遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

ミック・ジャクソン監督『否定と肯定』

2018-01-29 00:50:23 | 映画を見てきた

「ホロコーストは真実か、虚構か―」 映画『否定と肯定』日本版予告編が完成!

2018/1/26

・大学教授のリップシュタットが、ホロコースト否定論者のアーヴィングから名誉毀損で訴えられる話。

・冒頭から出てくるホロコースト否定論者の既視感が強い。話題は違うけどこういう語り口の人たち、Twitterで日常的に見ている。

・実際に行われた裁判を基にしており、物語的に面白くするようなウソはほとんど無さそう。

・話の起伏がほとんどないし、豊富な資金で大弁護団を結成した被告が、たった一人で戦う原告を叩きのめす。見ようによっては後味の悪さすら感じる構図。

・ただ、それも見る側が試されている感じ。

・なぜなら、描かれているのは感情と理論の戦いだから。

・演出対研究とも言えるかも。

・アーヴィングは煽る方向の感情操作、演出が巧み。

・たった一人で、しかもホロコースト否定を主張しているにもかかわらず、大弁護団に対して有効打を何発か入れている。

・演出は派手で、研究は地味だから、世間が派手なほうにひかれてしまうのは仕方ないのかも。

・「正義は必ず勝つ」は願望であって真実ではないことがよくわかる。

・デマの場合、正義が勝つには悪の何十倍も努力しなければならない。

・膨大な調査で淡々と原告を押しつぶしていく戦略。

・なんでも曖昧にすれば上品に見えるという、ありがちな落とし穴を軽やかにかわしている。両論併記はダメ。

・「プレスリーが生きている」という人と議論するのは無駄というフレーズ。日本風にするなら、何で例えればいいんだろう。

・「良心に基づいた言動が最善にならない場合は苦しい」という、いい言葉。

・あらためてラジオ番組『セッション22』のアウシュビッツ回リップシュタット裁判回を聴きたい。

・あと、個人的に好ましかったのは、リップシュタットの日課がジョギングだということ。

・興奮を発散する、落ち込みをリセットする、不安を和らげる、色んなシーンでジョギングしている。

・ジョギング映画と言っても過言ではない。

・なので、真面目で良くできた映画なのは間違いないんだけど、個人的にも親しみが持てる作品だった。

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逃避ラン「稽古場帰宅コース」

2018-01-27 12:42:17 | 走メモ

2018/1/22

稽古場帰宅コース

7.54km 51:10 6:47/km

BLOCHプロデュースの『電王』の稽古帰りに走ってみる。

久々のわりには問題なかった。

圧雪状態の足場は固いアスファルトよりはいいのかもしれないけど、凸凹しているので足首捻らないように気を使う。

遅いのは遅いけど、そこは安全第一。

それなりに対策したせいか、寒さは思ったほどではなかった。

前のシューズがイマイチ足に合わず、昨年秋ごろ買い直したら、とても走りやすい。

ほんとシューズ選びは勢いに任せてはいけない。特にメーカーを変える時は。

一度は浮気してしまったけど、やっぱりアシックスはいい。

そんなに頻繁には無理だろうけど、体鍛える機会をもらったと思って、怪我しない程度にがんばりたい。

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三宅隆太『スクリプトドクターのプレゼンテーション術 』

2018-01-26 00:46:41 | 読書感想文

 

スクリプトドクターのプレゼンテーション術 (DIALOGUE BOOKS)
クリエーター情報なし
スモール出版

2018/1/22

・愛聴しているラジオ番組『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』でおなじみの脚本家・映画監督・スクリプトドクターの三宅隆太さんによるコミュニュケーション論。

・トークショーを基にしたテキストなので、三宅さんの優しい語り口がそのまま脳内で再生されて、とても読みやすい。

・書名には「プレゼン」とあるけど、自意識との付き合い方、ひいてはコミュニュケーション全般についてのお話。

・「緊張はしてもアガることはない」。アガるのは、意識が相手ではなく、自分に向いている状態。

・自分を良く見せようとしたり、おかしなことをしていないか心配しているような状態だと陥りやすい。

・なので、よく言われるような聴衆をジャガイモとか思うのは逆効果で、逆にきちんと相手を見るのが大事らしい。

・人数が増えても対話は対話という考え方。

・そして、対話である以上、あらかじめやることを決めすぎると、意識が自分に向いて「アガる」状態になってしまう。目から鱗。

・三宅さんの人柄で説得されちゃってるような気もするけど、しばらくこの考え方を採用して行動してみたい。

・チョコバナナゲームは普通にプロデュース公演の顔合わせで使える。そのあとのフォロー大変そうだけど。

・大好きなラジオ番組に依存する話に共感する。

・自分らしいユーモアって難しい。

・「転調」という考え方。危機的状況で停滞する気持ちを切り替えること。受動的にするのではなく、踏み込んでやるということ。

・「なんだ猫か」や「あれ、私何やってるんだろう?」のような印象的なフレーズは、企画のために考えたものではなく、作話の技術を抽象化した結果できたものだという話も面白い。

