遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

「テオ・ヤンセン展」

2019-08-28 22:19:38 | レポート

2019/8/28

風の力で生き物のように動く「ストランドビースト」の展示。

色味から勝手に竹か木材だと思っていたけど、主に塩ビ管と結束バンドで作られている。あと空気をためるペッドボトル。

今回はたまたま現地に行ったから勘違いに気付いたものの、こうやって気付かずに通り過ぎていることはたくさんあるような気がする。

一定の比率(ホーリーナンバーと名づけられている)で組まれた足の動きが人間っぽい。かっこいい。自分はゾイド世代なのでなおさら。

こういうものを作るんだから職人気質の構造フェチなのはわかるけど、もう一方で「過酷な砂浜という環境で生きる」とか「風を食べる」「進化を続ける」「作者がすべてを得られたと思った作品は死ぬ」といった設定は、生命を創造する神の立ち位置だったりする。

死んだら化石になって、その後また動かすことを「リ・アニメーション」と呼ぶとか、わりと都合よくて理不尽な感じも神っぽい。

ごく身近なものに極限まで工夫を重ねて、誰も到達したことのない表現になっているのがすごい。

動作しているところも見られたけど、やっぱり屋外でぐいぐい動くところも見たかった。

 

 

※リアニメーションでは彼(アニマリス・オムニア・セグンダ)が手前に迫り来るのでかなり迫力がある。 

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新海誠監督『天気の子』

2019-08-26 04:33:41 | 映画を見てきた

(今回の感想はネタバレを多く含みます)

映画『天気の子』スペシャル予報

2019/8/25

・家出少年とお祈り晴れ少女が仲良くなった結果、東京が水没する話。

・ネットで見かけた感想「新海誠版ポニョ」で全部説明できている。

・雨描写がただただ美しい。

・現実と非現実の境目としての水の魚が絶妙。ポニョポニョしている。

・廃ビルの汚ならしさもアニメで再現すると美しくなる不思議。

・雨はものすごいリアルなのに、どうしていつも涙だけあんなに粘度が高そうな感じになるんだろ。泣いてるだけなのに毎回「なんか目から出てきた」と思ってしまう。

・少年の童貞描写を見て、下戸のほうが酔っ払いの演技がうまいという話を思い出す。テンプレ感強い。

・新海誠監督の性癖にはあんまり興味がないので、ネットで言われているような作中の諸々の出来事も、登場人物視点ならまあそんなこともあるかというくらい。

・雨をどれだけ恐ろしく感じるかは地域差がありそう。

・家出少年、よっぽどの事情があるのかと思ったらそうでもなかった。

・彼のやってることは、自分は何もせず女に水商売で稼がせるヒモとあんまり変わらないので、もうすこしなんとかならなかったのか。助ける量と迷惑かける量のバランスが悪い。

・彼に深く関わった人は、そのせいでほぼ警察に取っ捕まっている。

・とても凝った方法で脱走した彼が、いてもいなくてもいいような鉄砲玉になっただけというのもさびしい。

・ただ、好きな女のためなら東京が水没しても構わないという話なので、それくらいは些細なことなのかもしれない。そのへんもポニョポニョしている。

・少女が人柱になって地上を救うというより、不用意に天気をコントロールしてしまった反動に見える。

・なので、救うとするのをやめた話というより、災害まきちらかしてほったらかしにした話にも見える。

・指輪のくだりほんとかわいそう。笑ゥせぇるすまんの依頼人の末路みたいで怖い。

・東京をきちんと水没させたのは腹が座ってて好き。

・都会の汚れの部分や実在するエリアなんかもきちんと再現されているので、全部沈んだんだと思うとフィクションとして楽しい。

・沈んだなりの社会や生活の変化はもうちょっとありそうだけど。

・このへんの感じ方も東京に住んでいる人と地方に住んでいる人でだいぶん地域差がありそう。

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劇団 風蝕異人街『青森県のせむし男』

2019-08-26 03:48:31 | 演劇を見てきた

2019/8/13

あるせむし男の出生の秘密を独特の語り口と身体表現で描いた話…でいいのかな。違うかも。

風蝕異人街がかでる2・7ホールと聞いてどんな感じになるのかなと思っていたけど、会場が広くなって客席の椅子がよくなったくらいで全然違和感がない。

思っていた以上に、表現が強い。

パンフには主宰のこしばきこうさんが「アングラというレッテル」という書き方をされていたので自作をアングラと呼ばれるのは好まれてないと思うけど、それでも風蝕異人街が一ジャンルを背負った団体なのも確か。

そのアングラかどうかの境界線上で、さらにジャンルの幅を広げようとしているところがすごい。

お話の展開を味わうというよりは、言葉の強さや語り口、身体表現など、断片断片を楽しむ感じ。

表現の幅を広げたいけど、なにをしたらいいのかわからないという役者志望の人は積極的に参加するといいんだと思う。

(この時期、色々立て込んでいて短めの感想ですみません)

