遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

海部健三『結局、ウナギは食べていいのか問題』

2019-09-29 23:11:52 | 読書感想文
結局,ウナギは食べていいのか問題 (岩波科学ライブラリー)
海部 健三
岩波書店


2019/9/29

絶滅危惧種の「うなぎ」は、結局食べていいのか、よくないのかを解説した本。

獲れる量は激減しているものの、現状、ニホンウナギがどのくらいいるのかがよくわかっていないし、漁獲制限も現実的に獲れない量で設定している。

養殖場のシラスウナギのうち、違法に流通しているのが半分から七割。

それなりに数がいても、これだけガバガバだと一気にいなくなってもおかしくない。

予防原則の考え方は応用利きそう。

著者は政治や社会のシステムで改善していくべきで、消費者の行動で制限するべきではないという考え。

ただ、それで間に合う気がしない。

著者は積極的に賛成してなかったけど、やっぱりスーパーや牛丼屋で安いうなぎ食べるんじゃなくて、専門店に限るように心がけるのが一番バランスがいいような気がする。

専門店はうなぎでがんばるしかないんだし、いっぺん、需要を減らさないとどうにもなりそうもない。

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田辺聖子『とりかえばや物語』

2019-09-29 00:36:45 | 読書感想文
とりかえばや物語 (文春文庫 た 3-51)
田辺 聖子
文藝春秋

2019/9/27

平安時代、男らしい姉・春風と、女らしい弟・秋月が、それぞれ性別を偽ったまま、成長していく話。

もともと気になる作品だったので、マンガで何度か読もうとして地味に挫折していた。

田辺聖子先生の脚色で読んでみたら、面白くてするする頭に入ってくる。

主要四人がしっかり魅力的。名前をつけるのって大事。

残りの主要三人に言い寄る「夏雲」がほんとどうしようもなくてかわいい。

読んでいて「夏雲…お前…」「夏雲…おまえさ…」と何度も思う。

こんなしょうもない人ダメだろと思いつつ、かわいらしさもあって、まあまあモテるのもわかる。そのバランスが絶妙。

そのかわいらしさを踏まえることで、彼にまったくなびかない春風の魅力も引き立つ。

平安時代という舞台装置がうまく機能していて、ギリギリなさそうでありそうなところをついている。

原典にもあたっておきたい。

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劇団words of hearts『妥協点P』

2019-09-28 01:35:19 | 演劇を見てきた

2019/9/27

・学校祭で上演する演劇作品を巡って、脚本を書いた女子生徒と、書き直しを要求する先生が対立する話。

・65分。短い。対立ベースでサクサク話が進むので時間以上に見やすく感じる。

・本棚だけのシンプルな舞台美術。実際にかなりの量の本が並べられている。

・学校の書庫にありそうな本縛りだと、集めるのは相当大変だったのでは。運ぶのも。

・もうちょっと蔵書をちゃんと見ておけばよかった。

・オープニングの曲と学校のチャイムが交差する感じがかっこいい。

・学祭版「笑の大学」とも取れるけど、実際には意見の異なる先生同士の掛け合いが中心。

・脚本を書いた女生徒はもの言わず、そんな大人たちを見つめる役割。

・彼女を媒介にして各先生の主張が浮き彫りになる。

・実際の大人はもうすこし狡猾なんじゃないかと思ったりはするけど、極端な思い込みを生徒に押し付ける先生は、どこの学校にも一人くらいはいそう。

・各登場人物は濃い目の性格付けで、わかりやすい話になっている。

・飛世早哉香さんのコメディ仕草。引き出し多い。

・先生と生徒の恋愛を作品化して学校祭で上演してもよいかどうか。

・個人的には特定の個人を貶めるような話じゃなきゃ別にいいと思う。

・ロミジュリを下敷きにしている点も影響するし、生徒ではなく先生が書いてたらアウトっぽいかとか、微妙なことで妥協点の位置が変化する。

・年長の先生が、完全にもらい事故。

・校則や憲法より心が大事みたいな話は危なっかしい。

・校則はともかく、憲法が一時の感情でスルーされるのは怖い。

・事後、つるんとしたメロンみたいになってた。

・フィクションであることを強調されていたけど、どうしてもあいちトリエンナーレの交付金停止の件と重なる。

・検閲する側は、決して「検閲している」とは言わないことがわかる。現実ならもう少し巧くやる。

・期せずして、今見ないでいつ見るんだという作品になっている。

 

