神鳴り2さまのかぼちゃの種と綿の有効利用が見られます。
◎南瓜Pumpkin・ Squash かぼちゃ
ウリ科Cucurbitaceaeカボチャ属Cucurbita、中南米原産です。アメリカ大陸発見後にアジアに広がりカンボジアより伝わってカボチャの名前がつけられています。日本では1549年にポルトガル人によって戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で大友宗麟(おおとも よししげ / おおとも そうりん)に献上されたのが始まりといい日本南瓜といわれます。
九州から関西の方言による名称として「ぼうぶら」、「ボーボラ」などと呼ぶ地域があり、これらもポルトガル語で、Cambodia abobora「カボチャ」、「ウリ類」を指す「abobora(アボボラ)」から由来し、この呼び名が付けられたと言われています。漢字表記の「南瓜」は南蛮国から伝わった瓜ということです。さらに関西では南京から伝わったと言われており、ペポ種は中国を経由して来たためナンキン、唐ナスと呼ばれることもあります。英名パンプキンPumpkinは、ペポカボチャの一部で果皮が橙色のカボチャのみを指し、一般的なカボチャはスクワッシュSquashと呼んでいます。
主要生産地は中国、インド、ウクライナ、アフリカです。日本への輸入は平成24年(2012年)の貿易統計によると、合計で11万5,137トンです。おもな輸入先は、ニュージーランド(6万5,182トン)、メキシコ(5万4,549トン)、ニューカレドニア(2,560トン)、大韓民国(1,188トン)、トンガ(1,126トン)となっています。
日本では7~10月にかけて鹿児島産から順次北の北海道産ものへと市場に出荷しています。全国の収穫量は、22万7,100トンで生産量の最大は北海道(特に和寒町)で、鹿児島県・茨城県がそれに次いでいます。
3月中旬から4月中旬が種まきです。 カボチャの生育適温は20~28℃ ですが夏場も盛んに成長します。乾燥には強いが、過湿に弱いので排水対策が必要なこともあります。カボチャの葉は大きくて突起があり、斑模様や裂片を付けます。また、花は黄色や橙色で、すぐに散ってしまう特徴があり、そのため、人工授粉が行われていることがほとんどです。8~9月にかけて収穫しています。
種類は多く、主に3種類の、セイヨウカボチャ(栗南瓜)、ニホンカボチャ、ペポカボチャに分けられます。日本の市場で出回っているカボチャの9割以上が西洋南瓜です。
野生種は苦味成分のククルビタシンを多く含み食用に適しません。
●西洋カボチャPumpkin ウインター・スクワッシュWinter Squash カボチャ・スクワッシュkabocha squash
市場に広く普及してる黒皮栗カボチャ、青皮栗カボチャ、赤皮栗カボチャが見られます。19世紀中頃にアメリカから伝わり大型の扁平で甘みが程よい皮に溝がないか浅めで、果肉は橙色で濃い黄色のカロテンで日本かぼちゃより多く含みます。粉質、糖化するデンプンが多く含まれており、加熱すると甘くなりホクホクとした食感が楽しめます。
●ニホンカボチャ(東洋カボチャ)Squash トロピカル・スクワッシュTropical Squash
腰高や扁平な形で小型、果皮は硬く黒皮から緑で腰高等の品種があります。炭水化物、水分が多く、皮にはっきりした溝があり、粘り気がありねっとりとした食感で、煮崩れしにくく、終戦前後に主食とし食糧難の時代には代用食として重宝していました。今では市場には、殆ど出回っていません。
●ペポカボチャ サマー・スクワッシュSummer Squash
ペポ種でおもちゃカボチャ等とも呼ばれハロウィンの時に大活躍です。ズッキーニ等の風変わりな種類がここに含まれ煮物やパンプキンパイにも利用しています。甘さがある為お菓子類のスイーツにも使われます。しかし、ハロウィン用のカボチャは観賞用ですので食味は優れないものが多いようです。
