遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

兵庫県立東播磨高等学校 演劇部 『アルプススタンドのはしの方』

2018-09-18 01:50:29 | DVD・VHS・動画など

2018/9/17

・第63回全国高等演劇大会最優秀賞の作品。映像を見つけたので見てみる。

・野球部の試合に嫌々駆けつけた演劇部の二人が、わからないなりに元野球部や元学年トップの優等生と応援しているうちに、ある事件で負った自分たちの心の傷が回復していく話。

・ただただ野球部を応援しているだけの四人の会話が抜群におもしろい。

・笑わせ方が屈託なくて軽い。マックのポテト食うようにひょいひょい笑いを取っている。

・サウナのくだりうまい。

・会話の情報量のバランスも絶妙。言葉の隙間をうまく感情で埋めている。

 ・結局タッチアップって言わないバランス。

・元野球部員の男子の、体育会系をこじらせすぎて女子と全然会話ができない感じ。会話苦手なのに会話しなきゃいけない人の演技をやりきっている。

・出来事だけ抜き出すとそこまで大したことは起きてないのに、当事者感が強くて空気が緩まない。高校生の強みをうまく役に活かしている。

・圧倒的な会話力を軸に、ずっと後ろで流れているブラバンの演奏がいい仕事をしている。ここぞというところで、ちゃんと『Runner』が始まる確信犯ぶり。

・定番だからこそ持っている曲の強さを、上手に作品の熱に変換している。

・様式美としての目線演技。

・本来の主役である野球部員に感化されたというより、彼らを触媒として各々が内面を見つめなおすきっかけにしている。

・一歩間違うと、単に高校野球見て感動した人に見えてしまうところ、ギリギリで踏ん張っている。

・せっかく各々の温度差あるんだから、もう一山あってもよかった。でも、あんまり派手なことはやらない方針だったのかも。実際、それもこの作品にはあっている。

・漢前なプロポーズの言葉を、あっさりスルーされる演劇部の作演出女子。

・この女子が、かわいらしく見えたり、かっこよく見えたり、不細工に見えたり、万華鏡のようにころころ印象が変わる。

・何かと文句を言われやすい印象の審査員だけど、この片隅にいる地味な四人を最優秀賞に選んだのはよくぞと思った。

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ミュージカルユニットもえぎ色『いろは百鬼夜行』

2018-09-14 22:15:51 | 演劇を見てきた

2018/9/14

チケットを購入してぼんやりしていたら、まさか18時開演の回が一番遅いとは。

仕事が終わって大急ぎでかけつけ、後半の一時間だけ見る。

赤鬼と女の子、妖怪と人間が仲良くなる話。たぶん。

昔話「泣いた赤鬼」っぽくもあるし、岩泉舞先生の短編マンガっぽくもある。

見られなかった部分を頭の中で補いながら、どうにか話を仕立てる。

前回サンプラザで見た『海賊ブラボー』よりも、かなり殺陣が見やすくなっているような気がする。

公演後のショーも見やすく感じる。一演目あたりの時間をちょっとずつ短くしているのかな。

ダンスはプロのダンサーっぽい感じとはちょっと違っていて、技術じゃなくて幸福感を見せている。

ある意味、小劇場系のダンスにも通じる見せ方で、鑑賞というより共感する方向。

エンタメにはいろんなアプローチの仕方があるんだなとしみじみする。

ラスボスはほんとにがんばったと思う。

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笑の内閣『高間家 平井家 結婚お披露目パーティー』

2018-09-13 23:06:40 | DVD・VHS・動画など

2018/9/13

パーティー会場にプロレスのリング、始まる前は実況・解説の二人を中心に、拍手とブーイングの練習。

思った以上にプロレスの興行っぽい。

選手はかなり動ける。体の線は細いけど、相当訓練されているのがわかる。