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佐藤信介監督『BLEACH』(2018年)

2019-09-23 23:26:52 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2019/9/22Bleach Trailer (2018) Live Action Movie

原作は全部読んだ。アニメはアニオリのシーンが続くようになってからセミリタイア状態。

少年ジャンプの実写化はどう頑張ってもコスプレ大会になるという先入観。

逆にそういうもんだと心の準備をしていたせいか、そこまでビジュアル面で安っぽい感じがしない。

アクションシーンも派手でわかりやすい。蛇尾丸超怖い。

ルキアは大分イメージ違うけど、それでキャスティングしているのかと思うくらい刀を持って構える姿が様になっている。

杉咲花さん。そういう剣術系の特技あるのかな。

原作のコミカルな部分も好きなんだけど、ビジュアルとアクションに特化したせいか笑えるシーンは控えめ。

何度かこのへんで一息つかせてくれないもんかなーと思ったりする。

妹二人が、見た感じシャイニングの双子っぽい。

刃物勝負なのに戦いがHP制だったり、唐突なパワーアップだったり、ジャンプマンガの偏見みたいな展開はご愛嬌。

※ネトフリ、副音声が視覚障害者用のガイドになっていた。これ、他の作品にもあるのかな。

 

BLEACH [DVD]
福士 蒼汰,杉咲 花,吉沢 亮,真野 恵里菜,小柳 友
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

 

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ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

 

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『自衛隊防災BOOK』

2019-09-22 23:39:07 | 読書感想文
自衛隊防災BOOK
マガジンハウス,自衛隊/防衛省協力
マガジンハウス

2019/9/19

ピンチの時に役立つ自衛隊の知恵を紹介するハウツー本。

基本的に、練習してからじゃないと動けない、現場で真っ先に倒れるタイプと自負しているので、とりあえず読んでみる。

ただ、怪我人を運ぶのも一回目は絶対に落としそう。

わら納豆スタイルで、ブルーシートと新聞紙で簡易寝袋作るのもやってみたいけど、そもそもうちにブルーシートも新聞紙もない。

いざという時の自衛隊料理のところ、意外とちゃんとしているものが出て来るのかと思ったら、板チョコの欠片をカンパン2個で挟んだものだった。意外と旨いんだろうけども。

まず使わないけど、なだれのときに生存率をあげる方法と、大きな音から鼓膜を守る方法は覚えておきたい。

身近に家族でもいるならともかく、一人だと切実に受け止められないのか、読んだそばから忘れていく感じで困る。

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北海学園大学演劇研究会『リバーサイド・プレハブ』

2019-09-16 23:32:33 | 演劇を見てきた

2019/9/14

ある女の人が、河の向こうで暮らすアウトローな人たちと生活をともにすることで、ポジティブな気持ちになる話、でいいのかな。

リバーサイドという言葉のおしゃれさと、プレハブというチープさのギャップ。

あわせるとわりと日常的な風景になるのがおもしろい。

単純に河をはさんだ裕福な地域と貧しい地域の対立でもあるし、三途の川に見立てた、ある種の通過儀礼を描いた話にも思える。

社会的な見方も幻想的な見方もできるようになっている。

ゴミクズというひどい役名を演じた須藤翔太さん。ちゃんと場を背負って空気を動かしていたと思う。

もうちょっと河原暮らしの具体的なところ見たかったかも。

ギャグを入れてもいいんだけど、もうちょっとリアルな方向で色々おもしろいところ掘れそう。

テーマにもかかわってくるところだし。

あと、猫は大切にしてほしい。

(9月14日19時)

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yhs『青春したい!』

2019-09-15 22:34:32 | 演劇を見てきた

2019/9/14

・青春道を極めた父子が、それぞれエリート高と落ちこぼれ高の青春部を巻き込んで対立する話。

・初演も見たけど、なにぶん16年も前なので、「眉毛の太い親子が出てきた」くらいの記憶しかない。

・青春道を競う部活動が青春部で、青春道の素になる力が青春(あおはる)パワーという、よくわからない設定。

・そんな事実に基づく部分が何ひとつもない話でも、舞台に生身の人がいて、必死に何かやっていれば、何となくそういうものがあるのかなという気分になってくる。

・少年マンガ的なテンプレはバカにされがちだけど、盛り上げ装置としてテンプレ化されるだけの優秀さがある。

・色々趣向を凝らしているものの、結局暴力で優劣を競う感じとか、審判が隠れた実力者とか、最強の父(師匠)と子(弟子)の対立とか、三対三の対抗戦とか。他愛もなくわくわくさせられてしまう。

