遠藤雷太のうろうろブログ
何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。




観劇三昧:短距離男道ミサイル『佐川、あれはイキ過ぎた男』

2017/4/30

自慰のショックで死んでしまった団体代表が地獄編、煉獄編、天国編を経てよみがえる話。

ダンテの『神曲』を基にしているけど、上演時間は30分弱の短編。強引。

登場人物は半裸またはほぼ全裸の男のみ。

時事ネタ、下ネタ、肉体ネタ、ものまね、うちわネタ。それぞれのギャグのあまりの強引さに、ついバカ負けして笑ってしまう。

ここまで腹をくくられると、好きになるしかない。

中盤のハプニングは、おそらくほんとにハプニングなんだろうけど、演出に見えてしまうくらい似合っている。

客席がドン引きしても仕方ない事故なのに、逆に盛り上がっているのがすごい。

構成はちゃんとしている。

なので、あれだけ好き勝手やってるのに、安心感がある。

仕方ないんだけど、画像が暗くて面白さの半分も受取れていないと思う。残念。

 



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2017/4/29

就活に苦しむ大学院生が谷川俊太郎の詩との出会いをきっかけに回復していく話。

オープニングの見た目が『インサイド・ヘッド』っぽい。

ただ、それぞれが各感情を司っているというよりは、就活ノイローゼで人格が分裂してしまった感じなので、より闇が深い。

大学院の学業をソツなくこなし、ある程度のレベルの英語を話し、仲間に恵まれ、見た目もいいヒロインなので、よくそのスペックでそんなにマイナス思考になるもんだと複雑な気持ちになる。

とは言え、極端に自己評価の低い若者が、強いプレッシャーを乗り越えていくさまは爽快感がある。

「ネットで知り合った人物」の正体がわかったときは一瞬なんの叙述トリックかと思ったけど、彼女の心象風景だったんだと考え直して納得する。

エンディングの見た目の華やかさ。作り手の気合を感じる。

ちょっと強引な感じもしたけど、切れ味よくまとめていて印象良かった。



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観劇三昧:シラカン『永遠とわとは』(全国学生演劇祭)

2017/4/25

無機物の心がわかる女とその女友達、つきまとう男の三角関係から始まる話。

サンドペーパーの上を這いずり回るようなフックだらけの会話で埋め尽くされている。

三人の登場人物が三様に狂っていて、奇跡的に拮抗している。

そして、そのまま終演まで走りきっている。すごいバランス感覚。

演出効果もさりげなく手間をかけていて、シンプルながら最大限の効果を生んでいる。

素直に笑えるし、不条理展開もすんなり受け止められる。

役者さんの演技が役者然としていないところも、かえって生々しくて効果的。

こういう会話や演出の構成はなにか元ネタみたいなものはあるんだろうか。

作品が表現しているものというよりも表現の仕方そのものに価値のある作品だった。

何度も見れば、表現しているものにも踏み込めるのかもしれない。

================メモ===============

公演時期:2017/02/26

脚本/演出:西岳

ひかり:阿部百衣子
れんこ:櫻井碧夏
そうた:芳野広太郎


第2回全国学生演劇祭 Bブロック上演作品
東京学生演劇祭 推薦:シラカン(多摩美術大学)

◇大賞、観客賞、審査員賞 受賞作品



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翻訳できない世界のことば
クリエーター情報なし
創元社

2017/4/24

・世界各国の言葉から、一対一の単語で翻訳できない言葉を集めてイラストつきで並べた本。

・たとえば、フィンランド語の「poronkusema(ポロンクセマ)」は<トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離>という風土色が強すぎる言葉。

・ドイツ語の「Drachenfutter(ドラッヘンフッター)」は、<直訳すると、『龍のえさ』。夫が悪い振る舞いを妻に許してもらうために贈るプレゼント。>という、日本語に同義の単語があってもおかしくない言葉。

・日本語からも「ボケッと」「積ん読」「木漏れ日」「わびさび」が採用されている。木漏れ日なんて確かに他の言語にはなさそう。イラストもきれい。

・ゲール語の「sgriob(スグリーブ)」の<ウィスキーを一口飲む前に上唇に感じる、妙なむずむずした感じ>は覚えたい。

・どの言葉も日本語では表現しがたい概念なので、大体の言葉は物語のタイトルにもできる。

・ウェールズ語の「hiraethe(ヒアエス)」。<帰ることが出来ない場所への郷愁と哀切の気持ち。過去に失った場所や、永遠に存在しない場所に対しても>しみじみしたいい話になりそう。フライヤーが脳内に見える。

