たっきーです。
今日は0のつく日、5月30日です。
私の体験談を綴ってきた本シリーズも、ついに最終章・最終回となりました。
「癌から奇跡の復活・最終回」
【癌発覚・リンパ節転移・手術・さらに肺転移、そして奇跡の復活!】
2011年11月に「中咽頭がん・リンパ節転移」との診断を受けた私ですが、その後の、抗癌剤治療・放射線治療、そして手術、さらに肺転移発覚・・・という状況の中で、自分がそれにどう向き合い戦ってきたか、これまでの総まとめと、今を生きていることの歓びを、皆様と共有できればと思います。
癌という病気は、そのものの恐ろしさのみならず、それによって受ける精神的なダメージもはかりしれません。私の受けた治療や、支えてくれた家族のサポートの様子などを今一度振り返ってみました。
<2011年>
6月30日 ストレスフルの状況の中で、現役リタイヤを迎える
11月 5日 喉に違和感あり受診 「中咽頭がん・リンパ節転移」告知
9日 手術入院するも、腫瘍が大きくなり、治療方法が変更となる
14日 放射線治療開始(1クール、33回)
15日 抗癌剤治療開始(1週間)
・諸々副作用出始める
20日 味覚障害が強く食欲不振に、首周りの紅斑、
・時々気分転換に外泊(帰宅)
12月 1日 一気に脱毛
14日 中咽頭癌の原発巣消滅、リンパ節転移縮小
20日 第2回目の抗癌剤治療開始(1週間)
<2012年>
1月 1日 人生初の病院での迎春
4日 放射線治療終了
10日 退院(入院64日間)
23日 通院検査でリンパ節に腫瘍残りありと診断
30日 手術のため再入院
31日 右頸部リンパ節転移による切除手術(右頸部郭清術)
・ 転移の腫瘍は壊死、再増殖の可能性認められない
2月11日 退院
3月 1日 手術後一ヶ月、首・肩周りの筋肉が動かないまま
9日 予後の薬剤(TS-1)の服用始まる
11日 副作用によりこれまでに経験したことのない下痢が続く
・ 食欲不振となり6月頃まで数10回にわたって通院点滴、体重も最初の入院時から20キロ減少で歩行困難と最悪の状態となる
5月末 相談の結果、薬剤の服用中止
6月29日 片桐先生が異動され担当医が変更
7月 6日 高原医師が後任の担当医となる
7月27日 定期CT検査の結果、肺に多発転移との告知あり
7月31日 妻が25年間務めた会社を退職する
・ 妻の退職により通院は勿論の事、私のすべての行動を妻がサポート
8月22日 腫瘍科で肺転移の状況と治療方法の説明
・ 新たな抗癌剤の投与を勧められたが、この頃は体力の無さと体のだるさ等から、しばらく延期を申し出、妻も専業主婦となったことで自宅にて療養生活
9月29日 目に副作用あり眼科を受診、漢方薬(個人輸入)服用スタート
・生搾りにんじんジュースなど野菜中心で超塩分控えめの食事
9月27日 定期CT検査 診断結果「肺転移は縮小」
12月18日 定期CT検査 診断結果「肺転移はさらにやや縮小」
<2013年>
・10数年ぶりに自宅にて夫婦二人で新年を迎える
3月19日 定期CT検査 診断結果「肺転移はほぼ消滅」
さて、ここまでは既にブログ記事に書いた通りです。
最終回となった今日は、その後の定期検査の結果や今現在の状況を書き綴っていきます。 肺に転移してからは3ヶ月ごとにCTの検査を受けていましたがその4回目の定期検査では先生も驚くほどの診断結果となりました。
転移後の体調については、呼吸に苦しむことなどなく、肺転移による薬の処方・服用は特になく、そのためこれといった副作用はありませんでした。しかし、この時期もずっと漢方薬は飲み続けていました。
ある時、手術の後遺症で首や肩周りの凝りがひどく、ある友人の紹介で、これまで通っていた治療院とは別の病院に出向いてみました。いわゆるセカンドオピニオンというわけではありませんが、名医と評判とのことでしたので・・・そこでは治療前にまず、レントゲン撮影を行い、その結果に基づいた針治療を行うという流れでした。
そこで、先生から告げられた言葉に、私は衝撃を受けました。
何と、肺に水が溜まっているというのです。これまで私は、一度もそのような診断を受けたことはありませんでしたので、この診断には正直、動揺を隠せませんでした。しばらく憂鬱な気持ちで日々を過ごしていました。
そんな中、4回目の定期検査の日を迎えました。
毎回CT検査は、造影剤を使ったより正確な検査で、素人の私たちが見てもよくわかるくらいの鮮明な画像です。いつものように画像を見ながら先生の説明が始まりましたが、居ても立ってもいられない私は、すぐに「先生、肺に水がたまっていませんか?」と尋ねたのです。
先生はほほ笑みながら「全くそんなことはありませんよ」おっしゃいました。私達は思わず胸をなでおろしたのでした。
そして、4回目の定期検査での診断結果を聞きました。
6月21日の定期CT検査・診断の結果は「肺転移は否定的・再発転移なし」というものでした。
先生からの淡々とした説明に私たちは、ひたすら耳を傾けて聴き入りましたがなかなか実感が湧いてきませんでした。