プロレスの興行と、結婚お披露目の主従関係が逆になっている。

あと、マイクが聞き取りにくいこともあって、演劇っぽさのほうが感じられない。

新郎新婦が誓いのキスをする直前で、元カノが登場。どこまでギミックなのかわからない、生々しいやりとり。

キスに待ったをかけるピンク地底人2号さんが、演者として完全に場を支配していて、ヒールなのにとてもかわいい。

会場が真っ暗になって「お客様の中に照明が出来る人はいませんか!」と掛け声をかける場面で、山本雄飛くんが出てきたら、札幌の演劇関係者は爆笑だなと想像してしまう。

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空宙空地『ガラスのエイリアン』

2018-09-09 23:19:55 | 観劇三昧

観劇三昧:空宙空地『ガラスのエイリアン』

2018/9/8

・世の中にうまく適応できない女が、世の中にうまく適応できなくなってしまった初恋の人に再会する話。

・発想のスタートは『ガラスの動物園』でいいのかな。装置もそれっぽい。

・生きるのに向いてない人がそれでも生きていていいんだと思える作品には深く共感してしまう。

・ははぁんっ!という笑い方がかわいい。

・藤村昇太郎さんが演じる川崎くんの、底抜けに明るい学生時代と、そこに救いを感じるヒロイン、そして色々社会にもまれて輝きを失ってしまった社会人の姿がきちんと繋がっている。

・二人の笑い方が似ているのも繋がっている。

・ここは笑わすシーンだと腹を決めて演じる役者陣の頼もしさったらない。

・話の流れにあまりにも関係ない、笑かし特化型のおぐりまさこさんも見られて満足。

・散々計算しつくされた話だろうに、思い返して「あれ?あの人なんだったの」となる。まさおみとは何だったのか。何か見落としがあるのか。

・人の痛みがわかるタイプの同居人が愛らしい。

・熊手のような前髪。

・人の痛みがわからないタイプの姉。役割上、しかたないんだけど、だいぶ損しちゃった印象。

・強引に二人を再会させたのは姉の手柄なのに。

・距離の詰め方がわからない正義の人は息苦しい。

・正しいことと生きやすさは違うという、一見わかりにくい部分をきちんと描いている。

・ずっと欠陥にしか思えなかった自分の性質が、心許した人たちと一緒に笑い飛ばせるようになるのは大きい。

・テンポをあげる目的に限り、舞台のお約束を無視してもよいし、うまくやればおもしろにつながるという教訓。

・ただし、それに甘えてほかの役割を担わそうとすると崩壊する。たぶん。

・同じ役者がチョイ役を何役もこなす形式は珍しくないけど、スムーズに見せるのは結構難しい。やっぱり腕ある。

・身長差がえげつない。舞台ではあまり見られないタイプの、痛みが伝わる張り手。

・言葉のいらないラストシーンもきれい。

・唐突に提案するけど、空宙空地で鈴木大介さんの『脳が壊れた』を舞台化したら、すごく面白くなると思う。

■作品情報

劇団名 空宙空地
公演時期 2015/09/28
上演時間 01:25:07
地域 東海

■出演者
元山未奈美(演劇組織KIMYO)/藤村昇太郎/ioya*yotias/堀江善弘(afterimage/【exit】)/長沼日登美(劇団 いがいと女子)/小関加奈/山形龍平(タツノオトシドコロ)/碓井秀爾(座☆NAGAKUTE)/おぐりまさこ(空宙空地)

■スタッフ
作・演出:関戸哲也 舞台監督:柴田頼克(電光石火一発座・かすがい創造庫)/照明:高山皐月(高山一族)・寺島久美子(オイスターズ)/音響:神阪立人/スチール撮影:佐藤元紀(ACLOS)/映像撮影:ばらりゅういち/宣伝美術:studiomaco/制作:おぐりまさこ/プロデューサー:関戸哲也/主催:空宙空地

■あらすじ
あの日、見たんです。オレンジ色の光とともに、何かがあの池に飛び込んだんです。 息をひそめて、、、エイリアンがじっとしてるんです。あれから、ずっと、、、。 「上手に生きられない」人々と、「あの池」に沈んだ謎をめぐる、ヒリヒリしたSFヒューマンコメディ。

