遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

シェイクスピア 16/37

2010-01-12 23:53:01 | シェイクスピア
2010/1/12

BBC「ヴェニスの商人」を見る。
小学5年生の頃、学芸会で上演した。うちの学校では割とよくやってたけど、どこでもそうなのかしら。10歳のころから、「ポーシャがいくら男装したって、婚約者のバッサーニオは気づくだろ」と不思議だった。あれから20年たったけど、まったく同じ印象。
「間違い」や「十二夜」だと「ま、そこはいいでしょ」という感じがあったんだけど、「ヴェニスの商人」は違う。男装する必然性が弱くてとってつけた感じが残る。
あと、やっぱり高利貸しのシャイロックは気の毒すぎるし、後味が悪い。
BBCの役者さんの問題もありそう。シャイロックの役者さんはもちろんうまいし、結構ひどいことも言うんだけど、どことなくやさしそうに見える。泉谷しげると津川雅彦を足して2で割った感じ。
もうひとつ、奇妙だったのはアントーニオ。
ここまで友情に厚く実直なやつはいないというのが最初の印象。
以下、親友バッサーニオに金を貸す時の言葉。
「私の誠意を疑うのは何よりの侮辱だ。助けてほしいならそう言えばいい」
自分もこんなセリフ言ってみたいよ。
ただ、なんでこんなに仲がいいのかは作中に描かれていない。金を借りたために、自分の胸の肉1ポンドを取られそうになるなんてバカげてる。頭が悪いわけでもなさそうで、直情的なタイプでもない。
そこで閃いたのが、BL的な解釈。
こうれはもう、アントーニオがバッサーニオのことを好きだったとしか考えられない。バッサーニオはなぜお金が必要だったのかというとポーシャと結婚したいから。アントーニオにとっては失恋。だからあんな自虐的な契約をしちゃった。
最後も、3組のカップルを一人で見送るアントーニオという結構さびしいシーン。
少なくともBBCの演出さんは意識してたと思うなあ。どうかなあ。

※ ポーシャとシャイロック。あんまり似てない。
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シェイクスピア 15/37

2010-01-08 21:56:35 | シェイクスピア
2010/1/8

BBC「ハムレット」を見る。
文学史における「モナリザ」なんて呼ばれているらしい。たしかにタイトルは誰でも知ってると思う。でも、あらすじを知ってる人はあんまりいないんじゃないかな。「生きるべきか、死すべきか。それが問題だ」というせりふのほうが有名な感じがする。
ニナガワ版ならDVDとライブの両方で見ているけど、今回はじめて寝ずに見られた。レベルの低い話だけど、やっとまともに話がわかったわ。
214分という長丁場だったけど、骨太な展開で時間ほど長くは感じない。BBCは作品ごとに舞台装置にムラがあるんだけど、ハムレットの場合は、余計な装飾は省き、だだっぴろいスタジオらしきところが主な撮影場所。脚本と役者で勝負できるという自信なんだろうな。ハムレットの人間性は面白いと思うけど、解釈するにもようやくスタートラインに立てたという感じ。

※ ノニノニ歌うオフィーリア。
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シェイクスピア 14/37

2010-01-07 00:06:32 | シェイクスピア
2020/1/6

BBC「ヘンリー5世」を見る。
残念な王様シリーズは2作品で終わり。ヘンリー5世は百年戦争を再開してフランス軍を打ち破った。やたらかっこいいぞ。
若い頃はやんちゃだったというエピソードや、身分を隠して兵士の本音を聞きだしたりするあたり、ちょっとした人物という感じ。
逆に劣勢になると弱音を吐いたり、フランス王女にぐだぐだな感じでプロポーズしたりと人間味もある。
そんなに弱音をはくんなら、フランスなんか攻めるなよとも思うので、名君と言えるのかどうかは微妙なところ。
芝居の中の君主として優れている(面白い)という感じ。ついでに兵士たちがコミカルで個性的なのも、それまでの歴史劇にはなかった描き方。
「なんかシェイクスピアうまくなったなー」なんて、やたら上目線で思ってしまった。
好きなせりふ「ねぎを食え! お前はねぎを食うのだ!」。ちょっと気になるでしょ?

