遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

宝塚歌劇星組『ザ・ジェントル・ライアー ~英国的、紳士と淑女のゲーム~』

2022-02-23 20:30:13 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2022/2/23

・19世紀末のロンドン。人気者のわりにちょっと頼りない紳士、アーサー・ボーリング卿が親友夫婦をスキャンダルの危機から救おうとする話。

・アーカイブなしのライブ配信。宝塚歌劇の作品は『風と共に去りぬ』から2本目。

・最初にたくさん名前つきの登場人物が出てきてちょっと不安になったものの、主要5人の登場人物の味付けがしっかりしているので最後まで混乱しなかった。

・主役のボーリング卿を演じているのは瀬尾ゆりあさん。初見だけど、存在感が際立っている。

・振り向き方や足の開き方、ちょっとした仕草が男性的。何をもって男性的なのか言語化しきれない。色んなノウハウの蓄積がありそう。どこかにまとまってたりしないだろうか。

・破滅するかしないかの人生の瀬戸際が描かれているわりに、愛と正義とちょっとした賭けの結果で話を進めているので、必要以上に深刻にならない。軽快。

・ボーリング卿が最初に親友の妻を説得しようとするところ。目的は明確でも、手段があまりにぼんやりしていて笑ってしまう。

・英国紳士らしいカッコよさと、ところどころで出てくる頼りなさ、不安定さが「完璧な夫」である親友と対照的でうまくバランスが取れていた。

・「切り札」という翻訳物特有の味わい深い単語。

・チーブリーフ夫人。悪役だけど、引き際、去り際が潔くて嫌いになれない。演じたのは紫りらさん。

・ミュージカルだから歌とダンスで見せるのはもちろんだけど、表情でも結構大きな芝居をしていて、役者でもないのにちょっと顔真似したくなる。

・小桜ほのかさん演じるガートルート夫人も、歌声が印象的で、今後宝塚を見るときには注目したい人になった。

・コメディだからというのもあるけど、歌やダンスも含めて、もう少し見たいというくらいで次の展開になる。何回も観たくなる人の気持ちがわかる。

・最後のほう、もうひと混乱あってもよかったかなと思ったり、メイベル嬢はボーリング卿にとっても、脚本家にとっても都合よすぎるような気もするけど、そのへんのフォローしようとすると、本作の魅力である軽快さが損なわれるのかもしれない。

・宝塚HP見てみたら主要登場人物の配役表があった。そこから広がる興味もあるので、こういうことは他劇団でもどんどん取り入れたらいいと思う。

(U-NEXT)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フランク・キャプラ監督『或る夜の出来事』(1934年)

2022-02-18 12:06:18 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2022/2/16

・金持ちの令嬢エリーが、特ダネを狙う記者と共に婚約者のいるニューヨークに向かう話。

・婚約者と言っても、相手は遊び人と評判の男で、父親は結婚に反対しているという状況。

・令嬢なのに父親からの逃げ方が豪快。

・世間知らずな金持ちの令嬢と、偶然同行することになった世間擦れした記者の組み合わせ。

・よくある話(というか本作がオリジナルの可能性もある)だけど、長距離バスや自家用車、ヒッチハイク、モーテル、当時の風俗そのものが面白いので、1934年の白黒映画でも古臭い感じはしない。

・彼女が少しずつ成長していくところや、お互いに罵り合う演技をすることで信頼関係が深まっていくところ。似たような状況は他作品にもたくさんあるけど、やはり楽しい。

・顔バレおじさんを脅すところもスマート。

・『ローマの休日』に似ている(というか、こっちが先)けど、早いうちにお互いが自分の身分と目的を明かしているので、二人の細かい駆け引きも楽しめる。

・1930年代の長距離バスがいい。思ったより現代風というか、昭和末期くらいのバスと雰囲気があんまり変わらないような。楽団にはびっくりしたけど。

・古畑の鈴木保奈美の回も思い出す。当然三谷さんも見てるだろうから、発想の起点のひとつくらいにはなってるのかな。

・ジェリコの壁って、クリス・ジェリコのオリジナルの技名だと思っていた。旧約聖書までさかのぼるのか。角笛も出てくる。

・いい感じの二人に追っ手を出す父親は完全に悪役だけど、自分の年齢だとこちらにも感情移入してしまう。

・というか、話が進むにつれて父親のキャラクターがどんどん成長していく。

・嫌いだった婚約者と和解するところ、記者との経費精算のくだり、そのときの表情、娘の気持ちを見抜くところ、あれだけ大きな結婚式を全部ひっくり返してもかまわないという度胸、それを金で解決しようとする豪快さ、ダテに富豪をやっていない。