・父子は小林エレキくんと櫻井保一くん。

・櫻井君くんは『白浪っ!』で鍛えられたと思われる見得の切り方と、殺陣が、うまいこと噛み合っていた。表情もかなり研究していたと思う。

・エレキくんは、展開の都合上、それほど大したことをやってたわけでもないのに、圧倒的な存在感が求められるという矛盾した役割をしっかり担っていた。

・オモシロ場転。演出の斬新さと場転後の地味さのギャップでも笑った。あんだけやって椅子持ってきただけ。

・いったい佐藤杜花さんはどこまで行くんだろう。

・安藤友樹くんの吹っ飛ばされ方。デカくて1000円。

・スココには色んなバージョンがあるのかな。

・これだけ色々趣向を凝らしてやっているなかで、なんの捻りもないコマネチをやりきる能登英輔くんの胆力。

・シュールな台詞で薄まってるものの、いい年した大人が浜辺できゃっきゃうふふするのも結構スリリング。

・あんな豪快な出とちりは初めて見た。当たり前のように盛り上げる方向で追い風にしているのはすごい。

・近い年齢とは言え、最終的にプロが学生をボコって一件落着という理不尽な結末。

・そこは新巻少年の役割ではなかったのか。ただフラれただけ。笑ったけど。青春苦い。

・そんな新巻少年が、きっと活躍するはずの続編「もっと青春したい!」が待たれる。

・何年後になるのかはわからないけど。

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虚構の劇団『天使は瞳を閉じて』

2019-09-13 12:12:17 | 観劇三昧

観劇三昧:虚構の劇団『天使は瞳を閉じて』

2019/9/12

・透明な膜に覆われた街の住人たちを天使が見守る話。

・第三舞台が上演した作品はVHSで見た。もう20年くらい前。

・演出はそのまま作者の鴻上尚史さんだけど、団体名も違うし、出演者もほとんど違う。マスター役の大高洋夫さんのみ共通。

・序盤は、どうしても最初に見たときの記憶がよぎってしまい不純な気持ちで見てしまう。思い出との戦い。

・売れない芸術家のケイ。かつて長野里美さんが演じた役を、今回は大久保綾乃さんが演じる。

・それでも、上演時間を通じてちょっとずつ出演者たちが魅力的に見えてくる。

・滑舌きれい。動きも切れる。面白いギャグも面白くないギャグもあるけど、腕はしっかり振れている。

・まさか「行っちゃヤダじょー」がそのまま聞けるとは。

・ケイの映像作品のシーンは、今見ると逆に面白く感じる。自分自身がケイの感性に追いついてきたのかもしれない。寝る前に聞きたい。

・壁を壊そうとする男、アキラが前よりかっこよく見える。彼がいちばんロックだったような気がする。

・残念美人のハルカの残念ぶり。

・電通太郎という、あらためて聞いても酷い名前。5円玉をばらまく生々しい音が好き。当たったら痛そう。

・自分を安心させてくれるものが売れる。

・イソジンのときと、コーラのときの、急に人間味が消えるマスターの顔。

・大高さんが一人出ているだけで本家本元感が強まる。

・30年経っても現役の舞台俳優として、あの頃の雰囲気も失わず、ダンスをこなし、この場にいられるのはほんとにすごい。

・本戯曲の初演は1988年。その頃から原発事故を連想させる作品だったけど、今回の上演は2011年の8月。

・そのままでも十分通用しそうなところ、オープニングをかなり直接的な表現に差し替えている。

・是非はあるだろうけど、この時期の上演ならアリだと思う。

・人と人、場所と人、過去の自分と今の自分、色んな関係が移ろっていく描写がしっかりしていて、それを見守る天使がいるという構図がきれい。

 

■観劇三昧HPより

劇団名 虚構の劇団

公演時期 2011/08/02

地域 関東

キャスト
大久保綾乃/大杉さほり/小沢道成/小野川晶/杉浦一輝/高橋奈津季//山崎雄介/渡辺芳博/大高洋夫

スタッフ
作・演出:鴻上尚史

あらすじ

劇団「第三舞台」の代表作を、マスター役に大高洋夫を迎え、2011年「虚構の劇団」版として上演!!
放射線を防ぐ、透明なドームに覆われた街の物語、はじまる。

それから、気の遠くなる時間が流れた。
人間は変わる。でも、天使は変わらない。
あなたの瞳は、まだ世界をみつめていますか?

