遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

報告:即興組合第27回本公演『シアタースポーツ』(2日目)

2019-07-29 22:19:27 | 報告!

即興組合、2日目が終わりました。

ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

今日は14時と17時の2回。

例によって、遠藤自身が選ぶ遠藤雷太賞(いいキーワードを提供していただいたお客さんへの賞)を中心に振り返ります。

まず14時の回。

「JBOY」と「JJ」(チーム名)の戦い。

まず、お客さんの熱気が素晴らしく、乗せられないように気をつけながら採点しました。

お客さんに盛り上がっていただけると、ヒール仕草がやりやすくて助かります。

遠藤雷太賞は「タピオカミルクティー」。

昨日、「闇営業」を採っているぶん、二日連続でベタな時事ネタはとても選びにくかったのですが、一番良かったと思います。

時事ネタ有利の法則があるのかもしれません。

内部目線で打ち明けてしまうと、プレイヤー間で、出てくるキーワードを予想することはあります。

ただし、それは世間話レベルで、実際にどんな話を作るのか打ち合わせするようなことはありません。

そのときに誰とやるのかも、どんな制約があるのかもわからないので、意味がないのです。

むしろ、事前準備はその場その場の発想の邪魔になるという考え方なんだと思います。

お話は、タピオカ不足に悩む店長のもとに怪しげな売人がやってきて、「売ってほしくばタピオカに対する情熱を見せろ」と迫る話。

話の筋を抜き出すと単純。

ただし、タピオカ好きアピールの謎の儀式が始まってみると、今まで我々が思っていたタピオカとはなんだったのかわからなくなってくる。

一つの流行語が概念ごと解体されていく感じがシュールで面白いと思いました。

他には、バースディソングに強引にねじこまれた「somebody tonight」や、「厚揚げ」「アイライナー」「ポンポン」「墓参り」など、どれもいいパフォーマンスを引き出していたと思います。

制約の活かし方や表現力の高さで面白かったり笑えたりする作品が多かったんですが、冷静に話の筋を抜き出すとごく単純なものが多く、ストーリー担当のジャッジとしては差がつけにくい回でした。

 

オーラスの17時の回。

「昭和」と「和三盆」(チーム名)の戦い。

遠藤雷太賞は「死をもって償え」にしました。

ストーリーが進む中で、危ないアクションシーンや際どいセクシーシーンになると、スタントマンと称して、相手チームを呼び込み、自分達の代わりに演じてもらうという形式の作品。

単に入れ替わるだけでは話が膨らみにくく、なかなか盛り上げるのが難しい印象です。本職のスタントマンのようにホントに危ないことやセクシーなことができるわけではないので、メリハリがつけにくい。

今回は侍同士(たぶん)の戦い。バトルシーンはスタントマンが演じます。決着の刹那、女が身を挺して戦いをとめるシーンを挟みます。これで話が膨みました。

そのあとは、くどいくらいセックスシーン?を挟んでうやむやに終わっていましたが、決闘(死)からセックス(生)の流れで、一応話にはなっているのかなと。

キーワードの活かし方、形式との相性、話の盛り上がり、それぞれのバランスが一番よかったと判断して選びました。

他には「ドリームキャスト」「ちゃぶ台」もよかったのですが、キーワードの活かし方が弱かったように思いました。

ドリキャスなら他ハードとの違いもほしいし、ちゃぶ台がテーマなら、単にちゃぶ台のある風景だけでは活かしているとは言いにくい。

ちなみに自分が一番高得点を出したペーパーズ(あらかじめお客さんにセリフや単語を書いてもらった紙を、ランダムに読み上げ、シーンを作る)ですが、キーワード賞としてひとつふたつ選ぶのが難しい形式でした。

