に使われるトマトが作られるようになったのは17世紀です。 パスタのトマトソースとして使われ、特にナポリのパスタは、よく知られるようになりました。
ナポリ料理の大きな特徴は、新鮮な魚介をふんだんに使うことと、トマトが味の決め手になります。どうやら日本のナポリタンはこの「トマトが味の決め手」という部分に注目して昭和20年代に横浜のホテルニューグランドで考案したといわれている「ナポリタン」のトマトソースで絡めた日本料理が作られたように思われます。
日本にパスタが伝わったのは明治16年(1883年)頃、 フランス人神父が製造したのが最初といわれています。
その後 、昭和初期から少しずつ国産化が始められましたが、まだまだ珍しいものでした。終戦後にアメリカから輸入の小麦は薄力粉となる軟質小麦で従来の日本産の小麦も軟質のものであり、必然的に日本のパスタは薄力粉で打ったコシのないものでした。一般化したのは、イタリアから全自動式パスタ製造機を輸入し大量生産されるようになった昭和30年代以降のことです。
初めて輸入したデュラムセモリナを100%使った業務用商品が販売されたのは昭和36年、昭和40年からは日清製粉の工場でデュラム小麦をセモリナに挽くことができるようになり、それ以降、家庭にもデュラムセモリナを利用したパスタが浸透していくことになります。
硬質小麦Hard wheatは、小麦の粒の硬いもので大粒で粒を切断すると切り口が半透明でガラス質小麦ともいわれています。
栽培は比較的低温、乾燥した地域がよく、主に地中海沿岸で春播きで栽培し粒が赤い色をしています。でん粉質が少なく蛋白質が12~15%と多く、強力粉としてスパゲティ(デュラム小麦)、製パンに向いています。日本での栽培は難しく、おもにアメリカ、カナダからの輸入に頼っています。
パスタは麺の形をしていないものもあり、JAS規格では、スパゲティ、マカロニともにマカロニ類としています。マカロニ類の日本農林規格(JAS規格)においては、小麦にはデュラム小麦のみを使用し、成形した後、熟成乾燥したものを対象とし、マカロニだけでなくパスタ類全般が含まれるとする規格です。
スパゲティ、マカロニ(棒状又は帯状のものをのぞく管状、英字、シェル、ホイール状など)、バーミセリーVermicelli (太さ1.2mm未満の棒状)、ヌードルNoodle(帯状)、ラザニアLasagna (幅広の板・リボン状又はその料理名)、ラビオリRavioli (中に肉を詰めたもの)、ニヨッキGnocchi(卵、牛乳、チーズなどを練り合わせ棒状、貝形などにしたもの)など形態、種類がおおく数百種以上あるといわれます。
スープ、サラダ、付け合せに、日本では、スパゲティーミートソースとして主食と用いたりしています。黄色は、色素キサントフィル(カロテン)によるものです。
パスタにはいろいろの形、料理法があります。
◇スパゲティSpaghetti は、棒状で高圧で鋳型より圧出、押し出して直径1.2mm以上の麺として口当たりがつるつるとしてなめらかで、歯ごたえのある食感、腰の強い茹でで煮崩れしません。
スパゲティが最初に作られたのは、イタリアの説が有力なのですが麺としては紀元前から開かれているシルクロード経由で1800年ほど前の後漢末時代に作られている湯餅(タンピン)・索餅(ひも状のうどん)の中国説とほかにもあり定かではありません。
名前は、イタリア語のスパゴSpago (糸)に由来するといいます。たん白質13%と乾麺(うどん・ソーメン・中華麺類)9%に比較し多く含みます。
熱湯で10分程度茹で、余熱を考慮し少し歯ごたえがあるほうがよく、アルデンテal dente(イタリア語:わずかに芯が残っているゆで加減)といい、茹で上がったらサラダ油、バターをまぶしておくと麺同士がくっつかなくてよいでしょう。熱いうちにソースをかけるなり、あえるなりしていただきます。
スパゲティミラノ風:茹でたての熱いうちにバターとおろしチーズをからめたものです。
ミートソース:ひき肉、玉葱、人参、セロリ、にんにくのみじん切りを炒め、塩コショウ、コンソメで味付けしトマトピューレを加え、必要に応じて水(スパゲティの茹で汁)を加えて2時間ほど強火から弱火にして煮込んで味を整えます。
茹で上げたスパゲティに掛けていただきます。粉チーズ、パセリのみじん切りを散らすのもよいでしょう。
ナポリタン:戦後に日本で作られた料理で、軟らかめのスパゲティにあえる具材としてとして、きのこ(マッシュルーム・エリンギなど)、野菜、貝類(あさり・はまぐりなど)、トマトソース(ピューレ)が使われます。柔らかめに茹でられた麺に炒めたケチャップの甘く香ばしい味わいです。
カルボラーナ:茹でたスパゲティとホワイトソースを和え、粉チーズをふりかけグラタン皿にいれオーブンで焦げ目が軽くつく程度に焼き色をつけます。
◇マカロニMacaroniには英字、シェルShell,、ステラStella (星状)、アネリーニAnerini (リング状)、ホイール状Wheel-shaped、エルボウElbow (三日月状)、ホイールWheel (車輪状)、ツイストTwist (ねじり状)、スパイラリSupairari (らせん状)など、マカロニは、イタリア料理で使われる麺類であるパスタのひとつです。語源は、イタリア語のマッケローネMaccheroneの複数形マッケローニMaccheroniとなります。
国や地域によって、意味するパスタの形状に違いがあります。日本では短い穴の開いたものや貝殻状のもの、形を凝らしたものなどの総称で指していることに対し、イタリアでは主に穴のあいたのものを指しています。
小さいものはスープ・サラダなどに用いています。
日本人では、トマトは生でサラダにすることが主流でしたが食生活の多様化によってパスタを利用したさまざまの料理が登場し生活に豊かさを与えています。
パスタは、単に小麦粉で練った生地であり、イタリアのパスタは栽培していたのディラムDurum硬質小麦が多く使われていたことから、ロングパスタとショートパスタと分類し、日本でパスタといえば硬質小麦で作られた麺類、マカロニ類といえるでしょう。
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