ズッキーニZucchini/Summer squashは、メキシコ原産で、16世紀頃イタリア人によってで品種改良し緑果種と黄果種があります。別名つるなしカボチャともいいます。ヨーロッパよりアメリカにも渡っています。日本には、1970年代後半にアメリカより輸入、最近では、九州地域でのハウス栽培により一年中出荷しています。生育がよく育てやすいといわれ6~8月に開花後、2~5日で長さ20cm、直径3cmになった青いうちの未熟果、太めのキュウリに似た円筒状ものを収穫します。花がついたまま収穫するものもあり花ズッキーニ(花8cm、実8cm)といいます。
淡白で少しの苦味とほのかな甘味、加熱でナスのような食感が感じられ油との相性がよく南欧風、イタリア料理に主に使われ薄く輪切りし、揚げて魚の付け合わせ、天ぷら、炒め物、煮物、クリーム煮、スープ、茹でてサラダにしています。よく利用している料理でラタトイュは、トマト、なす、ズッキーニ、セロリ、玉葱などの野菜をオリーブ油、ハーブ、調味料で炒め煮したものです。
ズッキーニ、きゅうり14kcal/100g中と同程度の低カロリー食品でありビタミンAがズッキーニ53μg、キュウリ55μg、そうめん南瓜8μg、西洋南瓜660μg、日本南瓜120μg/100g中に含みます。
珍しいものとして、キンシウリ(金糸瓜)、別名「そうめんかぼちゃ」もペポカボチャの一種です。いと南瓜といわれ茹で上がると繊維質だけにな糸のようになって歯応えがよくシャキシャキとして食感がよく、それを三杯酢、マヨネーズ和え、出し汁での煮物にしています。冬瓜を小さくした皮が黄色です。茹でると果肉が糸状にほぐれる変わり種です。
主に中国で食用にする南瓜種子Pumpkin seedsは、長径2~3cmの長円形で乾燥させ塩煎りしたものが瓜子(グワズー)といいつまみに用いています。パンプキンシードともいいナッツとしてパンや洋菓子のトッピングとしても使われます。
炒り味付け100g中 にエネルギー574kcal、たんぱく質26.5g、脂質51.8g、炭水化物12.0g、灰分5.2g、ナトリウム47mg、カリウム840mg、マグネシュウム530mg、リン1100mg、鉄6.5mg、亜鉛7.7mg、銅1.26mg程度含み可食量は1/10ぐらいで10g程です。
ペポカボチャに殻がない種子をもつ品種があり薬用に使われ種子に含まれる脂肪酸と植物ステロールが皮膚粘膜、筋力の強化、脱毛、薄毛の原因とされる5αーリダクターゼReductase の酵素を阻害し、特に女性の排尿によいとし用いられます。さらに生薬で乾燥した種子は南瓜仁(ナンカニンまたはナンガニン)といい条虫、回虫駆除に用いていました。
南瓜の品種によって成分が異なり栗南瓜(西洋南瓜)といわれる品種の果肉は糖分も多く、カロテンも日本南瓜の数倍も多く含みます。水分が少なくてほくほくしており果肉の硬い完熟したものがおいしく頂けます。夏野菜のビタミンA(カロテン:皮膚粘膜、括約筋の強化)給源となります。保存がきいて冬至南瓜とし利用してきました。
山梨県内ではほうとうにカボチャを入れる料理が知られ、日本では主に煮物、揚げ物、コロッケ、ポタージュ、汁の実の料理に用いています。欧米では、甘みの強い品種で菓子作りにも向いて菓子のパイ、スープに利用されることが多く、粉末にしたもの、缶詰、冷凍品もあります。
西洋南瓜100g中でエネルギー91kcal、たんぱく質1.9g、脂質0.3g、炭水化物20.6g、水分76.2g、カロテン4,000μg(ビタミンA660μg)、B1:0.07mg、ビタミンC43mg、食物繊維3.5g、
