・果物の追熟Fruit After-ripening くだもののついじゅく
秋は収穫の時期で果物が色とりどりに店頭に並べられています。
日本人が一番食べている果物は2002年までは一位だった温州みかんを抜いて2018年(平成30年)からはバナナ、リンゴ、みかんの順に入れ替わっています。輸入物の安いバナナに国産の果物が押しのけられた形となってしまいました。さらに「旬を問わず買うことができる」「安い」「手軽に食べられる」などが考えられています。
バナナは青い未熟のバナナを輸入し追熟によって黄色に完熟したものが市場にみられます。
さて追熟は、どの果物が適しているのでしょうか。
果物は完熟してから採取されるものが美味しいのですが、種類によっては輸送が困難であったり、収穫期に脱落して傷つきやすかったりで熟する前に収穫して、出荷直前に完熟させています。
輸送に時間を要しないもの、追熟に向かないものは、完熟したものを採取して店頭に並びます。
未熟で採取し追熟するものは、未熟果にあつた酸味が減り甘味の増してきます。
完熟までの過程は、果実内のデンプンが分解した果実は軟らかくなり、酸味が減り甘味をより強く感じてくるようになります。
現在、バナナのほとんどは、フィリピン、エクアドル、台湾等からの輸入品です。病害虫の国内侵入を防ぐため、植物防疫法により、完熟したバナナの輸入は禁止なので、未熟果(青いバナナ)を輸入します。
未熟のバナナは、室(むろ・加工室)に入れて、15~20℃の温度で微量の約1,000ppmのエチレンガスで処理し、果皮が黄色となるまで追熟させてから出荷しています。
洋ナシで未熟果の果実内のデンプンが分解され 植物ホルモンのエチレンを微量作り特有の芳香を生じてきます。果実は軟らかくなり、甘味をより強く感じます。
アボガドは、エチレンを生成し、熟成が進みます。より速く熟成させるのにエチレンガスを発生させるリンゴやメロンなどの果物と一緒の袋に入れておくとよいでしょう。
完熟してからでは、傷みの早いもの、完熟したものでも追熟させたものでも美味しさの変わらないもの、海外からの病害虫の進入を防ぐなどの目的でエチレンガスを作用させ追熟が行なわれています。
キウィフルーツは、エチレンを生成することができないのでエチレンガスを多く生成するリンゴなどと同じビニール袋に入れてはやく追熟させることができます。
主に
アボガド、バナナ、パパイヤ、マンゴー、メロン、キウイフルーツ、ヨウナシなどが収穫後に追熟している果物です。
リンゴ、ニホンナシ、ブドウ、カキ、いちご、桃、枇杷は熟してから収穫されていることがおおいようです。
甘柿はそのまま食べますが、渋柿は収穫後にアルコールや炭酸ガスで渋抜きをしています。この過程は追熟ではないといいます。渋抜きといい、渋を抜く方法には「アルコール」「 炭酸ガス」「エチレンガス」「温度をかける」方法等が行なわれています。
ついでに種を植えて実がなるまでの年数はどのくらいなのでしょう。
2~3年ぶどう、もも 3~4年なし、うめ、くり 4~6年柿 5~6年リンゴとなります。
追熟は、おもにエチレンガスの作用によって行なわれているのです。
追熟させるには15~20℃度程度の温度が適します。10度以下の寒いところではおいしく追熟が進みません。
低温でまったくつい追熟が進まないということもないので冷蔵庫にエチレンを多く発生させるものが入っていると、他の果物や野菜を熟成させてしまうので注意が必要です。
*エチレンEthylene
果物を追熟することによって生成される熟成を促進させる成分でバナナ、洋梨、メロン、りんご、もも、アボガド、キューイフルーツ、ブロッコリー、トマトに多く含まれる。人工的に追熟を行う場合にも利用され成熟ホルモン(老化ホルモン)ともいわれ実用化している。
逆にエチレンを除くことによって貯蔵食品の劣化を遅らせることも行われている。鮮度保持剤としてエチレン吸収剤を包装した中に入れること、CA貯蔵(酸素に触れないようにして果物の呼吸を抑制し追熟を遅らせ鮮度を保たせる貯蔵法)がされている。遺伝子組換えによってエチレン生成抑制トマトの開発も進んでいる。
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