遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

「イチロー×矢沢永吉 英雄の哲学」

2010-01-27 22:05:44 | 読書感想文
イチローと矢沢永吉の対談。それだけで必要以上のエネルギーを感じる。
2006年にBSデジタル放送の共同特別番組で対談したのを再構成したんだそうだ。
対談って、つい「どっちが格上かな」とか考えてしまうんだけど、分野も年齢も違うので、そういう読み方にはならなかった。
永ちゃんのことは、世代がずれているのでよくわからないんだけど、読んでると言葉が「永ちゃんの口調」で聞こえてくる。同じことを何度も繰り返したり、イチローの言葉をそのまま鸚鵡返しにしただけだったりするのは実に永ちゃんらしい言葉遣いだと思う。ダメな編集だとカットしちゃうことをそのまま味として残している。いい塩梅。イチローもしかり。
「二人の共通点」が話題の中心なんだけど、そうじゃないところもある。あるときイチローはイチローを演じることを「やめた」。永ちゃんは永ちゃんを演じているつもりだったんだけど、ある日永ちゃんであることに「気づいた」と。この辺の、自分の演じ方の違いがおもしろいと思った。
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シェイクスピア 23/37

2010-01-26 23:33:59 | シェイクスピア
2010/1/26

BBC「テンペスト」を見る。
シェイクスピアの戯曲の中で唯一魔法を使える主人公。
時間も短いし楽勝かと思ったけど寝てしまった。ああ。
タイトルどおり、最初のシーンは嵐の船上。
自然現象が話題ではなく、実際に舞台上に出てくるのは珍しい。シェイクスピアは上演を前提にした戯曲を書くから、面倒くさいなあと思いつつ書いたんだろうな。いい演出家がいたのかもしれない。
主人公の存在も異色。ほとんど万能の魔法使いなので、人間味はうすい。娘を溺愛するけど、いい男がいればあっさり譲ってしまうし。
自ら魔法を捨てるあたりもずいぶん人間ができてる。
主人公プロスペローと空気の精霊エアリアルの関係が面白かった。「最後の命令だ。…自由になれ」はかっこいいです。
ただ、エアリアルはもう少し布をつけてほしかったな。精霊のくせにえろいんですわ。

※ 良識派の魔法使い。
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山田詠美「内面のノンフィクション」

2010-01-26 01:41:05 | 読書感想文
山田詠美の対談集。
相手は野坂昭如、井上ひさし、瀬戸内寂聴など文学界の大御所がたくさん。どちらかというと山田詠美が聞き役にまわる感じ。なんとなく感じてはいたんだけど、「対談」には不向きな作家さんのような気がする。小説家なのだからそれでいいんだけど。谷川俊太郎との対談はほとんど谷川俊太郎がしゃべってたし。
瀬戸内寂聴となにを話すのかというのはやっぱり気になるんだけど、普通に文学と恋愛の話をしていた。
ここでもすごいと思ってしまうのは瀬戸内寂聴のほう。山田詠美と37歳差。なのにほとんど同じ目線で、特に恋愛を語っているのがすごい。山田詠美というと煩悩に逆らわないイメージで、出家した瀬戸内寂聴とは正反対だと勝手に思っていたんだけど、そんなことは全然なのね。むしろ煩悩に理解がありすぎ。、そりゃそうだよね。
山田詠美はもしかしたら相手を活かすタイプの話し手ということなのかもしれない。
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シェイクスピア 22/37

2010-01-24 21:09:07 | シェイクスピア
2010/1/24

BBC「リア王」を見る。
シェイクスピアの四大悲劇は三つめ。
タイトルから歴史劇のように淡々とした話なのかと思ったけど、そんなことはない。
王には三人の娘がいた。退位するにあたって、うまく立ち回った二人の姉に対し、三女のコーディリアは正直さが災いして王の怒りを買ってしまう。
上の二人の名前はゴネリルとリーガン。まるでアメプロの悪役タッグのような名前。彼女たちは、財産をもらったらあとは用済みとばかりにリアに冷たくあたる。
でもBBC版だとリアのほうも厄介なもうろくじじいとして描かれているので、どちらかと言うと「介護に悩む娘たち」という感じにもなってた。リアの家来が100人から50人に削減されたりとか、今の日本社会の縮図を見ているよう。かなり終盤までいかないと彼女たちが悪く見えない。むしろ三女のバカ正直さがうっとうしく感じる。

※ かなしいリア王。
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シェイクスピア 21/37

2010-01-22 23:26:29 | シェイクスピア
2010/1/22

BBC「アテネのタイモン」を見る。
散財家のタイモン公。羽振りのいいときにはたくさんの「友人」たちに囲まれていたが、窮乏すると誰にも見向きされなくなるという話。「金の切れ目は縁の切れ目」をそのまんま演劇にした感じ。
BBC版は奥行きを活かし、特に派手な装飾をすることなく凝った映像を作る。そして、役者はタイモン公が抜群にいい。
絶望なんていう感情は想像もできないタイモンと人間も世の中も一切信用できなくなり、こじきのように死んでいったタイモンを同時に演じるのはさぞかし大変だったろうな。
両極端のほうが演じやすいのかな、どうかな。
そういう意味では時間をおけるドラマのほうがやりやすいだろうな。
もちろん風刺劇として見ることもできる。実際、イギリスでは舞台を全て日本に置き換えて上演されたこともあるらしい。ただ、道徳劇としては見るとつまんないよ。

