遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

中村高寛監督「ヨコハマメリー」(2006年)

2014-12-29 23:59:01 | 映画を見てきた
2014/12/28

かつてヨコハマにいた「メリーさん」という白塗りの老婆を追ったドキュメンタリー。
いま、メリーさんは横浜にいないし、ごく一部では有名だったものの、映像記録はほぼ皆無。
なのでこの作品は、彼女に関わった人たちが語るエピソードの数々で構成されている。
「いったいメリーさんは何者なのか」ということよりも、かかわりをもった人たちが、「メリーさんをどう解釈しているのか」ということが見どころ。
シャンソン歌手の元次郎のエピソードが軸。
ドキュメンタリー作品なのにびっくりするほどのハッピーエンドだった。あの歌はずるい。
あと、メリーさんをモデルにした、五代路子の一人芝居「横浜ローザ」の映像もあった。
映像はほとんどラストシーンだけだったがとにかくかっこよかった。
「女の一生モノ」は一人芝居の王道ジャンルだけど、その中でも出色と予想。
調べてみたら、今年も上演してたそう。見たかった。
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ダルデンヌ兄弟「ロゼッタ」(1999年)

2014-12-29 23:55:05 | 映画を見てきた
2014/12/27

仕事をクビになったロゼッタという名前の少女が、次の職場を探す話。地味!
常にカメラがぐらぐら揺れるタイプの映像で落ち着かない。というか、酔った。
短い映画なのにぐったり疲れてしまう。
ヒロインのはずのロゼッタに驚くほど華がない。
まったく「少女」として偶像化されていない。
作り手が世の中にまったく夢を見ていないのがよくわかる。
映画なんだからもう少しサービスしてくれてもいいのに。
それでも、あとからじっくり思い返してみると、結構味わい深い。
ロゼッタの真面目ぶり、苦労人ぶり。
苦労をこじらせて完全にひねくれている。
仕事を得るのに手段を選ばない。
友達にはなれないが、憎めないやつだった。
「退かぬ、媚びぬ、顧みぬ」という意味では、ちょっとしたラオウだった。
(ただし、かなり病弱)
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アッバス・キアロスタミ監督「クローズ・アップ」

2014-12-25 03:44:04 | DVD・VHS・動画など
クローズ・アップ [DVD]
クリエーター情報なし
パイオニアLDC


2014/12/11

イラン映画。
主人公の男が、たまたまバスで隣に座った婦人に、有名な映画監督と間違われて、そのまま本人に成りきってしまう話。
上のDVDのパッケージに書かれたあらすじを読んで、成りすましコメディなのかなと思って見てみたら全然違った。
いきなり主人公が逮捕されるところから始まって、婦人やその家族をだましたことによる裁判が始まる。
そして、なぜ自分が映画監督になりすましていたのか問い詰められる。
この人の言い分が共感できる。
気の毒なほど主人公の男が怒られている。こんなに怒られっぱなしの主人公も珍しい。
なにもそこまで怒られなくてもいいだろうと思うし、だまされるほうもどうかしているけど、構成や主人公のキャラクターは、コメディを書くときにも使えそう。
日本でも同じことはありそうなんだけど、どうなんだろう。
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チャウ・シンチー監督「西遊記 はじまりのはじまり」

2014-12-22 23:19:04 | 映画を見てきた
2014/12/19

西遊記の前日譚。吹き替え版。
序盤から人の命の重さをまったく感じさせないホラー映画のような展開。
アクション映画は明るくないので、よくあるパターンなのかもしれないけど、シーソーと赤子の相性がよすぎて盛り上がる。
「俺たちにまかせろー!」って言って次々と吹き飛ばされる男たちの感じ。
落水しそうになった玄奘が、近くにいた霊媒師につかまろうとして、最初は乳首、次は顎、最後は鼻の穴に指を突っ込む感じがバカバカしい。乳首って。
脳のあんまり大事じゃなさそうなところを使って笑わせてくれる。
ヒロインの段がものすごく美人。部下もいい。
あと、孫悟空がいろんな意味で怖すぎる。
ただ、吹き替えの言葉遣いはあんまり好きじゃなかった。
原作からすでに言葉使いがチャラチャラしてたのかもしれんけど。
エンタメとして成功した「珍遊記」だった。
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プラズマニア「Alice in another!」

2014-12-21 21:46:38 | 演劇を見てきた
2014/12/20

とある探偵とその仲間たちが、異世界に迷い込んだ人たちを救いに行く話。
プラズマニアの長編は初めて見たかも。
話に聞いていた派手な照明に大音量、高さのある装置に装飾、大人数の役者さんたちが出てきて、やたら豪華。
ちゃんと劇場が非現実に満ちていた。大事。
盛りだくさんの人と光と音と舞台をまとめるのはすごい労力。
稽古とかテクリハとかどうやってるんだろ。
どうしても、どうやったらこういうことができるのかのほうが気になってしまう。
細かい会話の繋がりよりも、かっこいい掛け合いをつなげて話を進めていくので、楽しむのに少しコツが必要だった。
チヒロが神隠しにあったり、ソウスケという名前の男が出てきたりと謎のジブリリスペクトがあったのは考えすぎっぽい。
後半に向かって盛り上げていく構成がきちんとしているので、後味がよかった。
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札幌オーギリング 「エキサイトクエスチョン」