「仮面ライダー」と「パリピ」と「闇営業(昨日も出ていた)」の戦いで、「電卓」を武器に「闇営業」を倒すという流れはとても面白かったんですけども。

あと、最終ラウンドの「ポン酢と加藤浩次」は、即興組合の長い歴史でも屈指の珍ワードだったはずです。

チーム「和三盆」が加藤浩次からアプローチし、「昭和」はポン酢から話を組み立てる。

なかなかに耐える戦いだったと思いますが、やりきりました。

今回は形式がうまく噛み合わなかったり、結局犯人がみつからなかったり、想定外のことが多かったように見えました。

これもインプロだという言い方もできますが、それよりも、そんななかで踏ん張れる人こそ真のインプロバイザーであるという見方をしたほうが、おそらく楽しめたんじゃないかと思っています。

 

以上、こんな感じです。

どこまで皆さまにとって納得感のある採点ができたかどうかはわかりませんが、精一杯やりました。

お誘いいただいた即興組合の皆さま、ありがとうございました。

そして、遠藤雷太賞を受賞された四名様、おめでとうございました。

最後に、ご来場いただいた皆さま、あらためてお礼申し上げます。

 

また機会ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

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告知:即興組合第27回本公演『シアタースポーツ』

2019-07-28 23:59:59 | 告知

久しぶりの告知は即興組合さんの「シアタースポーツ」です。

シアタースポーツとは、即興の強みを損なわず、かつショーとして成立させるために、世界中の先人達が積み重ねてきた研究と実践の成果です。

札幌でそのショースタイルを見ることができるのは、この即興組合さんだけです(たぶん)。

歴戦のインプロ集団である即興組合の面々、イレギュラーの条件下で真価を発揮する元リベラルシアターの役者さんたち、そして、2018年TGRで新人賞を受賞した演劇家族スイートホームからの若き刺客。

筋書きのないドラマの先に何が待っているのか。予想を裏切り、期待を裏切らない即興ショー。

スキルアップを目指す役者さんも、単に面白いものが見たい人も、皆さんにオススメの公演です。 

遠藤はジャッジの一人として参加します。採点係です。毎回書いてますが、なんて無粋な役割なんでしょう。

ちなみに、シアタースポーツでは毎回お客様からいろんなキーワードを提供していただいていますが、最も素敵な言葉を提供してくれた方には「遠藤雷太賞」なるものを差し上げます。

ネーミングはともかく、素敵な粗品(言語矛盾)もあるそうなので、張り切って参加していただけると嬉しいです。

それにしても、毎年毎年年を重ねるごとに、時間の流れがどんどん早くなっていくように感じます。前回のシアタースポーツから一年もたったのが信じられません。

何事にも準備にかけられる時間が減っていくようで、否応なく臨機応変力が求められることになります。

自分自身はジャッジするだけですが、このシアタースポーツを通して己の頭のねじをグリグリ締めなおそうと思っています。

皆様もいかがでしょうか。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

<日時>

7月27日(土) 14時・19時

7月28日(日) 14時・17時

※開場はいずれも開演時間の30分前

<会場>

マルチスペース・エフ

札幌市中央区南9条西3丁目1-6彩木ビル4F

※駐車場はございませんので、公共交通機関等でご来場ください。

<料金>

前売券:1,800円

当日券:2,000円

※未就学児についての料金はお問い合わせください。

詳細・ご予約はこちらからどうぞ。→即興組合HP

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報告:即興組合第27回本公演『シアタースポーツ』(1日目)

2019-07-28 12:19:32 | 観フェス2019

即興組合、1日目が終わりました。

ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

今日は14時と19時の2回。

遠藤自身が選ぶ遠藤雷太賞(いいキーワードを提供していただいたお客さんへの賞)を中心に振り返ります。

14時回は「即興家族」と「元リベラルシアター」(両方ともチーム名)の戦い。

今回いいお題が揃っていたと思うんですが、元リベラルシアターチームのミュージカル「闇営業」を採りました。

ミュージカルはハマると強いです。

反社会的な集団が物心つかぬ子供を娑婆に戻す話。

それが厳密な意味で闇営業と言えるのかは微妙なところですが、相手チームも巻き込んでシーンを重ね、結構な力技で話に厚みを持たせました。

客席の小さなお子さんの声を拾って、次の展開につなげられたところは、インプロ感のある良いシーンでした。

子供好きをアピールするシーンで、二人の歌が、一人は外見、一人は中身と、瞬時に役割分担していたところもよかった。

他にも「酢キャベツ」「納骨堂」のような個性的なキーワードや、「やっと終わった」のような話を引き出しやすいセリフなど、良いお題が多かった中で、ベタな時事ネタは選びにくかったんですが、内容の良さで選びました。