※ アテネのタイモンその人。
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菊池規悦「読んでみたいシェイクスピア」

2010-01-21 20:30:47 | 読書感想文
シェイクスピア全39作品のあらすじを網羅している。(共著だったという「エドワード3世」と「血縁の二貴公子」を含む)
文字が少なかったり、イラストをふんだんに取り入れたりで、すぐに読み終わる。
ただし、わかりやすいかというと、それはまた別の話。ただのあらすじだから、別におもしろくないし。
基礎知識があって、「あれ、あの話はどんなだったかな」というときに振り返るのには便利かも。とりあえず全作品の要約を押さえているし。脚注にはシェイクスピア研究の論点のさわりのさわりが出ているので知ったかぶりができるし。
あと有名作品とそうでない作品でページの量が全然違う。「ペリクリーズ」とか、1ページの1/3のスペースしかない。登場人物の名前は当然カタカナばっかりだから、名前だけで埋まっちゃうよ。サイモニディーズ。
一冊あると便利かも…という感じ。
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シェイクスピア 20/37

2010-01-20 22:49:08 | シェイクスピア
2010/1/20

BBC「トロイラスとクレシダ」を見る。
まだ見ていない作品の中で、一番長い作品を選んだ。それでも190分。
苦しかった。話の中で語るべきところは、クレシダの不義のみ。トロイラスとの愛を誓うが、ギリシアに行ったとたん、別の男に心を移す。「片目はあなたを、片目は心とともによそを見ている」といういいセリフがある。
あとは特に見るべきところはなかったように感じた。ひたすら眠い。もう一回見たら違うのかもしれないけど、第一印象は最悪と言っていい。BBC版の演出か役者さんの演技に問題があるのかも。強いて言えば二人の仲介者パンダラスが哀れで面白かったくらい。
研究では「喜劇」だったり「悲劇」だったり、「問題劇」だったりするみたいだけど、自分が分類するなら「なんでもない劇」という感じ。登場人物の関係性が異常にわかりにくくて、最初の一時間はなくていいと思った。

※ 悪女? クレシダ。
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シェイクスピア 19/37

2010-01-19 01:38:06 | シェイクスピア
2008/1/17

BBC「ヘンリー4世・第1部」を見る。
「6世」を見て「5世」を見て、今度は「4世」。主人公は「4世」ではなく、その息子。つまり、のちのヘンリー5世。放蕩で大物感のある彼の成長物語。
放蕩王子の悪い仲間がフォールスタッフという大男。BBC版では樽のような体に木の幹のような顔、いつも赤ら顔という日本人ではありえない造形。このいかにも下っ端という感じのせこい大男が話のフックとなって飽きにくい。で、またいいこと言うんだ。
「名誉とは何だ、言葉だ。名誉って言葉になにがある、空気だ。その名誉を持っているのは誰だ、こないだの水曜日に死んだ奴だ」
山本七平か冷泉彰彦かと思った。小汚いやつなんだけどいいよ。
あと、戦場でヘンリー4世がやられそうになった時に、間一髪で王子が助ける場面。この少年マンガのような話の展開が、16世紀にもうあったというのが発見だった。

※「来るなら来い! こっちからは行くもんか!」
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シェイクスピア 5/37

2010-01-17 15:01:50 | シェイクスピア
BBC「ヘンリー6世・第3部」を見る。
死体がいっぱい。怖い。どいつもこいつもリアル。いかにも「中世の戦争」という感じだ。
話はばら戦争の続き。王冠がキャッチボールのようにあっちへ行ったりこっちへ行ったり。そのたびにたくさんの人が死ぬから兵隊さんはたまんない。話の展開は大雑把だけど、2部を見たときに感じた無常観がいっそう推し進められているという見方もできる。
最後も「リチャードが裏切るのかな?」という感じで終わる。戦争は終わらないのだよと訳知り顔でつぶやいてみたくなる。
それにしてもヘンリー6世・3部作、一貫して美人が出てこなかったなあ。政治利用されるフランスの姫が全然美人じゃないのね。これがリアルというかなんというか。
昔はこういうの一気に上演したのかしら。歌舞伎も結構長いというし、時々幕の内弁当やお菓子を食べつつ、隣の人とおしゃべりしながら見ているのが丁度いいんじゃないかな。
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シェイクスピア 4/37

2010-01-17 14:55:42 | シェイクスピア
BBC「間違いの喜劇」を見る。
テレビ放映を前提にしているシリーズだが、ぐっと演劇よりの作り方に。絵面もきれいで、演技も達者。くすくすしながら見る。
世界のニナガワが「こんなつまらない戯曲は無いよ」と言っていた。たしかに矛盾というかムリな設定が多いが、レベルの高い演出や役者が作れば、きちんと面白い芝居になる。
完成度は低いが愛嬌のある本という感じかな。そうじゃなきゃ、こんなにあちこちで上演してないよね。日本だけ?
二組の双子が対面するシーンは予想通り特殊効果を使っていた。テレビだから別にいいんだけど、「ずるい!」って思ってしまった。なんか工夫しろよって。いいんだけどさ。
ニナガワ版ではドローミオが一生懸命腹話術をやってた。この芝居はそういうムリヤリ感があったほうがいいんじゃないかなあ。
ドローミオはすごく達者。いい役者さんだなあ。軽快。でもカメラ目線はまだ慣れない。
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