2014-12-06 23:55:28 | 演劇を見てきた
2014/12/6

大喜利をエンタメ化したイベント。
単にお題に対して面白いことを言うだけでなく、ユニット分けと勝ち敗けをつけることによってストーリーを生み出す。
会場や印刷物など、運営に貧乏臭さがないので、多少展開や演技がチープでもお客さんが安心して上から目線になれる。
マイナスにならないどころか、会場が終始リラックスした「笑いやすい」雰囲気になっていた。
実況・解説のコンビが、こういう会場の温度調整に一役買っている。
ラストのところで片鱗が見えてたけど、「お約束」や「段取り」に、たまにホンモノの感情が乗っかると、より熱くなりそう。
あと、オファーを出すのにちょっと緊張するレベルの舞台俳優を連れてきて割と雑に扱う感じ。
プロレス的な演出を何のてらいもなく徹底しているところが今風。
ただし、終演後、お客さんの目につくところに上演台本が置きっぱなしになっていたのはいただけない。
自分がアサヒ芸能の記者だったら大スクープになるところだった。
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高畑勲監督「ホーホケキョ となりの山田くん」(1999年)

2014-12-05 20:22:29 | DVD・VHS・動画など
ホーホケキョ となりの山田くん [DVD]
クリエーター情報なし
ブエナ・ビスタ・ホームエンターテイメント


2014/12/4

四コママンガの長編映画化。
もし、昨日見た『夢と狂気の王国』が実在するなら、国王は高畑勲だと思う。
当時にしても今更感のある、興行的には成功しそうにない「山田くん」を題材にして、おそろしく実験的な作画をもって長編映画を作る、まさに「夢と狂気」の国王。
(グーグルで作品名を入力して検索すると、アンド検索の候補に「失敗」と出てくる。)
1時間40分も四コマ漫画のテンポで平和なエピソードが繰り返され、ひとつひとつはおもしろいのに最後のほうはちょっと寝てしまった。
ただ、最後の「適当」を見過ごさなくてよかった。
題材と作画方法を一致させるやり方が贅沢。
今見ると、この平和な家族のエピソードがことごとく自分にとって現実感がなく、この前見た『かぐや姫の物語』よりもよっぽどファンタジーに感じてしまった。残念。
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砂田麻美監督「夢と狂気の王国」

2014-12-03 16:22:16 | レポート
夢と狂気の王国 [DVD]
クリエーター情報なし
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


2013/12/3

『エンディングノート』の砂田麻美が、宮崎駿の長編アニメ監督引退作品の舞台裏を撮っている。
ジブリのメイキングというと、『「もののけ姫」はこうして生まれた。』という大作があるが、今回はそこで描かれていた戦場感があまりなく、比べると穏やかな製作現場。
それでも、作画の仕事をしている女性が「自分の中のささやかな何かを大切にしたい人にはつらい職場かもしれない」とおっとり語る様子は、職人が極まり過ぎて悟りの境地に入っている印象。ある意味、狂気を感じた。
高畑勲の出番は少なめ。
『かぐや姫の物語』のほうのプロデューサーは、まだ35歳の西村義明。
結構、度胸ありそうな感じだったので、彼の倍以上も年の離れた高畑勲とのやりとりのほうが見たかった。すでにツーカーの宮崎・鈴木コンビよりも、戦場感があったかもしれない。
特典映像で、ジョン・ラセターが真剣な顔で「猫バスに乗りたい」と言っていた。
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星槎高校演劇部「プランプ スランプ フライング」

2014-12-02 01:01:50 | 演劇を見てきた
2014/12/1

縁あって見に行く。
会場は、教室より一回り大きいくらいの多目的ホールという感じ。
スポットと備え付け以外の照明設備がなく、暗転は蛍光灯を使っていた。なんだか懐かしい。
パン屋の娘に惚れた主人公が、現実世界に紛れ込んできたピーターパンたちと出会う話。
「あそこ、ああすればいいのに」とか「さっきの発声をずっと維持できればなあ」とか思うたびに「おまえが高校生に意見なんて何様のつもりだ」と己を責めたりと、落ち着かない気持ちで見守る。
高校生なので当たり前なんだけど、うまい人とそうでもない人の差が激しい。
しかし、たぶん、これからの人生で二度と舞台俳優なんてやらないのではないかという人を舞台にあげてみるノリは、見ていて案外心地いい。
通信制なので練習時間などのハンデはかなりあるそうだけど、上手下手だけではない見どころというのも確かにあるもんだと学ぶ。


※関係ないけど途中で通りがかったいい感じのY字路。

※テキストはこちら
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