ガラスの動物園 (劇書房ベストプレイ・シリーズ)
テネシー ウィリアムズ
劇書房

 

脳が壊れた (新潮新書)
クリエーター情報なし
新潮社
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笑の内閣『君の名は』(公開通し)

2018-09-08 20:08:42 | 演劇を見てきた

2018/9/4

・中止になってしまった今年の教文短編フェス。そこで上演予定だった笑の内閣『君の名は』の公開通し。

・京都からフェリーなどで丸一日かけて北海道上陸、電気もロクにない中で苦労して札幌到着、直後に短編フェスの中止が決定。

・被災した立場も忘れて「なんて気の毒な…」と思う。

・同じように思った人が多かったのか、告知からわずか20時間後の公演なのに77名のお客さんが集まる。

・演劇関係者が目立つ。わざわざ来てくれたこと、公演に踏み切ったことに対して、意気に感じた人が多かったんだと思う。あと、カンパ制につられて。

・本編自体は20分くらい。落語の枕のような前説と、アフタートークを含めて1時間くらい。

・主催の高間響さんがふらっと出てきて自虐と悪態でひょいひょい笑いを取っていく。語りが軽い。

・停電で苫小牧港付近が真っ暗なのを「初めて来る人が北海道ってそういうもんだと誤解する」という話が好き。

・あのタイミングでトリトンと純連やってたんだ。

・本編。二人のギャップだけで当たり前に面白いし、そこにお蝶夫人をねじ込んでくる脚本家の腕力もすごい。

・お蝶夫人が履いていた正面から見るとスポーツシューズっぽいのに、横から見るとハイヒールの靴。キャラには合ってるけど、よく見つけてきたな。

・劇中の歌がうまい。今回は急場だからかマイクなし。以前動画で見たときよりうまくなっているような気がする。マイク使って広い会場で気持ちよく歌ってほしかった。

・「その場にいない、審査員に、媚を売るのは、やめろ」というその場その時にしか使えないネタもちゃんと仕込んでいた。鴻上尚史さんに聞いてほしかった。

・終始ゲラゲラ笑った。いつもより笑いを欲していた状態だったのかも。自分はそんなに困窮したほうじゃないけど、やっぱり色々あって疲れていたような気がする。

・このレベルの作品が集う教文短編フェスが中止になったことは本当に残念。

・これ以上、本作の時事性が現実とシンクロするタイミングはもう来ないだろうと思うと無念すぎる。

・アフタートークで感想を求められたイトウワカナさんが、自分の感想を言わずに、客席にいる劇作家連中を次々と名指ししてきたのには戦々恐々とする。最終的に笑ったけど。

※カンパは小額でカンベンしてもらって、結婚お披露目パーティーのDVDを購入しました。イラストかわいい。

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エドワード ゴーリー『ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで』『おぞましい二人』『優雅に叱責する自転車』

2018-09-05 01:37:00 | 読書感想文

 

ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで
エドワード ゴーリー
河出書房新社
おぞましい二人
エドワード・ゴーリー
河出書房新社
優雅に叱責する自転車
エドワード ゴーリー
河出書房新社

2018/9/4

とりあえず、絵本三冊を読んでみる。

『ギャシュリークラムのちびっ子たち―または遠出のあとで』は、26人の子供が淡々と死んでいくお話。

『おぞましい二人』は、おぞましい犯罪をおかす夫婦それぞれの一生を描写するお話。

『優雅に叱責する自転車』は、変な自転車に乗った二人が、色んなハプニングに遭うお話。

優雅に~に出てくるワニが自分が見たワニの絵の中でベストワニでとてもかわいい。

三冊とも子供が死んでいく話ばかり。不謹慎。

子供よりも子供のいる親のほうがダメージを受けそうな内容。

ただ、「子供は大人より死にやすい」という単純な現実を、作者が真顔で悲しんでいるような雰囲気もある。

『おぞましい二人』はちょっと別で、子供ではなく、子供の死の身近にいた人に焦点が当たっている。

おぞましさと人間らしさが簡単に両立していてちょっと困る。

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