・霜降 そうこう
2019年の10月24日は24節気の18番目で秋の最後の節気であり寒露(かんろ)と立冬(りっとう)の間で 霜降にあたります。地域によっては、朝夕に肌寒さを覚え秋も深まり最低気温が10℃以下になり始めます。
紅葉が日本列島の北から南へ徐々に移動して秋の気配が去りつつあり、まさに早朝、夕の気温が下がり冷気によって露が霜となりあたり一帯が白く霜でおおわれ霜の降りる月のことです。この頃から立冬までの間に吹く寒い北風を木枯らしと呼んでいます。東京では10月半ばから11月30日、近畿では霜降から冬至の期間ぐらいです。
中国で2600年前に黄河付近で作られ日本では平安時代より使い初めています。 中国ではこの期間をさらに5日を一候とする七十二候とし、霜降の三候 (初候:豺乃祭獣[さい すなわち けものをまつる]・次候:草木黄落[そうもく こうらくす]・末候:蟄虫咸俯[ちっちゅう ことごとく ふす]) に区分しています。山犬が獣を祀り (中国の故事) 、草木の葉が黄落し、虫が地にひそむ時期にきたことの意味です。
日本では初候(2019/10/24~2019/10/28)&霜始降(しも はじめて ふる):霜が降り始める
次候(2019/10/29~2019/11/2)&霎時施(こさめ ときどき ふる):小雨がしとしと降る
末候(2019/11/3~2019/11/7)&楓蔦黄(もみじ つた きばむ):もみじや蔦が黄葉する
二十四節気の成立は殷(BC1600~BC1046)の頃に二至二分、西周(BC1046~BC770)の頃に八節、春秋戦国(BC770~BC221)の頃にそれぞれに成立しています。太陽の運行に基づき、夏至、冬至、春分・秋分とし、この4つを春・夏・秋・冬の中心として決めた暦です。この4つの節気は合わせて「二至二分(にしにぶん)」と呼びます。
二至二分が二十四節気を決めるうえでの基準となります。また、立春・立夏・立秋・立冬の4つを「四立(しりゅう)」と言い、それぞれ春夏秋冬の始まりの日として重要な節気となっており、二至二分と四立を合わせて「八節(はっせつ)」としました。
元来太陰太陽暦の9月中 (9月後半) のことで、太陽の黄経が210°に達した日 (太陽暦の 10月 23日か 24日) に始り立冬 (11月7日か8日) の前日までの約 15日間(2019/10/24~2019/11/7)ですが、現行暦ではその期間の第1日目をさしています。天文学ではその瞬間(日本2019/10/24/2:20)です。
立秋はこの夏至と秋分のちょうど中間の日で、暦の上ではこの日から秋が始まり、秋の節気は立秋(2019/8/8)、処暑(2019/8/23)、白露(2019/9/8)、秋分(2019/9/23)、寒露(2019/10/8)、霜降(2019/10/24)となっており、霜降は秋の最後の節気です。霜降の次は立冬(2019/11/8)になります。
地球温暖化により初霜の日は少しづつ遅くなる傾向にあるようです。また10月はそろそろ日を追って北から初霜の冬の便りが届けられる冬の訪れが近いことを知らせる月です。暖房の準備を促し、温(ぬく)もりが恋しくなってきます。札幌の初霜の平年値は10月22日、初氷は10月26日頃です。
10月は、虫の音(ね)の数も減り山々の紅葉がみられます。一般に北海道と沖縄の南北の温度差が大きくなっています。温度差は夏は少ないですが冬では大きくなっています。
花は、茶ノ木、菊 、コスモスなどです。
本格的な冬に備えて、しっかりと栄養をとっておく必要があります。
旬の食べものとして植物性ではきのこ類、ぎんなん、ほうれん草、さつま芋、里芋、大根、カリフラワー、にんじん、かぶ、かぼす、落花生、小豆、栗、かりん、すだち、柿、ぶどう、りんご、新米などです。
動物性の魚介類では、ほっけ、サバ、秋鮭、秋鰹、ししゃも、はぜ、ぼら、うなぎ、はたはた、伊勢えびなどです。
霜が降りる頃には、冬野菜の春菊、ほうれん草、白菜、大根、長葱、カブに繊維が軟らかになって甘味が増してきます。甘味は一般に糖分、糖質、砂糖のことで砂糖は一般にかんしょ糖、甘蔗 かんしゃ(かんしょ)、さとうきびの糖のことです。広義、広い意味では単糖類、少糖類、多糖類の総称、又は水に溶けて甘味のある炭水化物の総称としても使われています。
甘味のある炭水化物、糖質として単糖類、少糖類について、野菜には一般に2~5%の炭水化物を含んでいます。霜に当るほど甘味が増し柔らかくなることは、繊維質の多糖類が少なくなって甘味のある糖類が増加していることになります。
野菜の炭水化物の主成分は、水溶性の蔗糖、ぶどう糖、果糖で一般に水溶性の糖質の多い野菜類では生でも甘く、煮物にしてその旨みを与えています。単糖類:グルコース(ぶどう糖)、フラクトース(果糖)等少糖類:蔗糖(甘蔗糖、甜菜)、オリゴ糖等糖質が多くなって糖濃度が高くなります。凝固点というのがあります。
液体が冷却されて固体になるときの温度で純粋な結晶物質の凝固する温度は一定でまた融点と等しいとされます。溶液が液中で化学変化を起こしているような場合には異なってきますが不純物があると凍りにくいといわれています。真水(蒸留水または水道水)と砂糖水とでは砂糖水のほうが凍りにくいのです。このことは、砂糖水のほうが水より凝固点が低いことを表しています。砂糖水を煮立てていくと茶色くなってカラメルができますがその時の温度は約200度、真水は約100度止まりで気化していきます。砂糖水にすることによって凝固点降下と沸点上昇がみられることがわかります。
野菜は糖度を増すことによって凍結から身を守る手段としていたようです。
二十四節気だけでは、日本の習慣の気候の説明には不足なので、他に「雑節」を設けています。雑節は明治20年に始まった日本独自の暦です。雑節はより農作業と照らし合わせ節分、社日(しゃじつ)、彼岸(ひがん)、八十八夜、入梅、半夏生(はんげしょう)、二百十日、土用と季節の移り変わりの変化をあらわしその目安を示す日としています。
さらに「七十二候」については江戸時代の天文暦学者・渋川春海が日本の気候に合わせて改訂版を出し、その後明治時代に「略本暦」が出てそれまでの「七十二候」を大幅に変えました。現在使われている日本の七十二候はこれが元になっています。
なお2016年に中国の「二十四節気」をユネスコの無形文化遺産に登録しています。
ご愛読戴きましてありがとうございます。よりよい情報をお届けしてまいります。
2019,10,21