(2019/8/13 19:30の回)

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BLOCH PRESENTS「野村大ひとり芝居傑作選」

2019-08-09 23:46:28 | 演劇を見てきた

2019/8/8

・Aプログラム。野村大さんの短編一人芝居3作品と、三田村啓示さんのゲスト作品の合計4作品。

・ABプログラム制度とゲスト作品の制度に悩まされる。全部見たいけど、時間も財布も限りがある。

・でも、一人芝居の集客を考えると良い試み。

・『Baby,I Love You.』『西園寺』『アンクル・メジャー・コード』『四十四年後の証明』。

・「アンクル~」だけ初見。

・一番好きなのは『四十四年後の証明』。

・44年後の未来から孫が自分に電話をかけてくる話。

・主人公が電話の相手を孫だとということを、「信じない」から「信じたい」に変化していく過程をこれでもかというくらい丁寧に見せる。

・単に未来人と現代人の会話ではなく、それぞれ切実な事情をかかえた二人の会話。

・属性ではなく個人として描かれている。

・「これ好きだったなあ」と見始めて「やっぱり好きだなあ」で終わった。

・『アンクル・メジャー・コード』は、大阪で活躍されている三田村啓示さんが演じる。役者さんも初見。

・ものさしおじさんが娘離れする話。

・物理的にも必死で離れようとしている。

・そもそも、ものさしおじさんという超現実的な面白い存在。

・何か元ネタあるのかな。まさに新作落語のネタみたい。

・語り口が味わい深い。声色なのかリズムなのか、笑えるというより心地よい感じ。

・設定が奇抜なぶん、過剰な足し算をしてない感じ。

・カーテンコールの時に、前かがみ半身で野村大さんに向き合ってる感じが、柔術の試合中みたいだった。

・『西園寺』は、裏社会の探偵が悪党から札幌の平和を守る話。

・展開の適当さと役者の魅力演技力の戦い。

・結果面白かったので役者さんが勝ったんだと思う。

・順番逆になったけど一作目は『Baby,I Love You.』。

・登場シーン。たたたたっと入ってきてびたっ止まる動きがとても好き。

・毎回思うけど、幕開け5秒で見る側を安心させてくれるのはほんとすごい。

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「INDEPENDENT:SPR19」

2019-08-05 01:20:51 | 演劇を見てきた

2019/8/4

・30分弱の短編を2ブロック合計6作品。

・『コルチカム』と『カウント9.99』がおもしろかった。

・『コルチカム』はお笑い芸人の楽屋で起きたちょっとした事件を川添公二さんが一人四役で演じる。

・基本進行は会話。最初のコント部分を除けば、登場人物四人の間の会話だけ。

・たとえば、川添さんが登場人物Aを演じている時、登場人物Bのセリフは観客の想像で補う感じ。ひとつのシークエンスが終わると、ドアが開くような音がして別の登場人物を演じ始める仕組み。

・このバトンを繋いでいくような見せ方は、話全体の構成とも重なる。うまい。

・「やめるには年を取りすぎている」という話は身につまされる。実際、自分もよくそういうことを考える。

・作演出の野村有志さんは、こういう「人生に失敗しちゃったけど諦めきれない底辺にいる人」をとても愛情深く描いてくれる。過去作の『さようなら』もそう。

・オパンポンダンスは生で見たい。

・あと、サンゴは握り締めちゃダメ。

・『カウント9.99』は、一人の女子プロレスラーが引退セレモニーで自分の半生を振り替えろうとする話。

・演劇の題材で女子プロレスというとイロモノ感が強いけど、一方で、一人芝居には「女の一生モノ」というジャンルがある。

・そういう意味で、一人芝居というジャンルのど真ん中にいる作品とも言える。

・作演出は上田龍成くん。いつも思うけど、既存ジャンルの文脈を自作に取り込むのが本当にうまい。

・プロレス好きなら納得の塩梅の固有名詞や、語られるエピソードも現実から新旧色々取り込んでいる。

・演じているのは大和田舞さん。

・しまっているんだかしまっていないんだかよくわからない肉付きも、ちょっとプロレスラーっぽい。

・必要最低限の動きでプロレスラーらしい威厳をキープしつつ、マイクアピール、謝罪、スナックのママ、スーパーのレジ打ち、高いレベルで語り口を切り替えているので飽きない。

・レジ打ちは映画『レスラー』のオマージュだと思う。

・あと、衣装とメイクがほんとうに素晴らしい。

・カーテンコール後のパイプ椅子を肩に担いで意気揚々と退場していくのも良いシーンだった。

・たぶん、どこに持っていっても大丈夫な強度のある作品だった。

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