他に、『やっぱり猫が好き』にギョーザで似たような名作エピソードがあった「スイカ」や、テクニカルプレイヤーが強力に後押しした「オカリナ」など、どれも見所の多い作品だったと思います。

個人的には採点の幅が狭く、ちょっと日和った感じになってしまったのが反省点です。

 

19時の回は、「プリンスアイズフジ」と「山菊山」(チーム名)の戦い。

今回は初めて「鮭(シャケ)」「サーモン」の二つのキーワードを採りました。他に選びようがなかった。

こういうこともあるんですね。

チーム「プリンスアイズフジ」の最初の演目が「鮭」というタイトルで、最後の演目が「サーモン」という関係性。

お題だけで伏線が張られ、回収されていました。

演者さんがその偶然性をしっかり消化し、鮭の恩返しを完成させました。まさにカムバックサーモン。

こういう興奮はインプロならではです。

途中、岡田みちよさんの「新巻鮭が海に帰ったら塩が抜けてサーモンになる」という、あまりにも謎な理論を強引に通した役者力に感服しました。理屈だけじゃ演技は出来ません。

「鮭」も「サーモン」もごくありふれた単語ですが、そういう普通の言葉でも見せ方次第で特別になれるというのは、インプロというか、演劇そのものの魅力だと思います。

他には「キツツキ」「こあがり」が印象に残りました。「キツツキ」は4コママンガのような起承転結があり、「こあがり」はシュールさが突き抜けていました。一人だけ何を言っているのかわからない制約がかえって想像力を煽ってきました。

 

大まかな振り返りですが、ひとまず以上です。

インプロはネタバレ気にせずに書けるので普段より助かります。

日曜日も14時と17時も上演されます。

よろしければどうぞ。

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「小さい演劇祭 第4回 男芝居フェス in 札幌」

2019-07-20 19:37:36 | 演劇を見てきた

※今回はわりと多めにネタバレを含みます。

 