フリーズドライ粉末でかぼちゃ100gあたり)エネルギー 331kcal、たんぱく質 7.0g、脂質 2.3g、炭水化物 70.6g、ビタミンA 912μg、ビタミンB1:0.18mg、ビタミンC 33mg、食物繊維 12.2gを含みます。
南瓜のわたには、βーカロテンが実の5倍も含み乾燥させたわたの部分をオイルに漬け抽出させて利用するのもよいです。
カロテン4,000μg(ビタミンA660μg)と多く含み、ビタミンAの成人1日の推奨量750μg、上限摂取量3,000μg(3mg)としています。100g中でスモークレバー17,000μg、うなぎ2400μg、モロヘイヤ1,700μg、ほたるいか1,500μg、人参760μg、豚肝臓1,300μg、西洋かぼちゃ660μg、ほうれん草700μg、生ワカメ160μg、みかん170μg、緑茶葉(玉露3,500μg、抹茶4,800μg、煎茶2,200μg:浸出液0)、すいか(赤肉腫)140μg、柿70μg、牛乳39μg、鮭Tr~63μg、鶏卵150μg(卵白0μg)、ブルーベリー9μg、豚ヒレ肉2μgを含みます。
南瓜の表皮部分には、ビタミンC(アスコルビン酸)酸化酵素を含み貯蔵中にビタミンCが激減してしまいます。20℃以上のところでは、2週間~1ヶ月もしないで半減してしまうので5~10℃位で保存するのがよいでしょう。
ククルビタシンCucurbitacinは、未熟果、ウリ科(きゅうり、西瓜、メロン、かぼちゃの種子、にがうりのわた)に多く存在しています。苦味の成分でフラボノイド系、配糖体として未熟果に、ツルに近いへたの部分で胡瓜では、色の濃い頭の部分に多く存在します。
酵素エステラーゼEsteraseが作用することで、苦くなるといわれています。外敵から身を守る役目ではないかといいわれます。チッソ肥料を多くして成熟期を高温、乾燥で育てるなどで苦味(ククルビタシン)の多い胡瓜になりやすい傾向です。
ククルビタシンA~Rまであり水に溶けにくく熱に安定で中性脂肪の吸収阻害する。抗酸化、抗がん、消化促進作用があるのですが多量に摂取するとおう吐、腹痛を伴ない中毒症状を呈します。下剤としても用いられています。
ウリ科Gourd family うりか
植物界Plantae、被子植物Angiosperms、真正双子葉類Eudicots、コア真正双子葉類Core eudicots、バラ類Rosids、マメ類Fabids、ウリ目Cucurbitales、ウリ科としてAPGⅢ体系ではウリ目としています。類縁については昔から議論があり、新エングラー体系では独立のウリ目 Cucurbitales にした離弁花類と合弁花類のどちらに入れるか問題となっていたが、クロンキスト体系ではスミレ目Violales に分類していました。
世界のほぼ全域に約 110属1000種ほどが知られ特に熱帯地方に多く分布しています。
日本には5属10種が野生し、大部分は巻きヒゲを持つつる性の草本であり、ほとんどが、花は初夏に花が咲き雄花と雌花が同株、または異株につき生長が速いです。
多くの種が古くから多肉・多汁な果肉を有するものが多く果菜、果物として栽培してきました。また、ラカンカ、キカラスウリなど、果実や塊根を生薬として用いる種もあります。
ククルビタシンは、ウリ科植物に特有の成分です。食用・薬用に、きゅうり、とうがん、ゆうがお、すいか、かぼちゃ、とうがん、ひょうたん、へちま、にがうり(ゴーヤ)、しろうり、はやとうり、金糸ウリ、めろん、アマチャヅル、羅漢果(ラカンカ)、ズッキーニ、キワノなどがあります。
南瓜には、カロテンを多く含み、ビタミンAとして西洋南瓜660μg/100gと成人1日の推奨量750μgをほぼ満たしています。冷凍品、粉末の製品もありますので煮物、ポタージュとして手軽に多用したい食品です。
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初版2019,11,4