遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

シェイクスピア 21/37

2010-01-22 23:26:29 | シェイクスピア
2010/1/22

BBC「アテネのタイモン」を見る。
散財家のタイモン公。羽振りのいいときにはたくさんの「友人」たちに囲まれていたが、窮乏すると誰にも見向きされなくなるという話。「金の切れ目は縁の切れ目」をそのまんま演劇にした感じ。
BBC版は奥行きを活かし、特に派手な装飾をすることなく凝った映像を作る。そして、役者はタイモン公が抜群にいい。
絶望なんていう感情は想像もできないタイモンと人間も世の中も一切信用できなくなり、こじきのように死んでいったタイモンを同時に演じるのはさぞかし大変だったろうな。
両極端のほうが演じやすいのかな、どうかな。
そういう意味では時間をおけるドラマのほうがやりやすいだろうな。
もちろん風刺劇として見ることもできる。実際、イギリスでは舞台を全て日本に置き換えて上演されたこともあるらしい。ただ、道徳劇としては見るとつまんないよ。

※ アテネのタイモンその人。
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シェイクスピア 20/37

2010-01-20 22:49:08 | シェイクスピア
2010/1/20

BBC「トロイラスとクレシダ」を見る。
まだ見ていない作品の中で、一番長い作品を選んだ。それでも190分。
苦しかった。話の中で語るべきところは、クレシダの不義のみ。トロイラスとの愛を誓うが、ギリシアに行ったとたん、別の男に心を移す。「片目はあなたを、片目は心とともによそを見ている」といういいセリフがある。
あとは特に見るべきところはなかったように感じた。ひたすら眠い。もう一回見たら違うのかもしれないけど、第一印象は最悪と言っていい。BBC版の演出か役者さんの演技に問題があるのかも。強いて言えば二人の仲介者パンダラスが哀れで面白かったくらい。
研究では「喜劇」だったり「悲劇」だったり、「問題劇」だったりするみたいだけど、自分が分類するなら「なんでもない劇」という感じ。登場人物の関係性が異常にわかりにくくて、最初の一時間はなくていいと思った。

※ 悪女? クレシダ。
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シェイクスピア 19/37

2010-01-19 01:38:06 | シェイクスピア
2008/1/17

BBC「ヘンリー4世・第1部」を見る。
「6世」を見て「5世」を見て、今度は「4世」。主人公は「4世」ではなく、その息子。つまり、のちのヘンリー5世。放蕩で大物感のある彼の成長物語。
放蕩王子の悪い仲間がフォールスタッフという大男。BBC版では樽のような体に木の幹のような顔、いつも赤ら顔という日本人ではありえない造形。このいかにも下っ端という感じのせこい大男が話のフックとなって飽きにくい。で、またいいこと言うんだ。
「名誉とは何だ、言葉だ。名誉って言葉になにがある、空気だ。その名誉を持っているのは誰だ、こないだの水曜日に死んだ奴だ」
山本七平か冷泉彰彦かと思った。小汚いやつなんだけどいいよ。
あと、戦場でヘンリー4世がやられそうになった時に、間一髪で王子が助ける場面。この少年マンガのような話の展開が、16世紀にもうあったというのが発見だった。

※「来るなら来い! こっちからは行くもんか!」
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シェイクスピア 5/37

2010-01-17 15:01:50 | シェイクスピア
BBC「ヘンリー6世・第3部」を見る。
死体がいっぱい。怖い。どいつもこいつもリアル。いかにも「中世の戦争」という感じだ。
話はばら戦争の続き。王冠がキャッチボールのようにあっちへ行ったりこっちへ行ったり。そのたびにたくさんの人が死ぬから兵隊さんはたまんない。話の展開は大雑把だけど、2部を見たときに感じた無常観がいっそう推し進められているという見方もできる。
最後も「リチャードが裏切るのかな?」という感じで終わる。戦争は終わらないのだよと訳知り顔でつぶやいてみたくなる。
それにしてもヘンリー6世・3部作、一貫して美人が出てこなかったなあ。政治利用されるフランスの姫が全然美人じゃないのね。これがリアルというかなんというか。
昔はこういうの一気に上演したのかしら。歌舞伎も結構長いというし、時々幕の内弁当やお菓子を食べつつ、隣の人とおしゃべりしながら見ているのが丁度いいんじゃないかな。
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シェイクスピア 4/37

2010-01-17 14:55:42 | シェイクスピア
BBC「間違いの喜劇」を見る。
テレビ放映を前提にしているシリーズだが、ぐっと演劇よりの作り方に。絵面もきれいで、演技も達者。くすくすしながら見る。
世界のニナガワが「こんなつまらない戯曲は無いよ」と言っていた。たしかに矛盾というかムリな設定が多いが、レベルの高い演出や役者が作れば、きちんと面白い芝居になる。
完成度は低いが愛嬌のある本という感じかな。そうじゃなきゃ、こんなにあちこちで上演してないよね。日本だけ?
二組の双子が対面するシーンは予想通り特殊効果を使っていた。テレビだから別にいいんだけど、「ずるい!」って思ってしまった。なんか工夫しろよって。いいんだけどさ。
ニナガワ版ではドローミオが一生懸命腹話術をやってた。この芝居はそういうムリヤリ感があったほうがいいんじゃないかなあ。
ドローミオはすごく達者。いい役者さんだなあ。軽快。でもカメラ目線はまだ慣れない。
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シェイクスピア 3/37

