2022/3/24
・神奈川県で行われたリーディング公演をアーカイブ視聴。
・福井県の高校の演劇部員二人が、次作の読み合わせをしながら地元の過去現在と遠い将来のことを考える話。
・高校演劇の作品を大人たちが演じている。
・登場人物は二人。ト書き担当も二人。
・出演者全員の演技の引き出しが多くて華やか。「ちょいちょい」の言い方からおもしろい。
・リーディングにおけるト書き担当者の重要性もわかる。絵と額縁であわせて作品。
・基本的に高校生にしか表現できないことを見せるタイプの作品だと思うけど、本気を出した大人が演じると、それはそれで別の凄みがある。いい意味で大人げがなかった。
・戯曲自体もやはりよくできている。八方ふさがりの原発事業、メタ的な表現や自己反省、ジブリ作品の取り込み方、資料や取材の内容も反映されている。労作。
・「世界を変えてみせる」という若者らしいポジティブなセリフと安易に和解しない二人の関係性が好み。
・最初に正義を通して会社をクビになった親父をバカだと言っておきながら、こういう作品を作るところも覚悟が決まっている。
・ただ、今現在だって、こういう残念な世の中でも、最悪の一歩手前で踏んばろうとする大人たちはいるはず。作中で腐していたデモもそのひとつ。
・勉強は無意味論もありがちで、無自覚な向き不向きは絶対あるから、学校の勉強くらい一通りやっておいたほうがいいし、ダメだったらダメだったで意味はある。
・元の戯曲は福井県の演劇祭で上演されたものの、本作のみ、ケーブルテレビの放送なし、映像は残さない、脚本をすべて回収という気の毒な扱いを受ける(のちに一部緩和)。→詳細
・この処置によって、かえって本演目が全国の注目を集めてしまう。いったい主催者は何をやっているんだろう。
・きっと高校生が上演した作品のほうも、責任ある大人たちが判断を誤る程度に、芯をとらえていたんだと思う。
・今回の騒動は、責任や原因を追求するのも大事だけど、あんまり部外者が騒ぎすぎると当事者である生徒不在で話が進んでしまう。
・それでもこういう形なら、十分とは言えなくても、大人の都合でイヤな思いをした生徒たちに対して、当事者ならぬ別の大人たちでもフォローできるというか、少しでもできていたらいいなと願う。
(2022/3/21 18:30の回)
福井の高校演劇『明日のハナコ』東京・神奈川公演→公演詳細はこちら