2021/1/24
・17世紀のアイルランド。ハンターの父親を持つ娘ロビンがウルフウォーカーの娘メーヴと仲良くなる話。
・ウルフウォーカーとは、自分の魂を狼の姿で実体化することができる特殊能力を持った人間、でいいのかな。単なる狼男(女)とは違う。
・この仕掛けが秀逸で、ちょっと前まで父親が娘を殺す殺さないの最悪の状況だったのに、終わる頃にはそれしかないという納得感の強いところに落ち着く。構成がきれい。
・父親がもどかしい。そのもどかしい彼がついに行動を起こした時のカタルシス。最近やっと見た「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の父親とも少し重なる。気持ちいい。
・ただ、本作はそんな父親に対しての和解と独立の話でもある。「今だって牢獄にいる」というセリフが響く人は多いと思う。
・人や風景の抽象化。ウルフウォーカーの母娘は極限まで丸いし、二人を脅かす人工的なものはとことん直線で表現されている。森はグネグネしてるし炎はカクカクしている。
・狼の牙もカクカクしてるので基準は違うかも。暴力的なものと、そうではないものとか。
・匂いや音の表現おもしろい。「鬼滅の刃」の匂い表現もよかったけど、本作の狼の知覚の見せ方もすごい。
・線がゆらゆらしてて呼吸しているように見える。「かぐや姫の物語」を思い出す。
・大胆に遠近法を無視したシーンが一枚絵として強い。
・マーリン、射られてるのに飼い主に懐いてるままなのが健気。
・狼と癒しって何か伝承あるのかな。本作に限らず、超常現象と治癒能力の雑な組み合わせはあんまり好きではない。
・ただ、あれが肉球による癒しなんだと思うと、ギリギリ納得できるような。狼の肉球硬そうだけど。
・物語は、ロビンやメーヴに感情移入させるように作られているけど、現代人である以上、自分自身の立ち位置はグッドフェローであり、護国卿になってしまうのが苦い。
・結局、見ている人たちのほとんどは、最後のあの輪の中には入れない。
・そう言えば、最初に西暦と場所をはっきり提示していた。あの結末も、歴史の流れの中にある点の一つに過ぎないということなんだと思う。