※ 帽子ではない。髪型。
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シェイクスピア 13/37

2010-01-06 00:19:05 | シェイクスピア
2010/1/5

BBC「ジョン王」を見る。
昨日の「リチャード2世」と同じく「ダメ君主モノ」と言っていいのかな。比べると、こちらのほうがストーリー性はぼんやりしているし、ジョン王が主人公と言っていいのかどうか悩む。最初に出てくる私生児のリチャードのほうがかっこいいし、主人公っぽいからだ。なんだこれと思って白泉Uブックスの解説を読んだら、当時の風刺を多分に含んでいるらしいと。そんなの今見て楽しいわけない。
ついでにその解説には「後味のよい芝居ではないが今日にも通じる苦さがある」とあるがほんとうかしら。
自分の中では「リチャード2世」は性格劇だったけど、「ジョン王」は歴史劇であったという解釈。見るほうはたいへんだよね。
ここまでいろいろ見て、シェイクスピアのセリフって無駄と言うか話を進めるのに大して役に立たないセリフがほんとに多い。
どうしても途中でぼんやりしてしまう。

※トランプの絵札みたいだったジョン王。
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シェイクスピア 12/37

2010-01-04 21:54:06 | シェイクスピア
2010/1/4

BBC「リチャード2世」を見る。
リチャード2世の人間性が面白かった。
「いるいるこういうムカつくおっさん」という感じ。言うことはコロコロ変わるし、すぐ怒鳴るし、すぐ絶望する。どんな社会にも面倒くさい奴っているもんだろうけど、周りが大変になるんだよね。王様だし。その辺の職人の息子だったら、そんなに絶望することなかっただろうに。
血筋的には正当ではないボリングブルックに王位を奪われてしまうんだけど、彼のほうが指導者っぽくてかっこいい。
生まれてくる身分を間違えちゃったんだなと思うと、ちょっと気の毒な気持ちにもなってくる。
どうでもいいけど、謀反の疑いがあって、証拠がない場合は、有罪無罪を決闘で決めることになるのね。神が見てるんだから、悪いほうが負けると。
けっこう適当だよね。

※ 公爵夫人。へんな帽子。
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シェイクスピア 11/37

2009-12-24 23:45:11 | シェイクスピア
2009/12/24

BBC「恋の骨折り損」を見た。
これは、ムリ。ニナガワ版もダメだったが、BBC版もムリ。せりふが全てBGMに聞こえる。それが全て。
おそらく悪い作品ではないんだと思うけど、日本語訳した瞬間に死ぬ。言葉遊びの一点突破(たぶんだけどね)。原語でなきゃ原作の良さを味わうのはムリだと思う。原語のリズム感、言葉遊びと意味を同時に訳せというのは翻訳者にムリをさせすぎだろう。
たぶんネイティブの人が聞けば結構笑える間なんだろうなあと雰囲気で感じるのみ。
話は求婚する男たちを女たちがあざ笑うという話。シェイクスピアの話では珍しく女性が最後まで男たちを突っぱねて終わる。最後の方のシーンで王の崩御を知ったときの王女の振る舞いがよかった。急に毅然としちゃって。
シェイクスピア全作品の中でどれかひとつだけ英語で読まなきゃならないとしたら、間違いなくこの話を選ぶと思う。

※姫は美しゅうございました。
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シェイクスピア 10/37