・実際、ポルトガル語の「saudade(サウダージ)」は映画のタイトルになっている。

・さっきの「Drachenfutter」も、機嫌を損ねた妻を喜ばせるために、ありとあらゆる策をめぐらす夫が主人公のホームコメディが思い浮かぶ。

・ハワイ語の「'akihi(アキヒ)」は<だれかに道を教えてもらい、歩き始めたとたん、教わったばかりの方向を忘れた時、『'AKIHIになった』と言う>。

・これも、ボンクラな主人公が旅行先のハワイで危機に陥って、近しい人ががんばって助けようとするが、ボンクラゆえにどんどん空回りしてしまうコメディが作れる。

・オーストラリア先住民の言語であるワギマン語の「ムルマ(言語表記不明)」は<足だけを使って、水の中で何かを探すこと。>を表す動詞。

・ほしいものがなかなか手に入らないもどかしさを描いた哲学的な話ができる。かも。

・それぞれその国の言葉を使う理由も一緒に考えなきゃいけないから本当にやろうとすると大変だけど、頭の体操によさそう。



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観劇三昧:幻灯劇場『DADA』(全国学生演劇祭)

2017/4/23

ロッカーに捨てられた赤子が、幽霊かつロッカーになって成仏していく話。

タイトルはダダイズムのDADAでいいのかな?

掛詞を多用して世界を拡張していくやり方は野田秀樹作品っぽいけど、言葉の選び方はだいぶん荒っぽい。

舞台装置は3×4×1のジャングルジム状の物体のみ。

シンプルでかっこよく、場面場面での利便性も高い。うまく使いこなしている。

BGMや効果音はエレキギターの生演奏。かなり主張が強い。

登場人物も役者の人数も多く、強い表現をどんどん足していくやり方。

セリフと演奏と歌と踊りのそれぞれのバランスを取りながら、総合芸術としての表現にチャレンジしている。

ただ、映像で見る限りそのバランスが取れていないような感じがして、集中力が続かなかった。

客席は沸いていたようなので、録画環境のほうの問題なのかも。

================メモ===============
公演時期:2017/02/26

脚本/演出:藤井颯太郎

配役

らじお:谷風作
マリア:松本真依
ケンちゃん:小輝
サナエ:鳩川七海
サンショウウオ:神保七味
小石:戸根亮太
お菊:橘かれん
バッキー:小野桃子
ブッキー:平元花奈
ボッキー:藤井颯太郎
おばば代表:富永美里
金さん:今井聖菜
銀さん:西園寺桜子



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観劇三昧:岡山大学演劇部『山田次郎物語』(全国学生演劇祭)

2017/4/21

山田次郎の一生を、山田次郎物語という本を通して高速で振り返る話。

なんでもない普通の人の一生がすばらしいという日常賛歌。

一人の山田次郎とそのほか大勢のコロスで成り立っている。

家族友人知人、喫茶店のドアや立ち木まで、ぜんぶ人で演じる。

有効に時間とスペースを埋めて、作中、一定の情報量と緊張感が保たれている。

個々の役者が、ちゃんと頭を回して作品を支えているのがわかる。

文脈は違うけど、平田オリザの「俳優は考える駒」という言葉を思い出す。

編集力と演出力が問われる作品。

テンポの良さと見せ方のバリエーションは十分だったけど、会話や動きの精度はもっとのびしろがありそう。

あと、山田次郎がほんとうになんでもない普通の人かどうかは、ちょっと判断が分かれるところだと思う。

================メモ===============

公演時期:2017/02/26

脚本/演出:伊藤圭祐

配役
山田次郎:田中優真
ヤマダ・ミク:中尾小夏
ふせん:
小原千明
佐藤晴香
吉田陸也
宇賀朋美
青木大地
太田健斗
眞庭周之
中村洸太
原田実季
嶋田有希



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2017/4/21

4/21の16時の回を観る。

『三人のタクラダ』『ちゃぶ台』『いもの惑星』の短編三作品に、「カラオケタイム」「主催による生着替え(パンフに掲載なし)」「霊6のコント」「CRAYON POP『Uh Ee』」の幕間企画をはさむ。

