・苗木Seedlings なえぎ
果樹園の樹木が老木となって果実の実りが少なくなってくると、若い苗木との交換をしています。
これらの苗木はどのようにして作られているのでしょうか。
果樹などの苗木を作るにはいくつかの方法があります。主なものとしては
(1)果実の種をとって蒔く
(2)枝を切り取って土に挿木(さしき)する
(3)何らかの台木(だいぎ)と云って別な植物に接ぎ木する
の3つに大別しています。
(1)の種をとって蒔く方法は主にクルミの苗木を作る時におこなっています。さつまいも、さといも、じゃがいものイモ類も種芋から育てられています。
(2)枝を切り取って土に挿木するのはブルーベリーやブドウの苗木を作る時に、おこなっています。 (3)の枝を切り取って土に挿木するはりんご、ナシやモモやミカンなどの苗木を作るときに用いられます。葡萄の類でもつぎ木して作られた苗のほうが、果実の成りが良好です。
種から直接育てているのでは少ないようです。
りんご、ナシやモモなどは(3)の台木への接ぎ木の方法で苗木を作ります。果菜類ではキュウリ、 スイカ、メロンなどのウリ類と、ナス、トマト、ピーマンの一部で接ぎ木苗を利用した栽培が行われています。
その理由としては大きく分けて2つあります。
りんごについていえば、
一番目に例えば「ふじ」という品種の種を蒔いても必ずしもその品種にはならないということです。
一個の果実にはおよそ20個の種が入っていますが、そのひとつひとつが別の品種になるのです。種はその成った木の品種とその花に飛んできた別な種類の木の交配で成った実から取れた種なのでどんな品種がなるのか全くわかりません。新しい品種を作る場合は種を蒔いて作っていくことになります。
二番目に、りんごの枝を挿しても根付きがよくなく根が出ず根付かないことにあります。
このような理由により、りんごの苗木を作る場合は主にカイドウを台木として用いています。 このカイドウにも数種類あり台木として使われているほとんどが、マルハカイドウという種類です。 このマルハカイドウは発根性が優れて枝を土に挿すとほとんどが活着し、りんごとの相性がよいのです。
ただし、このマルハカイドウを使った場合、樹が大きくなるので、現在ではこのマルハカイドウに M26やM9などといった樹を小さく納めることができるという「わい性台木」を接ぎ木した台木に、 更に品種を接いだ苗木を用いた「わい化栽培」も増えてきました。
世界のりんごの主産国ではこのわい性台木を使ったわい化栽培が主流となっています。
接ぎ木の方法には、「切り接ぎ」「割り接ぎ」「芽接ぎ」など十数種類の方法がありますが、 りんごの場合は主に「切り接ぎ」の方法が用いられます。
また時期によっても接ぎ木の方法が異なり、 青森県では切り接ぎで苗木を作る場合は、一般に4月中に行うことが理想的です。
芽接ぎは夏場に主に用いられる方法で、りんごよりもモモなどの苗木作りに適した方法です。
切り接ぎ方法は、切り込みをいれて差し込みます。
接ぎ木の際はどの方法を用いた場合も台木と穂木(品種の枝)の皮の下にある形成層をしっかりくっつくようにしてやることが大切です。
ブドウの苗木は、一般的に秋から春にかけて販売されますが、12~2月の休眠期の極寒期を除いて植えつけるのが適期です。
さくらんぼは、種からでは品種が一定しないのはもとより発芽率も悪いのです。秋植えと春植えがありますが、落葉後の秋植えの方が活着が良く苗木の生育が良いようです。
それぞれの作物は、気候、風土の違いによって、さらに優良な品種を常に育てていく為に種から育てていくだけでなく、さまざまのやり方がありました。
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