そして、診断レポートの診断欄に書いてある「再発転移なし」という文字を何度も読み返しました。時間をかけて確認したのち、やっとこの事実を納得する事が出来ました。
次第に嬉しさが込み上げてきて大声で「やったぞー!!!」と叫びたい気持ちでしたが、ここは静かな診察室。何とか抑えました。
先生に挨拶し、廊下に出たところで、私は妻に「ありがとう」と声をかけました。これまで私の回復に全力を注いでくれた妻に本当に感謝です。妻も嬉しそうでした。
体調の変化は自分でもわかりますが、さすがに詳しい病状については医師頼みというのが現状です。
それにしても、あの“肺に水が溜まっている事件”は何だったのでしょうか。
悲しいことですが、自分のその後の運命もかかる医者次第だなと思います。
このことは今でも時々思い出すと恐ろしくなります。もちろんその医者のところにはその後一度も行っていません。
毎日を二人で過ごすようになって、気分的にとても楽になり生活スタイルが大きく変わりました。自分勝手になりがちな私を心優しくサポートしてくれた妻の存在がますます大きくなっていきました。
そして3カ月が経ち5回目の検査の日を迎えました。 時にその日は2013年12月3日です。
通院はいつも妻が車を運転してくれて、私は検査に専念出来ました。
5回目となるとさすがに段取りもわかりますので、行動もスムースですし、検査のための準備も素早くできるようになっていました。まさに検査の達人?!(笑) 病院に到着してから検査、診断結果報告など全て終わるまでの時間は平均して約3時間です。
この時期も特に変わった検査をすることもなく、5回目のCT検査の結果説明を受けました。 診察室に呼ばれ先生の顔見た瞬間、何だか今までとは違う空気を感じ取りました。
そして先生から発せられたのは「異常はない」という言葉でした。
診断レポートを見ても「診断」の欄に「明らかな再発転移なし」と記載されていました。
これまでずっと「肺転移」という言葉が私の心の中に棘のように刺さったままになっていました。それが今回は、肺転移が無くなっていたのです。明らかにあったはずのものが・・・
これは驚くべき事実でした。これを奇跡と言わずして何と呼べばいいのでしょうか。思わず身体が震えました。
「12月 3日 定期CT検査 診断結果「明らかな再発転移なし」
この文字を見て、これまでずっと私を苦しめ続けてきた“癌”という文字と響きが、私の頭の中から“すーっと”消えていく感じを覚えました。
先生からは完治と言う言葉は残念ながら聞けませんでしたが、私は「必ずうまくいく!」という自分の信念で、より早く元のように動ける体に戻ること、つまり「癌からの奇跡の回復」を果たしたと思っています。
ただ検査については引き続き行っていただく経過観察となり、次回からは半年後、つまり今年の6月に検査を受けます。
今年に入って既に5月も終わりですが、今日まで二人であちこち旅行に行き、特に東京ではスカイツリーに登ったり六本木ヒルズにて夕食をしたり、また銀座にある有名シェフの店で食事をしたりするなど行動範囲が大幅に広くなるほど元気になっています。さらに、田舎に帰って農作業のお手伝いなども出来るまで体力は回復してきました。
現在は副作用の口の渇きと手術の後遺症で食べ物が飲みにくい、首や肩周りの筋肉がまだ硬いなど完璧な復活とまでは行きませんが、少なくとも“癌”と言う怖さや精神的な重苦しさは全くありません。
よく言われますが「病は気から」という言葉があります。癌という病気についても私の経験上この言葉は非常に大きな意味を持ち、また自分の免疫力アップにも絶大なパワーがあると思っています。
特に『気力』は絶対に失ってはいけません。
人間誰しも気弱になるときはあると思いますが、この時大きな力・気力の後押しとなるのは家族・身内のサポートです。
家族の方におかれても『諦めない』事が一番大切だと思います。 癌の告知を受けてからを振り返ってみて約3年間、自分も家族も本当に大変でした。
私は告知を受けた時は、あまりショックは受けなかったのですが、体にメスを入れた後遺症の苦しみは今でも続いていて、一時は体重の減少・体力の衰えで精神的に折れてしまいそうになる時もありました。
そんな時に妻の「あなたの仕事は元気になることです!」の言葉に大きく励まされ今日に至っています。
おかげさまで、このように常に前向きで毎日を楽しみ、そしてやりたいことができる状態まで回復することができたのは、私を担当して頂いた病院の各科の先生をはじめ、外来・病棟の看護師の皆様、いろいろな検査をしていただいた方々、そして友人や家族のおかげであると心よりお礼と感謝を申し上げます。
私は、本当にいい御縁を頂いて、健康を取り戻す事が出来ました。
これからもこの御縁を大切に、心と身体の健康を保ち続けていきたいと思います。
これをもって、「癌から奇跡の復活」のシリーズは終了といたします。
どうぞ皆様も、健康第一で楽しい生活を送られることを祈っています。
このシリーズが、がん患者の方、その家族の方々の何かの参考になれば、これほど嬉しいことはありません。
本当にありがとうございました。