「南京事件」を調査せよ (文春e-book) | |
クリエーター情報なし | |
文藝春秋 |
2017/5/29
調査報道を得意とするジャーナリストが、最終的には日本テレビで55分の番組を作るべく、ひたすら南京事件について調べた本。
あったなかったで言えば、戦争中に虐殺や虐殺まがいのことがなかったはずはない。議論の余地は規模の問題くらい。
学者の研究とおんなじで、最終的には「どこまで正しくできるか」という話にはなってしまう。
それでも、可能な限り調査した末に到達した正しさのレベルと、ネットで拾った知識と印象だけで作った正しさのレベルはまるで違うということは、肝に銘じておきたい。
著者自身、何度も中国に行ったり、まだご存命の元兵士の日記まであたっている。
あきれるばかりの調査力。南京事件というより調査が好きなんだと思う。
この本には「知ろうとしないことは罪である」という言葉が何度か出てくる。
同じようなことは差別の本読んでいても書いてある。
知らなきゃいけないことがたくさんあるのは大変だけど、ぼんやりしていると声が大きいだけの人の偏った情報が流通しちゃうので、耳が痛いと思いつつ共感した。