開場中は、常時舞台上に3~4人の出演者がいて、宣伝や世間話をしていくスタイル。

客いじりが積極的で普通に見に来た演劇関係者のお客さんが、当たり前のように他のお客さんへ紹介されている。

三作品とも、脚本が投げてくる危険球をいかに役者さんが打ち返すかが見所になっている。

特に『いもの惑星』のとっちらかりぶり。

あと、小林エレキ君が人のいい役をやっているのは初めて見たかもしれない。人って言ってもちゃぶ台だけど。

全体的に芸術作品というよりも活気のある祭りという感じ。

前回よりタイトルのネタ元になっている落語とか寄席とかの空気感に近づいているような気がする。

幕間は「霊6のコント(たぶん)」がかっこよかった。



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カサブランカ Casablanca 1942

2017/4/20

・カサブランカの賭場のオーナーが、元恋人とその夫をナチスから逃がしてあげる話。

・1942年公開。アメリカは日本と太平洋戦争をやりながら、こんなおしゃれな映画を作る余裕があったのか。

・wikiを見ると、反ドイツのプロパガンダ映画とある。

・それにしてはおしゃれすぎやしないか。

・今となっては当時のドイツが悪役でも違和感はない。

・70年以上前の作品なのに、絵に安っぽさがない。

・特に酒場の客と楽団。賑やか。

・ナチス勢力下、パリからアメリカに逃げるためには、パリ→マルセイユ→オラン→カサブランカ→リスボン→アメリカという経路をたどらなくてはいけない。

・舞台はその中のカサブランカ。フランス領で親ドイツ。ドイツ人が幅を利かせているけど、なんでもできるわけではない。治安は悪い。

・微妙なパワーバランスで成立する各々の駆け引き。

・でも、結局は男が昔の女のために体を張る物語だった。

・「君の瞳に乾杯(Here's looking at you, kid.)」が、ギャグにならず、絵になる世界。

・そのセリフを繰り返すことでしっかり盛り上げていく構成。

・「昨日の夜はなにしてたの?」「そんな昔のことは覚えていない」「明日の夜は空いてる?」「そんな未来のことはわからない」とかも。

・元恋人はイングリット・バーグマン。いい歳した男達が体を張るだけの説得力を持っている美人。

・主人公のオーナーは、ハンフリー・ボガード。一見無慈悲な現実主義に見えて情に厚い。男前の鑑。

・ギャルソンや演奏家にもはっきり慕われている。

・でも、イカサマはわりとあからさま。

・もし、あれが美人の若奥様じゃなくて、不細工な中年男性でも助けたんだろうかと、うっかり考えてしまう。

・たぶん助けないんだろうけど、もともと聖人君主というわけじゃないし仕方ないか。

・あと、口では風任せとか言いながら、わりと露骨に身の安全より友情を取ったルソー署長がおいしい。

・大声で違法賭博はダメだと言いながら、取り分をしっかり受け取るところがかわいい。

・高級サインペンみたいな筆記具がちょっと気になる。

カサブランカ (字幕版)
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観劇三昧:一寸先はパルプンテ『境界』(全国学生演劇祭)

2017/4/17

古代ギリシアの哲学者などが議論をするという体で複数のコントを挿入していくオムニバス。

「アメリカ横断ウルトラクイズ」から「君の名は。」まで、パロディの幅が広い。

さかな君にさかな君が絶対言わなさそうなことを言わせるギャグが面白かった。

LGBTやら国籍やらマスコミやら精神障害者やら、社会問題っぽいことをいろいろ扱っているけど、わりと表面を触れるところでとどまっている感じ。

たぶん、ほんとにやりたいのはギャグのたくさん入ったコントなんだと思う。

あと、精神病disのコントは、笑いにも風刺にもなっておらず、表現の刺々しさだけ強調されていて受け止め方がわからない。

ギリシア哲学に詳しい人なら、もうちょっと深いところまで分かるのかもしれないけど、それを求められても困ってしまう。

コンビニのあのボールの正しい投げ方は、なるほどと納得した。

================メモ===============

公演時期:2017/02/26
脚本・演出:馬場佑介

配役:
パイドロス:今林崚磨
パウサニアス:加茂慶太郎
エリュクシマコス:植木健太
アリストパネス:佐野克哉
アガトン:山口大器
ソクラテス:瀬川聖

第2回全国学生演劇祭 審査員講評など ※2016年度なのかな?



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映画 「E.T.」 劇場予告

 

2017/4/1

・子供たちが宇宙人を匿って、仲間達の元に返してあげようとする話。

・いきなりE.T.が群れで出てくる。

・宇宙船が丸っこくてかわいい。鳥山あきら作品の宇宙船みたい。

・宇宙人を信じる信じないのやり取りは短くすませ、秘密はすぐに兄と妹に共有される。

・展開が速い。

・妹とE.T.が初対面できゃあきゃあ言い合っているところがかわいい。

・母親と三人の子供たちが醸し出す家庭の雰囲気。

・会話とリアクションの組み立て方が巧い。

・E.T.の見た目。もともと有名な作品なのでインパクトは薄いけど、それでも十分グロテスク。

・ハダカデバネズミっぽい。

・ギャップで笑わせる意図もあるんだろうけど、大人が見たら引くくらいの姿のほうが、親子の擦れ違いの表現としていいんだと思う。

・作り物っぽいのはとりあえず気にしない。

・言葉が通じない相手とコミュニケーションを取るには仕草を真似るところから始める。

・ヨーダのコスプレが出ていた。ずいぶん前の作品だと思ってたけど、スターウォーズのほうが先だった。

・異形の者を仮装パーティに紛れさせるライフハック。

・原型はもっと前にあったりするんだろうか。

・お母さんのコスプレが切ない。子供はわくわく、大人はしみじみするんだと思う。

・E.T.の存在が世間にバレるバレないでハラハラさせるよりも、異生物交流の楽しさを優先させている。

・エンタメ作品として口当たりがいい。

・E.T.を追う大人たちもわりと賑やかしで済ませている。

・弟の危機に、立ち上がる兄の頼もしさ。

・自転車のチーム、必然性があるのかないのかよくわからないけど、かっこいかった。

・そして、ちゃんと一番盛り上がるところで飛ぶ。

・最初は月で、次は夕陽。E.Tは空気を読むのも巧い。

・当たり前のように子供たちは演技が巧すぎる。犬までいい演技している。

E.T. (字幕版)
クリエーター情報なし
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