・ただ、前半のものわかりの悪さと後半の神がかった判断力のギャップがちょっと埋めにくい。

・一方で婚約者ウエストリーのいてもいなくてもいいような薄っぺらな感じも味わい深い。

・話の幹の部分は教科書的に参考になるし、枝やら花やらの部分もしっかりしてて楽しかった。納得。

’(U-NEXT)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ティモ・ヴオレンソラ監督『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』(2021年)

2022-02-12 00:01:50 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

『アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲』本予告

2022/2/11

地球を離れ、月の裏側で生活することになった人々のリーダー的な人が、仲間とともに地球の内側にあるすごいエネルギーを持つ物質を取りに行く話。

前作は、月の裏側に逃げ込んだナチスを退治する話だったと思うけど、よく覚えていない。

今回は敵側にヒトラーはもちろん、ジョブズやらサッチャーやらいるのが面白そうだったんだけど、人選も扱いも色々おおざっぱで困ってしまう。

そりゃジョブズやサッチャーも、悪いことをしているだろうけど、ヒトラーと並べていいんだろうか。

ジョブスの宗教化がちょっとおもしろい。というか、アップルユーザーへの悪意が際立っている。

石原慎太郎死去の報道で色んな人が色んなことを言っているけど、これを見ているとどうでもよくなってくる。

登場人物紹介を兼ねた序盤の危機、地球内部の冒険、最後の決戦とほぼ30分ずつに三分割されていて構成がきれいだった。

(PrimeVideo)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

うさぎストライプ『空想科学II』

2022-02-11 20:28:28 | 観劇三昧

観劇三昧:うさぎストライプ『空想科学II』

2022/2/10

ある女性が、行きずりの男との恋愛を全うする話。

男はラブホテルで一夜を過ごしたあと、早々に頭を斧でカチ割られて死んでいる。

「Ⅱ」ではないほうの説明にはカフカとあったけど、ずいぶん遠いところに来た感じ。

男の悪そうに顔をしかめているところや、タバコふかしながら語っているところ、だらしなくベッドに体をあずけている様子、頭に斧が刺さったままなのになんだか色っぽい。演者は斉藤マッチュさん。

二人が親しくなっていく様子と、彼女の遺族たちが遺品を整理している場面がシームレスにつながっている。

一度、時間と空間をバラしてポップに再構成している。飛躍部分も演出の個性として楽しい。

二人は最初から破綻している関係性で、そこには彼女の妄想らしきものも多分に入っているようだけど、本人にとって事実であれば、その人生は勝ちだと思う。

あと、小さいヤンキー、抜けのいい声と仕草が好き。

 

《詳細(観劇三昧HP)》

■公演時期 2018/11/29

■キャスト
斉藤マッチュ(20歳の国)
江花明里(劇団天丼/革命アイドル暴走ちゃん)
高橋義和(FUKAIPRODUCE羽衣)
芝博文
松田文香
松村珠子
木村俊太朗
野村美優
亀山浩史(うさぎストライプ)
小瀧万梨子(うさぎストライプ・青年団)
金澤昭(うさぎストライプ)

■スタッフ
舞台監督:杉山小夜
舞台美術:新海雄大
照明:黒太剛亮(黒猿)
制作:金澤昭(うさぎストライプ)
宣伝美術:西泰宏(うさぎストライプ)
芸術総監督:平田オリザ
制作協力:木元太郎(アゴラ企画)
技術協力:鈴木健介(アゴラ企画)
企画制作:うさぎストライプ・(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)・独立行政法人日本芸術文化振興 
協力:青年団、20歳の国、劇団天丼、革命アイドル暴走ちゃん、FUKAIPRODUCE羽衣、マッシュマニア、スターダス・21、株式会社 ケイセブン中村屋、有限会社レトル、黒猿

■あらすじ

ラブホテルの一室で目を覚ました男。
頭に斧が刺さっている彼は、どうやら死んでいるらしい。
彼と一夜を共にしたのは、誰からも愛されなかった、名も無き女だった。

数十年後。
叔母の遺品を整理していたある姉妹は、孤独に死んでいったはずの叔母が一人の男と添い遂げたことを知る。
その男はとっくに死んでいたはずなのに、死後も叔母と過ごしていたらしい。
そして姉の夫である葬儀屋は、毎晩見知らぬ男の頭に斧を振り下ろす悪夢を見る。

生と死を共に渡り歩いた男女の人生に巻き込まれていく、海辺の街の人々の物語。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする