遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

清水崇監督『魔女の宅急便』(2014年)

2021-02-24 23:27:06 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/2/24

女の子キキが、一人前の魔女になるべく、家を出て宅急便を始める話。

キキを演じているのが小芝風花さん。

寝起きで顔に電話線のあとがべっとりついているシーンがかわいい。全体的に若いというか、幼い。

wikiによると制作時は16歳。ちゃんと役と役者が一緒に作中で成長しているように見える。

清水崇監督と言えば『呪怨』。

オソノさんの妙に含みのある表情とか、完全にジャンルの枠をビヨンドしている動物園のお兄さんのアウトレイジ感とか、手すりの上でなぜか直立している松ぼっくりとか、ちょいちょい気持ちがざわつくシーンが出てくる。

トンボは最初心配したけど、なんとかなったと思う。

特に理由もなく強い意志だけで立ち直るところや町の人の手のひら返しの露骨さ、スカートの処理、わかりやすく気になるところは多かった。

たしかに『花束のような恋をした』のあの二人は大物なんだと思った。

(Prime Video)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

土井裕泰監督『花束みたいな恋をした』

2021-02-23 00:14:22 | 映画を見てきた

2021/2/22

・若い男女二人が、出会って仲良くなって付き合って一緒に住んでから別れる話。

・愛聴するラジオ番組アフター6ジャンクション(アトロク)が最近この映画の話題ばっかりだったので、圧に屈して見に行く。

・思っていたより派手な展開はなく、淡々と関係性の経年変化を描いている感じ。ストイック。

・映画『6年愛』の日本版という感じ。

・人生の中の一部をじっくり使って、二人がそれぞれに夢や恋との折り合いをつけていく。

・俯瞰で見ればごくありふれた事象を、この二人にしかない道筋で進んでいく感じ。丁寧。

・最初、シンクロ率の高い二人が、モノローグばかりなので、小説読んでいるみたいだった。

・ムギくんは、人当りがよくて、イラストも描けて、映画や小説に詳しいし、人に出せるような料理もできる。いざとなれば社会の歯車にだってなれる。見た目もちゃんとしている。

・自分と重なるところが何もなくて、どうしても卑屈な気持ちになってしまう。

・ただ、二人ともタマフルやアトロクは聴いてそう。

・告白するところ、見ている人も、ちゃんと「さっきまでは言えないけど、今なら言える」と思えるシチュエーションが妥協せず作れていた。

・「同じものを見ているようで、まったく別の世界に生きている」という感じが繰り返し出てくる。イヤホン、本の扱い、先輩の死。

・これくらいしつこくやらないと、お客さんには伝わらないんだなと学ぶ。

・深刻なケンカのあとに、お互い平静を装って言葉を交わすところが生々しい。

・男女の付き合いで「別れる」と「結婚する」は対極にあるようだけど、実際には紙一重ということもわかる。

・子供がいるいない、経済的なこと、暴言の塩梅、ほんの少しのさじ加減で、天秤はどちらにも振れる。

・終わりよければすべてよしとは言うけれど、終わりがよくなくても、これだけ素敵な恋愛体験ができたんなら、残念なことは何もない。

・この体験を物に例えるなら、確かに花束だった。

・これで心置きなくアトロクが聴ける。よかった。

(札幌シネマフロンティア 2/21 20:40)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大塚明夫『声優魂』

2021-02-21 20:02:00 | 読書感想文




2021/2/21

声優の大塚明夫さんが筆舌を尽くして「声優だけはやめておけ」と主張する本。

役者でもスポーツ選手でも、プロになるのはごく限られた人々で、何も声優に限った話ではないのではないかと思いながら読む。

声優の場合、そういう他のジャンルと比べても需要と供給のバランスがおかしいという。

たしかに、お金の問題だけじゃなくて、求められる場が少ないのに、専門学校まであって毎年大量の志望者が輩出される。

アマチュアの役者や草野球を楽しむ人たちはいても、アマチュアの声優なんて聞いたことがない。活躍できる場がとにかく少ない。

たしかに売れてる声優さんが、たまにラジオなんかで演技論を語ってるのを聞くと、若いのに妙に精度が高くて驚くことがある。

そういう頭の回転が超早い人以外は全員淘汰されているんだと思うと納得できる。

恵まれた環境と才能、技術、自身の生き方への自負に溢れていて、読者に媚びたツンデレなんかでお茶を濁したりせず、最後まで言いたいことを言い切った本だった。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