 

■作中画像より

マスター 大高洋夫

ケイ 大久保綾乃

電通太郎 渡辺芳博

リナ 小野川晶

ユタカ 山崎雄介

ハルカ 高橋奈津季

サブロウ 三上陽永

アキラ 杉浦一輝

天使1 小沢道成

天使2・テンコ 大杉さほり

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『鴻上尚史の「声」のレッスン』

2019-09-11 13:51:52 | DVD・VHS・動画など

 

2019/9/11

役者はもちろん、声を使う多くのひとたちに向けた発声レッスンのDVD。

基本的には書籍「あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント」と重なるところが多い。

文字や絵だけだけとイメージしくいところをきちんと実演してくれるので、よりわかりやすい。

実演役の皆さんは、明らかに元々訓練をしっかりされている感じで体の動きにノイズがない。

進行がスムーズなぶん、ちょいちょい、「すぐできなくてもいいんだよ」と言葉をはさんでくれるのは、指導者目線だと大事。

体のどこを共鳴させるかの話では、鴻上さん自身も体のあちこちを共鳴させて発声する方法をやってくれる。

大昔に役者をやっていた頃を思い出して懐かしい気持ちになる。

こういうことは継続がモノを言うと思うので、今の自分だと限定的な利用になってしまうけど、部活とかサークルとか、基礎練習しっかりできるところにとっては、必修科目だと思う。

 

鴻上尚史の「声」のレッスン 〜魅力的な「こえ」の作り方〜 [DVD]
鴻上尚史,小野川晶,高橋奈津季,三上陽永,渡辺芳博
サードステージ

 

あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント (講談社文庫)
鴻上 尚史
講談社
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「教文短編演劇祭2019」(後半)

2019-09-04 11:49:28 | 報告!

2019/9/3

・空宙空地『ショウアワセルフ』。

・時計に見立てた舞台上で、一組の夫婦が短針と長針のようにぐるぐるばたばたと人生を全うしようとする話。

・二人は針ではなく人間なので、進む速さだって変わるし、出会ったり、すれちがったり、ともに歩んだりする。

・ただし一時停止や時間をさかのぼることはできない。どんなにがんばっても。

・堂々巡りに見えるけど、同じ瞬間は一度もない。

・ドタバタとした泥臭い足音に悲哀を感じる。自分を重ねてしまう。そういうお客さん多かったと思う。

・二人だけでも、構図が貧相にならないように工夫されてる。

・元々演技だけでも勝負できる二人がここまで体を張ってたら、若手とかどうしたらいいんだろう。

・星くずロンリネス『ヒーローシチョウ』

・抜群に気が効いてる紹介VTR。抜け目ない。

・人前に出ると緊張してまともに話せなくなってしまう市長が、ヒーローショーを通じて成長する話。

・最初の立川圭吾くんのセリフが聞き取りやすくて安心する。短編作品は、立ち上がりがほんと大事。

・ヒーローショー要素と市長の成長要素と回文要素が別々に回転している感じがしてちょっと混乱する。要素が多い。

・それでも客席は沸く。発想力の腕っぷしが強い。

・全作品の上演が終わった後、審査員の鴻上尚史さん、石塚慶生さん、戸田恵子さんの講評。

・勝った負けたもいいけど、こんな方々に直接自作の感想を聞けるのは、ものすごいご褒美。

・鴻上さんは、厳しめのこととやさしめのことを一息で仰る感じ。スパッと切って一瞬で傷薬も塗っていく。カマイタチ(妖怪)みたい。

・とはいえ、自分はそのころ上手袖にいたので、あまり集中して聞くことができず。

・ホワイトボードを運んだり、チャンピオンベルトを袖で受け取って委員長に渡したり、地味に動く。目立たない感じであってほしいけど、どうだったんだろう。

・俳優賞は空宙空地の関戸哲也さん。

・空宙空地を最初に知ったのは、もう一人のおぐりまさこさんの一人芝居だったし、作演出のイメージがあるからちょっと意外な感じ。それでも、決まってしまえば他の選択肢はなかったように思える。

・アフターパーティーで自己紹介もせずウカツな感じで江田さんに話しかけてしまったのは反省したい。

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