「ホロコーストは真実か、虚構か―」 映画『否定と肯定』日本版予告編が完成!
2018/1/26
・大学教授のリップシュタットが、ホロコースト否定論者のアーヴィングから名誉毀損で訴えられる話。
・冒頭から出てくるホロコースト否定論者の既視感が強い。話題は違うけどこういう語り口の人たち、Twitterで日常的に見ている。
・実際に行われた裁判を基にしており、物語的に面白くするようなウソはほとんど無さそう。
・話の起伏がほとんどないし、豊富な資金で大弁護団を結成した被告が、たった一人で戦う原告を叩きのめす。見ようによっては後味の悪さすら感じる構図。
・ただ、それも見る側が試されている感じ。
・なぜなら、描かれているのは感情と理論の戦いだから。
・演出対研究とも言えるかも。
・アーヴィングは煽る方向の感情操作、演出が巧み。
・たった一人で、しかもホロコースト否定を主張しているにもかかわらず、大弁護団に対して有効打を何発か入れている。
・演出は派手で、研究は地味だから、世間が派手なほうにひかれてしまうのは仕方ないのかも。
・「正義は必ず勝つ」は願望であって真実ではないことがよくわかる。
・デマの場合、正義が勝つには悪の何十倍も努力しなければならない。
・膨大な調査で淡々と原告を押しつぶしていく戦略。
・なんでも曖昧にすれば上品に見えるという、ありがちな落とし穴を軽やかにかわしている。両論併記はダメ。
・「プレスリーが生きている」という人と議論するのは無駄というフレーズ。日本風にするなら、何で例えればいいんだろう。
・「良心に基づいた言動が最善にならない場合は苦しい」という、いい言葉。
・あらためてラジオ番組『セッション22』のアウシュビッツ回とリップシュタット裁判回を聴きたい。
・あと、個人的に好ましかったのは、リップシュタットの日課がジョギングだということ。
・興奮を発散する、落ち込みをリセットする、不安を和らげる、色んなシーンでジョギングしている。
・ジョギング映画と言っても過言ではない。
・なので、真面目で良くできた映画なのは間違いないんだけど、個人的にも親しみが持てる作品だった。