・大学生のころ、若松孝二監督のサード助監督を務めた話は初めて聞いたような気がする。いい話。

・親しみやすい雰囲気なので忘れそうになるけど、三宅さんの作話に関する超人的な記憶力や、現場叩き上げの職人であることは心に留めておきたい。

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大九明子監督『勝手にふるえてろ』

2018-01-22 13:33:30 | 映画を見てきた

勝手にふるえてろ (2017) ロマンス映画予告編

2018/1/17

・OLのヨシカが、職場で知り合った「ニ」からの告白に浮かれつつ、中学生からの片思いの相手「イチ」との思い出の間で板ばさみになっていく話。

・なぜ松岡茉優がわざわざ自意識過剰の冴えない役をやるのかとモヤモヤしながら見る。

・キラキラしている人がイケてない人のコスプレをする居心地の悪さはなんとかならないものか。

・そうでもしないとビジネス的にはきついのかなと、思わなくてもいいことを思ってしまう。

・松岡茉優が魅力的なのは本当にずるい。そういう役じゃないだろと思いつつ、目が離せない。

・両耳それぞれの上にぼんぼり付いている毛糸の帽子かわいい。

・海老天うまそう。くわえ方もかわいい。

・本気出してきた時のキラキラ具合で「ほら見たことか」と思う。

・こんなひとが、一回告白されたくらいであんなに浮かれるわけない。

・それはともかく、唐突に(事実上の)一人語りを始めたり、生活音に音楽を合わせていくような演劇・ミュージカル要素が上手くハマっている。とてもテンポのいい語り口。

・「自意識過剰な女がその自意識を克服して恋人ができる」というだけの何の新鮮味も無い話なのに、緊張感がまったく途切れない。うますぎる。

・過剰な自意識の発露部分。いい表現が多かったのでシナリオや原作小説にあたってみたくなる。

・姑息な連絡先ゲット方法。好みじゃない相手の行動でも困ったら参考にしてしまう感じが生々しい。

・後半近くの仕掛けで、おおっと声が出そうになる。

・必然性のある仕掛けだし、仕掛けの前後でリアリティバランスを変えてるし、とてもよくできている。

・なのに、引きこもりは外に連れ出せば心を開く…みたいな乱暴な展開はイヤ。

・孤独と向き合えているようで向き合えていないヒロイン。

・孤独との付き合いで言えば、お前のいるところは10年以上前に通り過ぎたな…と思ってしまうので、どうしても自分にとっては対岸の話にしか思えなかった。

・岡さんのオカリナ。いくらなんでも向上心がなさすぎではないか。

勝手にふるえてろ (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋
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クラアク芸術堂 札幌女史会『たかが愛の歌よ、』

2018-01-21 02:19:15 | 演劇を見てきた

連続殺人犯の女が、週刊誌の記者を馴染みの店に招いて事件の経緯を語る話。

連続殺人自体がカロリーの高い題材なのに、同性愛、障害者、整形、貧困と性風俗、個々の題材でひと作品作れそうなデリケートな話題をこれでもかというくらい詰め込んでいる。

自己評価の低い女が整形して自然ならざる外見になっていくことで、精神的にはありのままの自分に近づいていくという倒錯ぶり。

ひょっとこのお面は芥川を意識してるのかな。

諸々のテーマは表面だけなぞって、お面の演出で押し切っている感じ。

殺人犯の背中の丸みが好き。やっぱり身体的なそれっぽさは大事。

共依存でお互いがダメになっていく関係なんだけど、過程が倦怠期の夫婦とあんまり変わらない。

でも、信用できない語り手みたいなものだから、あの感じでいいのかも。

タバコのニコチン自殺は相当苦しいらしいし、確実性も怪しいから、絶対にマネをしてはいけない。

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報告:ラボチプロデュース のと☆えれき二人芝居 『Not Decided ―時計をとめて―』(札幌公演)

2018-01-18 00:53:48 | 報告!