2009-12-18 23:19:13 | シェイクスピア
2009/12/18

BBC「夏の夜の夢」を見る。諸事情あって短い作品を選んだ。それにしても、この冬一番の大雪の日に皮肉なもんだ。
登場するのは妖精たちや貴族たち、職人たち、惚れ薬に駆け落ち。あとは想像力でドタバタ喜劇を作り上げれば、話を知らない人でも大きく間違えることはあるまい。話の筋はすっきりしているので、肩の力を抜いて楽しめる。
BBCの最大の特徴は絵面の美しさに尽きる。日本人がやると「コミカル」「かわいらしさ」になるんだけど、あっちの人がやると「かっこいい」「美しい」となる。この差はなんなんでしょう。どのシーンを切り取っても油絵みたい。唯一、おばさん顔のヘレナが気の毒で癒される。劇団一角獣ならお恵さんがやるしかないくらい重要なポジションだ。
癒されるといえば終盤。職人たちの劇中劇。
超ヘタウマ! 演技の中に生活感があるのね。
演技としては超絶技巧の部類に入るんじゃないですかね。

※ ヘレナはメガネっこ(うしろ)。
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シェイクスピア 9/37

2009-12-13 23:05:48 | シェイクスピア
2009/12/13

昨日だけど、BBC「ロミオとジュリエット」を見る。
悲劇なので一直線に破局へと向かっていく。
美しく幸せな二人とコミカルな脇役で最初は明るい調子。そのうち物分りの悪い若者や父母などが現れる。最後にロミオは毒を飲み、ジュリエットは短剣で自害する。悲劇だが、構成がすっきりしているのでさわやかな印象すらしてしまう。
で、BBC版のジュリエットはものすごくかわいらしい。レベッカ・セイアという人。ここまでの歴史物には一人も美人が出てこなかったのに、しっかりしてるよなあ。当時の舞踏会の様子とか、戯曲を読んでもわからない部分が楽しめる。
ティボルトとマキューシオ、ロミオの殺陣も迫力あった。
演出的に奇抜なところがない代わりに、直球勝負が頼もしい印象。
にしても2時間46分は長いんだけどね。

※ ジュリエットの似顔絵は挫折した。
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シェイクスピア 8/37

2009-12-09 21:57:57 | シェイクスピア
2009/12/9

 今日はBBC版「タイタス・アンドロニカス」。蜷川幸雄演出は見ているので、自然と比較しながら見ていく。両方DVDなんだけど。

 もともとテレビドラマで西洋人の配役だから、蜷川版に比べてはるかにリアルだ。ただ、そのほかのシェイクスピア作品と同じく、リアルだけでは苦しい。

 強姦されて両手首と舌を斬られたラヴィニアがいつまでも生きているのは不自然だし、その姿を見つけた叔父のマーカスは助けもせずにただ嘆く。「早く助けてやれよ!」とみんな思ってるんだろうけど、それはしない。リアルな作り方だからなおさら不自然。様式的に作っていた蜷川版を見てたときですら、おんなじこと思ったし。

 後半の話のもたつきもイマイチ乗っかれない。最初の1時間は面白いんだけどなあ。そのあと2時間近くあるのがつらい。

 タイタス役のトレジャー・ピーコックは、格闘家の石澤常光に似てたよ。

※ タイタスとマーカス。
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シェイクスピア 7/37

2009-12-08 22:21:28 | シェイクスピア
2009/12/8

「じゃじゃ馬ならし」をDVDで見る。
昨日と同じくBBC作のテレビドラマ。「じゃじゃ馬」女を旦那が調教していく話。
シェイクスピアの時代は男尊女卑だから仕方ないんだけど、食べるものを与えず、寝ることも許さず、言うことをきかせようとするのはいくらなんでもかわいそう過ぎる。
それで、「雷娘」はみんなが驚くような淑女に変貌してしまうのだが、男目線のご都合主義であることは間違いない。
ただこのBBC版は、「キャタリーナ」が本当に手のつけられない女として、旦那のペトルーチオは乱暴者の大男として描かれ、「お似合いの二人」「割れ鍋にとじ蓋」という感じでなんとかリアリティを保っている。
調教の手段として、虐待を使うのは人権無視の人体実験のようなものだから、成功してよかったねという感じ。結果論。
デートには向かないけど、草食男子への挑発として見れば面白いかもしれない。

※ 切れ者トラーニオ。
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