2010-01-17 14:35:58 | シェイクスピア
BBC「ヘンリー6世・第2部」を見る。
210分くらいだってさ。劇場で見たら、大変だよね。そんなに座ってられないよ、普通。
気のせいか一部に比べてやたらと豪華になっている気がする。小道具の生首の出来がすばらしい。怖いよ。
もうひとつ怖いのが、王妃のマーガレット。
最近見なくなったけど、元マラソンランナーの松野明美さんみたいな早口。話してる内容は罵詈雑言。さすがにあれは旦那(ヘンリー6世)がかわいそうだ。1部でヘンリー6世は彼女に一目ぼれするんだけど、見る目が無さ過ぎるよ。ただ、演技力はある。
どうでもいいけどこの作品、一部から美人が出てこないなあ。リアルと言えばリアル。
話は薔薇戦争のときの話。世界史でうっすら印象に残っている程度。
勝ったり負けたりがめまぐるしく変わるので思ったより長く感じなかったな。
諸行無常という感じがよかったですよ。
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シェイクスピア 2/37

2010-01-16 23:49:23 | シェイクスピア
BBC「ヴェローナの二紳士」を見る。
シェイクスピアの初期の作品らしい。全然知らなかったけど。
テーマは恋と男の友情と裏切り。俗っぽくていい。
解説を読むと、研究者の評判がすこぶる悪いようだ。
だまそうとしたプロテュースをあっさり許したヴァレンタインが不自然だという。そういう不一致は「いまさらシェイクスピアでそんなこと言われても…」という感じ。
役者の力量が問われる芝居だと思うけど、無理な芝居ではない。でも、あえて上演したいか、見たいかと言われるとそうでもないか。
それぞれの恋人であるジュリアとシルヴィアは恐ろしく美人。
歴史モノと恋愛モノで俳優に求められるものが違うんだろう。面白いくらい割り切ってる。
この芝居でもジュリアが男装して、恋人であるプロテュースに仕える。このあたり、シェイクスピアではお馴染みのムリやりな設定。やっぱり男には見えなかったけどね。テレビ向けだとしょうがないのかなあ。
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シェイクスピア 1/37

2010-01-15 23:26:33 | シェイクスピア
2010/1/15

BBC「ヘンリー6世・第1部」を見る。
ヘンリー6世は3部構成なんだけど、1部が3時間くらい。全部で10時間近くある。長い。
実際に見てから1ヶ月以上たつので、どこまで覚えているやら…。
「ヘンリー5世」のその後の話。ただ、作品成立は「6世」のほうがはやいみたい。
BBC板でびっくりしたのが、馬がハリボテ。ベルトがついていてそれを両肩にかけるという、いまどきお笑いコントでもあまり見られないようなことを大真面目にやっている。
時々、役者さんがカメラ目線になるのもなんだか地に足がついていない感じがした。
話は百年戦争の時代。ジャンヌ・ダルクとか出てくるので、作品名ほど地味な話ではない。
このジャンヌがまた小娘にしか見えない。役者さん、オーラないなあと思っていたら、そういう演出だったのかも。戯曲レベルでひどく俗物として描かれていたのが新鮮。16世紀の戯曲に対して新鮮と言うのも変だけどさ。
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シェイクスピア 18/37

2010-01-14 22:50:37 | シェイクスピア
2010/1/14

BBC「十二夜」を見る。
なんだかんだで楽しい。安心できる。
「ヴァイオラが男装すると兄にそっくり」というムリムリな設定さえ通してしまえば、これほど完成度の高い話はない。そのハードルが結構高いんだけど。
ただこの設定がないとこの物語は存在しないわけだし、この芝居を見て楽しんでいる自分もいないということになる。そんなもったいないことはない。
当時の裏事情はいろいろあるんだろうけど、このムリムリな設定を通したシェイクスピアの力技に憧れてしまう。
BBC版も、最初のハードルは結構高いが乗り越えてしまえば楽しい。特に小細工もなく美しい絵面で最後まで飽きない。イギリス人だと直球勝負ができるんだよね。
トレバー・ピーコックの道化はかっこよすぎ。今のところ、BBCの役者さんは彼だけ覚えておけばいいかな。

※ 雑だけど、今までで一番出来がいいかも。左上はフェステだな。
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シェイクスピア 17/37

2010-01-13 22:20:02 | シェイクスピア
2010/1/13

BBC「オセロー」を見る。
イアーゴが巧みな話術でオセローを猜疑心の塊に仕立て、愛妻デスデモーナを絞殺させる。
イアーゴという卑屈な「悪」の存在が、オセローやデスデモーナを破滅させる展開は、ごく真っ当な悲劇。好みで言えばシェイクスピアの四大悲劇の中で一番だ。
ただ、ことBBC版に関しては、オセローもイアーゴも妙な感じになってた。オセローの役者さんは、顔がアンバランスに大きいし、動作や見た目がリアクション芸人っぽい。なんか笑っちゃう。結果、悲劇として中途半端な感じだった。ずーっと前に見たオリヴィエのオセローが強かったせいかなあ。期待しすぎた。途中で寝ちゃったから、見直したりして3時間20分の芝居を観るのに5時間近くかかってしまった。
あと、細かいけどデスデモーナがおばさんだったのも、戯曲の解釈としてはアウトみたい。
唇をなめる癖も逆効果だと思う。

※ いろいろ薄かったイアーゴ。
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