座・れら『空の村号』

2021-02-20 23:38:54 | 演劇を見てきた

2021/2/19

・原発事故の近隣の村。住民たちがバラバラになっていくなか、小学五年生の空が「映画」を撮ろうとする話。

・空の役は町田誠也さん。実年齢からは遠く離れた少年役を、小学五年生の未熟さを逸脱することなく、とにかく明るく演じる。

・町田さんの出演作は何度か見ているけど、ここまで作品全体の軸になる役は珍しいかも。モノローグも多い。

・厳しい状況でも、少年の目線なら明るく描ける。映画の『ジョジョ・ラビット』を連想する。

・あと、シリア空爆のドキュメンタリー映画というと、たまたま、難民映画祭で見た『目を閉じれば、いつもそこに』を思い出す。

・監督の藤井沙織さんも女性なので本作のモデルかと思ったりもしたけど、必ずしも女性が演じなくてもよい役かも。山木真綾さんの最初のモノローグよかった。

・日本とシリアくらい離れていても、故郷を離れざるを得ない人々という点で地続きの問題とも言える。

・ただ、戦争はもちろん、津波や感染症と比べても、放射能の危険性は実感しにくい。今のコロナ禍と重ねる見方もあるけど、別次元の難しさという感じがする。

・演出の戸塚直人さんがあいさつ文で触れていたけど、現実に起きた悲劇に対して、「当事者か否か」で線引きするのはあまり有効ではないと思う。

・結局、当事者かどうかはグラデーションだから、線引きしようとするとどこまでも分裂してしまう。

・当事者か否かの二項対立ではなく、人の数だけ立場があって、座標のどのへんにいるかのほうが考えやすい。

・最終的には当事者かどうかではなく、題材に対して誠実かどうかが問われる。

・自分自身も肝に銘じておきたい。

・当事者かどうか線を引く引かないの話は、いろんな分野で応用が利きそうで、何か考えるときの補助線にできる話だった。

・あと、車椅子の役者さんがいると、作品上の意味を考えがちだけど、作品に馴染んでいれば車椅子でも車椅子でなくても大きな問題はないことがわかった。勉強になる。

・ちなみに、座・れらの発行の演劇誌「風」に、福島県から避難された方のお話が載っていて読み応えあった。こういうお話は時間が経つほど得難くなっていくので、文章に残すことはとても重要だと思う。

(2021年2月18日19:15の回)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジョーダン・ルービン監督『ゾンビーバー』(2015年)

2021-02-07 00:43:11 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/2/6

湖畔でキャンプ中の若者たちが、突然変異したビーバーの群れに襲われる話。

高尚な要素など何一つない、ある意味で志の高いB級映画。

女子三人は、特に物語上の必然性はなく、顔もスタイルも整っているし、裸にもなる。

ホラーにありがちな肉体欠損シーンやドッキリもあって、ちゃんとサービスしてくれている。低い。

ただ、動物パニックものでビーバーに着目したのは、ちょっと感心してしまう。

そこそこ頭がよくて、いかにもかみつかれたら嫌そうな門歯、木造建物をもろともしない突破力、なにより自動車での脱出を阻むダムの建築。

人間を出し抜く悪知恵の説得力が増す。

まさにゾンビになるために存在するかのような動物と言えるような、そうでもないような。

ビジュアルがぬいぐるみにしかにしか見えないのは、大した問題ではない。

ホラーのなかでも相当甘口なほうだけど、押さえているところは押さえて短くまとめる、手慣れた出来だった。

(Prime Video)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レプラカン歌劇団「レプラカンSAKURA 秋麗(代々木能舞台動画配信公演)」

2021-02-05 22:43:52 | 観劇三昧

感激三昧:レプラカン歌劇団「レプラカンSAKURA 秋麗(代々木能舞台動画配信公演)」

2021/2/5

代々木能舞台での日本舞踊。

レプラカン歌劇団の日本舞踊を中心にしたチームがレプラカンSAKURAとのこと。

なのでHPを見ると、思いのほか洋風だったりする。

見慣れない能舞台の主張が強い。

陽光射す能舞台できらびやかな和装の人たちが、現代の曲で踊っている。伝統芸能らしからぬ爽やかさ。明るい。

美里はる香さんの着物のピンクとグリーンの組み合わせがかわいい。

衣装的に裾をひきずるのはやりにくいのかなと思っていたけど、よくよく見ると、捌き方で動きを大きく見せる効果があるよう。役割はある。

二人一組で同じ動きをしていても、必ずしもシンクロする感じではない。別の鑑賞ポイントがありそう。

ラピュタだったりパプリカだったり、選曲でもサービスしてくれるので、完全な門外漢でも置いて行かれず、最後まで興味深く見られた。

 

詳細(観劇三昧HP)

■ 劇団名 レプラカン歌劇団

■キャスト 
 夏輝レオン
 ゆふきれい
 美里はる香

■スタッフ
映像編集:熊山寿成
撮影:熊山寿成・山田光太郎
撮影協力:有限会社さくらこユニバーサル
振付:夕浪千鳥(夕浪流家元)・ゆふきれい
会場提供:代々木能舞台
企画:レプラカン

■あらすじ

日本国内外で活動しているレプラカン歌劇団がインバウンドチームとして2年前に結成した、レプラカンSAKURAの動画配信公演です。1年365日のうち2日間のお休み以外毎日、銀座・新宿の2店舗で日本舞踊インバウンドショーを展開しているチーム。新型コロナウイルスの流行により海外のお客様がストップした事により2020年2月よりインバウンドショーもストップしている中、動画配信にチャレンジいたしました。

有形文化財である美しい代々木能舞台もお楽しみくださいませ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする