2025/2/28
登場人物ラッシュは落ち着いたものの、新たに発覚することや思い込みによる間違いが多い。
○リザヴェータ・イワーノヴナ:金貸しの義理の妹、35歳。ようやくフルネームが出てきた。
○ポコレフ:ラスコーリニコフにアリョーナの質屋を教えて、ハリコフに帰った。なんだこの名前。多分、もう出てこないような気がする。
リザヴェータの姉のアリョーナは時々「老婆」と書かれている。義理の姉妹とは言え年が離れすぎている気がする。昔の人は50でも老人扱いされていたというし、老婆と言っても意外と若いのかもしれない。
このパートのポイントは4点。
・ラスコ、馬が虐待される夢を見る。
・リザヴェータという女。
・ラスコ、知らない大学生と討論する。
・殺人小道具できるかな。
まだ序盤だと思うが、話は結構動いている。
夢の中では、ミコールカという男が、所有している馬を動かなくなるまで打ちのめして子供ラスコが泣いてしまう。
夢とは言っているけど、描写がかなり具体的で、夢らしさはない。回想のようにも読める。
大人ラスコがこれからやろうとしていることとも重なる。
彼の蛮行を抑制したいという潜在意識が、こういう夢を見させたのかも。
リザヴェータの描写が細かい。魅力的なのか魅力的ではないのかよくわからない感じが絶妙。
ただの妄想や思考実験に過ぎなかったものが、偶然に偶然が重なり、実行に向けて追い詰められていく。
犯行の瞬間は意思と理性が麻痺したような感覚があるという話が出てくる。
殺人だと共感できないけど、結婚とか、転職とか、人生のなかの大きい出来事を決断するときに同じような心理状態になるような気がする。
古着を裂いて斧を隠すための輪っかを作ったり、老婆のだますための木片+鉄板を準備したりしている。最終的に実行するかどうかは先送りにしてとりあえず作る。
こういう準備の積み重ねに、時間制限まで加わると、やらなければいけない気持ちになっていくのもわかる。
この時点で、意思と理性はだいぶ麻痺している感じはする。本人にあまり自覚はないようだけど。