2019/7/19

・一日で全参加団体の9作品とエキシビジョン1作品。

・最終的には大賞、優秀賞、観客賞が選出される。観客賞には10万円の副賞が付く。大胆。

・男芝居とは「"男要素"の絡む作品」。この定義だと、むしろ定義に当てはまらない作品を探すほうが大変。解釈はどうにでもなるし、女性参加の制限もない。

・逆に、この条件下で男芝居「らしさ」を出すのも大変。

・イレブンナイン(170以下)の『どうとでもなる』が内容的にも男芝居的にも頭ひとつ抜けていた。

・最初にストリートミュージシャン演じる明逸人さんがギターを持っているが、弾きそうで弾かない時間。

・一言も喋らず表情だけで何かをアピールしている。あの時間ずっと無言でいるの、怖くないんだろうか。

・その仕草が藤岡弘、的な劇画としての男そのもので、フライヤーに描いてあるイラストのタッチそのまま。

・ペットボトルから何か飲む時に、一瞬客席に流し目をするところも「男」。

・男芝居要素を最初の1~2分で消化。SASUKEのファイナリスト常連みたいな序盤。速い、速い。

・で、このオープニングがただのオモシロ表現かと思っていたら、最後にちゃんと別の視点から回収する。

・最終的には「男らしさ」という仮面を取る(?)話になるけど、この暑苦しい男要素が重要な前フリだった。男芝居という枷をしっかり話の推進力に変換していた。

・そんな彼の元に、江田由紀浩さん演じる謎の男がスクリームみたいな顔をして入ってくる。

・あとは、「真夜中のアスピリン」を思い出す不条理感に、人生の哀愁をくるんで、ポジティブな感じで終わる。

・正直、えげつないない出来ばえだった。

・あとは、きまぐれポニーテール『たりないおとこ』、Po-che『ごめん、そういう目で』の女子演劇がよかった。

・きまぐれポニーテールは、色んな角度から見た一人のダメ男をばらばらにして再構成する話。ピカソの絵みたい。

・Po-cheは面白かったんだけど、性別を乗り越えていく話に思えたので、男芝居とは間逆のことをやっていたような気がする。

・わんわんズの『ハリ合う求道者』は、教文短編の台本審査で読んでいた作品。趣旨的には、男芝居フェスのほうがフィットしていたと思う。

・あと、エキシビジョンの『ボロ』もよかったので、カンパ箱になけなしの小銭つっこんできた。

 

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藤井道人監督『新聞記者』

2019-07-05 01:59:19 | 映画を見てきた

2019/7/3

・新聞記者が、大学新設計画に関する新事実を明らかにする話。

・『主戦場』だけ見て、当事者である日本人が作った作品を見ないわけにもいかないのかなと思って見てみる。

・ただ、「面白いドキュメンタリー」に「ノンフィクション風のフィクション」が太刀打ちできるのか、かなり半信半疑。タイトルも地味だし。

・前評判は良いものの、どう面白いのか想像が出来ない。

・どこに勝算があるのかと思っていたら、とにかく役者さんが魅力的。

・主役の新聞記者を演じるシム・ウンギョンさん。

・配役のチェックせずに見ているので、ずっと「このひと誰だ誰だ」と見てたら、まさかの韓国の人。

・作品HPをよると「韓国映画界の至宝」。いかにも映画の宣伝らしい大袈裟な表現だけど見た後で知って納得。

・ツヤ消しのかっこよさにあふれている。変にキラキラした女優さんだったら台無しかも。

・ちょっと小林聡美さんの感じにも似てる。コメディも合いそう。

・あとで舞台挨拶の動画を見て、日本語のたどたどしさに驚く。これであの演技してたのか。

・もう一人の主役、エリート官僚役の松坂桃李さんもよかったけど、なにより田中哲司さんが怖い。

・とにかく圧力かけてくる無表情な上役おじさん。アメムチのアメが怖い。ちゃんと腹が立つので、メガネ取り上げて指紋ベタベタつけてやりたい衝動にかられる。

・レイプ不起訴、官僚の自殺、大学新設に関するスキャンダル。わりと今の事件をほとんどそのまま扱っている。

・特に官僚の自殺に関しては、なんとなくニュースで知っていたことでも映像で見ると印象が変わる。

・こういう手法、イヤない人はイヤだろうけど、今の政権を名指しで批判してるわけじゃないし、これくらいなら大騒ぎするようなことじゃないと思う。

・終盤の新事実も「ああ、そういう考え方もあるか」という感じ。あとで検索してみたら「ない話でもない」くらいらしい。真偽というより、それくらい権力者を疑っておいて損はないと思う。

・妊娠のくだりはベタベタなんだけど、家族を言い訳に善悪の見境がつかなくなっている人は実際に多そう。

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マイケル・ドハティ監督『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

