遠藤雷太のうろうろブログ
何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。




2022/3/28

・殺し屋のちさととまひとが、高校を卒業して表社会の仕事になじもうとしつつも、うまくいかず、ヤクザと殺し合いになってしまう話。

・最初のアクションシーンから激しい。小さなスーパーの店内。狭いなか、小柄な女の子まひろと男たちの戦闘。

・一回では致命傷にならない小さなナイフを武器にすることでかえって動きが派手になっている。

・最初からそうなので、誰が見ても「倫理観は一回横において楽しんでね」ということがわかる。親切。

・銃器と殺人が日常に馴染みすぎている。リアルではないんだろうけど、見ている人が深刻な気持ちになっても困るというバランス感覚なんだと思う。

・まひろ役は伊澤彩織さん。現役スタントウーマンとのことで、パワーは感じさせないものの、要所を抑えた小さく緻密な動きで説得力がある。

・演技なのか配役からの設定なのか(多分両方)、会話がとても苦手そうなところにも説得力がある。

・もっとアクション多いのかと思ったら、結構殺し屋女子二人の奇妙な共同生活に多くの時間を割いている。

・警察より税務署のほうが恐ろしい。

・マンゴーの場所もまともに説明できない先輩は殺されて当然(フィクションなら)。客はダメ。

・最初は二人ともぐうたらしていて、とても社会になじめそうにない様子だったのに、しばらくすると差が出てくる。関係性もぎくしゃくしてくる。

・ユーモアにいちいち絡む極道が乱暴すぎる。堅物キャラなのか、精神不安定な人なのか、よくわからない。

・あそこに給仕にいく姫子先輩に強く共感する接客業経験者はたぶん多い。

・敵役となるひまり。名前がまひろに似ていて見た目がちさとに似ていて紛らわしい。わざとなんだろうか。

・意外と正々堂々と宣戦布告してくるヤクザ。

・「一回だけだよ」までのくだりがかわいい。

・最初に激しいアクションを見せられているので、次はまだかと散々焦らされつつ、クライマックスを迎える。

・戦闘能力が互角か分が悪いくらいで、しかも体格差のある相手にどうやって勝つかという組み立て方がうまい。

・感情や雰囲気でごまかしそうなところを頭を使って勝利をものにしている。

・明らかに続編ありそうな終わり方。また見たい。

(U-NEXT)



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2022/3/24

・神奈川県で行われたリーディング公演をアーカイブ視聴。

・福井県の高校の演劇部員二人が、次作の読み合わせをしながら地元の過去現在と遠い将来のことを考える話。

・高校演劇の作品を大人たちが演じている。

・登場人物は二人。ト書き担当も二人。

・出演者全員の演技の引き出しが多くて華やか。「ちょいちょい」の言い方からおもしろい。

・リーディングにおけるト書き担当者の重要性もわかる。絵と額縁であわせて作品。

・基本的に高校生にしか表現できないことを見せるタイプの作品だと思うけど、本気を出した大人が演じると、それはそれで別の凄みがある。いい意味で大人げがなかった。

・戯曲自体もやはりよくできている。八方ふさがりの原発事業、メタ的な表現や自己反省、ジブリ作品の取り込み方、資料や取材の内容も反映されている。労作。

・「世界を変えてみせる」という若者らしいポジティブなセリフと安易に和解しない二人の関係性が好み。

・最初に正義を通して会社をクビになった親父をバカだと言っておきながら、こういう作品を作るところも覚悟が決まっている。

・ただ、今現在だって、こういう残念な世の中でも、最悪の一歩手前で踏んばろうとする大人たちはいるはず。作中で腐していたデモもそのひとつ。

・勉強は無意味論もありがちで、無自覚な向き不向きは絶対あるから、学校の勉強くらい一通りやっておいたほうがいいし、ダメだったらダメだったで意味はある。

・元の戯曲は福井県の演劇祭で上演されたものの、本作のみ、ケーブルテレビの放送なし、映像は残さない、脚本をすべて回収という気の毒な扱いを受ける(のちに一部緩和)。→詳細

・この処置によって、かえって本演目が全国の注目を集めてしまう。いったい主催者は何をやっているんだろう。

・きっと高校生が上演した作品のほうも、責任ある大人たちが判断を誤る程度に、芯をとらえていたんだと思う。

・今回の騒動は、責任や原因を追求するのも大事だけど、あんまり部外者が騒ぎすぎると当事者である生徒不在で話が進んでしまう。

・それでもこういう形なら、十分とは言えなくても、大人の都合でイヤな思いをした生徒たちに対して、当事者ならぬ別の大人たちでもフォローできるというか、少しでもできていたらいいなと願う。

(2022/3/21 18:30の回)

福井の高校演劇『明日のハナコ』東京・神奈川公演→公演詳細はこちら



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2022/3/4

・開発が進む1950年代のマンハッタン。貧困層の若者の対立によって男女の恋が悲劇的に終わる話。

・結構忘れているものの、1961年の映画も見ているし、ロミジュリだし、大体の展開を知っている状態で見る。

・理屈や話し合いではなく、暴力と体面が優先されて物事が決まっていく危うさ。

・愚かと言えば愚かなんだけど、彼らが生きてきて、考え方を修正する機会なんか与えられなかったんだろうなと悲しい気持ちになる。

・若者たちがどんなにイキリ散らかしたところで、明るい未来が全然見えてこない。

・なので、一番盛り上がる決戦前のトゥナイトも、めちゃめちゃかっこいいのに、自分の感情とうまく噛み合わず。

・ちょっと白々しいとまで思ってしまう。

・みんなどんな感情でこのシーン見てるんだろう。

・そんななかでも女性陣は結構たくましい。職場でもわりと仲良くやっている。

・というか、男性陣が全然働いていない。トニーも仕事量そんなに多くなさそう。

・彼らが家族と飯食ったり、お小遣い貰ったり、バイトしている様子があんまり想像できない。どうしてるんだろう。

・序盤からやたらと存在感がせり出している売店の店主。1961年版ではアニータ役だったそう。

・そんな調子で見ていても、中盤のマンボはものすごい迫力で圧倒される。あとから1961年版を見直してみたけど、人数も密度もスピードも全然違う。

・サブスクに出てきたらそこだけ何度も観たい。

・優劣をつけたいならそこで決めればいいのに、どうしてナイフや拳銃が必要になってしまうのか。

・トニーがあんまり悪そうに見えない。作中、説明はあるのでどういう存在なのかはわかるんだけど、かつて悪かった片鱗みたいなものは感じられず。

・『ベイビードライバー』を見てたら違ったのかな。

・ベルナルドのいかにもボクサー然とした体つき。

・拳銃まで用意しているのに、死人が出てから愕然としてしまう彼らの想像力の欠如ぶりも悲しい。

・時節柄、抑止力のための武力ってホント信用ならないなと思ってしまう。

・表現上のフィクション感は強いのに、とても生々しい肌触りの作品だった。

(サツゲキ)



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