2018/1/17

ラボチ・プロデュース のと☆えれき公演『Not Decide -時計をとめて-』の札幌公演が終わりました。

ご来場いただいた皆さま、どうもありがとうござました。

告知でも書いたとおり、遠藤は演出補としての参加です。

中途半端な立ち位置でご迷惑をおかけしていないかずっと心配で、正直なところ、初日の開演前は祈るような気持ちで見守っていました。

ただ、そこはさすがの「のと☆えれき」で、稽古場で積み上げてきた演技と、稽古場ではできないお客さんとのコミュニケーションをしっかり取りながら、高波を乗りこなすサーファーのようにすいすいと終演までたどりついていました。

また、4公演のべ289名というお客さんの数は、小劇場系の二人芝居としてはかなり健闘したほうだと思います。

3月には大阪公演もあります。自分も少しの期間ですが大阪に行けそうです。

自分にとっては「観劇三昧」でおなじみの「in→dependent theatre」を目の当たりにできることが楽しみです。

もちろん、本作品で大阪のお客さんの反応が見られることも楽しみです。

ほんとは心配半分ですが、可能な限り楽しみの割合を上げて臨みたいと思います。

大阪でこの文章を読まれている皆さま(相当少ないと思いますが)も、どうぞよろしくお願いいたします。

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山田洋次監督『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』(1997年)

2018-01-03 02:10:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

 

男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇 HDリマスター版(第49作)
クリエーター情報なし
メーカー情報なし

2018/1/2

・行商人の寅次郎が、巡業先で倒れた歌手のリリーさんを看病するため、沖縄へ行く話。

・一作目と二作目がピンとこなくてしばらくシリーズを放置していたけど、もしかしたら逆から見たほうが楽しめるんじゃないかと思って一番最近の話を見てみる。

・ただ、あとでwikiを見てみたら、全48作中あるうちの第25作のリメイク版だった。

・語り部風に登場した営業の人の意味もwikiで知る。

・狙いは外してしまったものの、ゲラゲラ笑ってみることが出来たので結果的にはよかった。

・冒頭、寅さんによる舞台実況風の長台詞がかっこいい。

・アヤメを見に家族でお弁当用意して出かけるというところ、風情があっていい。

・断られるにしろ、普通に寅次郎を誘ったらダメだったんだろうかと思っちゃうけど、関係性をこじらせているのはお互い様っぽいのでいいのかもしれない。

・寅さんが飛行機で沖縄に行って、リリーさんの看病をしながら仲良くなっていくところ、特に変わったことは何もしていないのに不思議と面白い。

・シリーズの知識がほとんどない自分ですら、寅さんがここまでマドンナと接近していいのかとハラハラする。

・順調に仲良くなればなるほど緊張感が増すチキンレースのような仕掛け。

・くっつかない理屈付けも綺麗に決まっている。

・思えば、寅さんがリリーさんって言われてもすぐに思い出せないところや、美人のスチュワーデスにあっさりなびいているところで、行く末を暗示していたのかも。

・それにしても、見た人誰もが「もういいからくっつけよ!」と思ったんじゃないだろうか。

・それとは別に寅さんが気のきいたことを言って周りを笑わせてるところを見ているだけでなごむ。

・「あの人」呼ばわりは何か意図があったのかな。

・寅次郎が野暮天ぶりを晒しているときの家族の顔。目線だけで笑える。

・さくらが無言で寅次郎の荷物を二階に運んでいるところとあわせて味わい深い。

・さんざん見ている人に「くっつけ!」と思わせておいて、「所帯持つことが幸せとも限らないよ」というところに着地していた。そりゃそうだけどさ。

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池田洋子監督『映画スイートプリキュア♪とりもどせ! 心がつなぐ奇跡のメロディ♪』(2011年)

2018-01-01 00:08:54 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

 

映画スイートプリキュア♪とりもどせ! 心がつなぐ奇跡のメロディ♪ 通常版 【DVD】
クリエーター情報なし
TCエンタテインメント

2017/12/31

魔法少女は「まどマギ」くらいだし、特撮物の素養もほとんどないので、付いて行けるのかハラハラしながら見る。

プリキュアたちが、音楽の国「メイジャーランド」から音楽を奪った女王の真意を探る話。

始まって早々、謎のクリーチャーに鑑賞の際の注意点とお願いをレクチャーされる。

ここぞと言うときに、観客のお子さんに魔法のペンライト的なものを振ってほしいらしい。

エピローグのみんなで踊ろうコーナーと言い、映画館で見たら混沌ぶりがとても楽しそう。

人間味を取り戻した元ラスボスは、前作を見てなくてもなんとなく立ち位置がわかって面白い。

プリキュアたちの変身シーンがカッコよすぎる。ポージングもいちいち華がある。

事前に人から聞いていた「見るドラッグ」の片鱗も感じる。

終盤は力技と言うか時間の都合と言うか、お約束的な空気が強かったけど、見た目のかっこよさにごまかされつつ、楽しむことができた。

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