2019-07-04 01:17:15 | 映画を見てきた

2019/6/30

・ゴジラ&モスラvsキングギドラ&ラドン。

・人間ドラマ的なものはオマケみたいな感じ。

・キングギドラがとにかくかっこいい。十字架の墓の後ろでポーズを決めるシーン、シールにしてパソコンに貼りたい。ちょっと観光名所的なわざとらしさは感じるけども。

・キングギドラは、復活した巨大生物たちを従えて世界各地で暴れる。

・ゴジラはキングギドラの一派と対立するので、人間はゴジラを応援する。

・直近に見た別作品のゴジラより、顔が丸っこくてかわいげがある。人間側だからか。

・ただ、キングギドラは強いので、何度も返り討ちにあう。そのたびに復活して戦いを挑む。

・決して人間の価値観では動いてはいけない怪獣達を二手に分けて戦う話が作れるのはすごい。

・ちゃんと「がんばれ、ゴジラ」と応援できるような構造になっている。

・途中参戦のモスラが神々しい

・ラドンのデスロールもかっこいい。

・鳥(爬虫類?)と虫を戦わせるのは可哀想。

・キングコングが割り込む隙はなかった。無理だ。

・渡辺謙とチャン・ツィイーのアジア系コンビ。

・緊迫しているときに、マジメな顔をして、マジメなことを言っていても、どうしてもお茶の間の雰囲気を感じて、ニヤニヤしてしまう。

・シーンが移動するたびに場所のテロップが入るところや、「その爆弾で大丈夫なのか」とか「そんなんでゴジラ復活するの?」とか、全体的に大雑把な感じ。

・あえて日本の特撮映画っぽく、隙のある感じに仕上げているのかもしれない。

・子供の頃、特撮のおもちゃを見てわくわくした気持ちを思い出す。懐かしい。

・人間が増えすぎたから巨大怪獣を復活させようと言い出す、考え方がサノスと一緒の母親。いくらなんでも、きっかけと結論が離れすぎている。

・ゴジラやモスラのテーマがアレンジされていてかっこいいし、とにかく興奮を煽ってくる。

・たぶんシリーズ化するんだろうけど、ここからどんな話になるのかよくわからない。へドラとか見たい。

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演劇公社ライトマン『破産した男』

2019-07-03 00:37:44 | 演劇を見てきた

2019/6/28

・破産した男が、妻と別れ、次々と家財道具を売られていくなか、手元に残った小説「縮む男」を音読する話。

・破産した男が重堂元樹くん。家のものを次々と売り払っていく破産管財人はフレンチくん。

・それぞれダブルキャストで、4回の上演ですべて異なる組み合わせになる趣向。

・勝手に昔の話かと思ってたら、作者のダヴィット・レスコは1971年生まれ。自分と同世代と言えなくもない。

・作品内に出てくる小説「縮む男」は、主人公の男がどんどん小さくなっていく話。

・リチャード・マシスンが1956年に発表したという『縮みゆく人間』のことでいいのかな。名著らしいので意識してないことはないと思うけど、まったく同じかどうかはよくわからない。シュリンクはそのまま「縮む」の意。忘れないうちに読んでみたい。

・破産管財人のセリフの量がものすごい。しかもほとんどが法律用語と数字。それを早口でリズミカルに言う。

・普通のセリフ覚えとは別のコツがいりそう。

・その淡々とした言葉の羅列の中に、ちょっと感情の見えるセリフが紛れ込んでくる。

・「あなたが好きなんですよ」は、同じ劇団内で長い付き合いの男からのセリフだと思うとドキリとする。ダブルキャストの深浦くんなら全然違う雰囲気になる。

・破産した男は生煮え感の強いダメ人間。

・一番生き生きとしているのは、出て行かれた妻に会おうとする時。いい年して内弁慶が過ぎる。

・彼女の新居の玄関で、ドアを開けろとわめいているシーンがいたたまれない。フランスの話だけど、こんな幼稚な人は日本にもわりといる。そして、自分の中にもそういう要素がないかと言われたら、ちょっと自信がない。

・彼がわめく姿そのものはドアに隠れて見えないけど、格子状の枠がついた大きな窓ごしに影だけが見える。

・肥大してもやもやした頼りないものがわあわあ言っていている。まさに彼そのもの。

・ぴしゃりと拒絶する奥さん。演じているのは上総真奈さん。ドアを背にして座る彼女の一人語りが凛々しい。

・一回、セックスしてるぶん、余計に救いがない。

・そんな作中人物と同化していくようなラストシーン。理に落ちすぎず、抽象的な表現でも納得できる。

・重堂くんが過去に参加してた開幕ペナントレースの影響もあるのかなと思ったりする。

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