eternalturquoiseblue

日本人として日々の暮らしの中で思うこと、知りたかったこと

英国のEU離脱の行方

2019-12-13 14:30:54 | ヨーロッパ
3年前の2016年の6月23日に当時のキャメロン首相のときに英国では「国民投票」でBrexit(ブレグジット=英国がEUを離脱すること) の可否が諮られて、離脱が52%の賛成を得て可決していたはずで、EU残留を強く呼びかけていたキャメロン首相ほこの結果を受けて7月に退陣したのだった。


■英国の迷走
あれから3年半、本当に何をもたもたやっていたのか、恐らくEU離脱の英国側のデメリットや、「EUから離脱した後の予算の穴埋めとして、少なくとも約200億ユーロ(約2兆6700億円) を支払うつもりだった」英国政府に対し、EU側が「2017年10月中旬までに未払いの分担金の清算を含め600億ユーロの支払いを求める」など、「離脱費用の金額の開き」に代表される双方の認識の違いも原因のひとつだったのではないだろうかと、ぼんやり思っていた。


その後に登場した保守党のテリーザ・メイ首相はマーガレット・サッチャーさん(首相在任期間1979年5月~1990年11月)以来久々の女性首相で、元々、(消極的な)親EU派だったそうなのだが、今年の1月15日に下院(定数650)でブレクジットについて英政府がEUとまとめた離脱条件の協定を下院の承認採決で432対202の大差で否決。


2年以上にわたりブレグジット交渉を行って協定を取りまとめてきたメイ首相にとり大きな敗北となり、6月に退任となった。


彼女は80年代に英国経済を立て直したサッチャーのような「鉄の女」ではなく、分裂する与党・保守党をまとめるだけの政治手腕を持たず、EU離脱政策を巡る反論にも全く対応しきれずに「半べそ状態」となってしまった。


結局、メイ首相の後を受け、2016年の国民投票のときにブレグジットの旗振り役だったボリス・ジョンソン氏が7月に保守党党首に選出されて英国首相に就任。


■「英国のトランプ」ジョンソン首相
ジョンソン首相は政治家としてロンドン市長(2008~16年)や外相(16~18年)を歴任し、イスラム教徒や移民に差別的な発言が批判されるなど失言癖でも知られるそうで、その一方、歯に衣着せぬ言動や、金髪で大柄な体形などから「英国のトランプ」と称され、実際に親交があるトランプ米大統領は23日の演説で「(ジョンソン首相は)いい男で賢い。英国のトランプと呼ばれている」とジョークを飛ばしながら持ち上げた。


ジョンソン首相本人も常にジョークで聴衆の笑いを狙う、コメディアンのような個性の人物だそうで、国民的人気があり、党首選のとき訴えていた「合意があってもなくても10月末までに離脱する」ことは実現できず批判にさらされているかと思いきや、今月12日投票の下院の総選挙には保守党が圧勝。


英国下院(定数650)の総選挙は13日開票の結果、解散前に少数与党だった保守党はこれまでに66増の364議席を獲得し、対する労働党は203議席だった。


■「移行期間」の延長交渉もあり得る?
今後は10月にEUと合意した国際条約「離脱協定案」の議会承認に向けた手続きに着手し、2020年1月末までにEUを離脱する運びとなったそうで、離脱後は英国とEUは離脱前の状態が維持される「移行期間」に入る。


今回保守党が下院の過半数を獲得したことで、英EU双方が望めば移行期間は最大2年間延長できるが、ブレグジット党などへ票が流れることを阻止するため、保守党はマニフェスト(政権公約)で延長はしないと明言しているが、保守党の議席が定数の半数を大きく上回ったことで、ジョンソン首相は公約を撤回して「移行期間延長を議会に承認させることも不可能ではない」らしい。


移行期間の延長は、2020年6月末までに英国・EUの合同委員会で採択する必要があるのだそうだ。


■自由貿易協定の行方が鍵か
2020年12月末の「移行期間」終了までに、EUとの間でFTA(自由貿易協定)の締結などを目指す意向と発表。


米国との間では9月にロイターが「2020年7月までに合意する政治的意思が(トランプ大統領とジョンソン首相の)双方にあるという意思を確認し合った」と報道。


7月に就任したトラス英国際貿易相と世耕弘成経済産業相とが8月20日、電話会談などでトラス氏はEU離脱後、速やかに日英2国間の自由貿易協定(FTA)を結ぶ考えや環太平洋連携協定(TPP)参加への関心も示したと報じられていた。


■日系企業への影響
英国には日系企業が5485拠点をもち、産業別では運輸業の1408拠点(構成比25.6%)が最多、次いで小売業の1207拠点(同22.0%)、サービス業の1010拠点(同18.4%)、製造業の753拠点(同13.7%)の順。今後はこれまでEU域内取引で発生しなかった関税が発生し、通関手続きに混乱が生じる可能性も指摘されている。


例えば日系企業が532拠点を構える金融・保険業は、「単一パスポート」の適用失効による事業継続リスクの回避に向けた動きが活発化。一部の証券会社や金融機関はドイツなど英国以外のEU加盟国で証券業の免許を取得しているのだそうだ。


イギリスはEUへの加盟(1972年1月より)によって、大陸欧州という「単一市場」へのアクセス権を有し、それがこれまでの英国経済の成長を支えてきたとされる。


「 EUからの離脱により「ロンドンという世界有数の金融都市、シティーの相対的な地盤沈下は避けられそうにない」(東京商工リサーチ)


「EU離脱でポンドやドルの調達コストが上昇した場合、進出企業の収益にも影響が予想される」


「大手メーカーや金融機関と取引する日系企業の事業展開にも影響を及ぼす可能性があり」特に、「日系メーカーの現地拠点に部材納入を目的で英国に進出した企業は、生産計画の見直しが現実になると進出メリットが喪失し、拠点での業績が悪化することも危惧される」


「これが中小企業だとなおさら深刻で、日本国内より海外での売上高比率が高いケースでは、事業戦略の根本的な見直しも必要になる」(同)


引用: 









下の写真のジョンソン首相は何故ランドセルをしょっているのだろう・・
答え:実は今や海外のセレブの間でランドセルがファッションアイテムとして流行しているそうなのです。この方はおしゃれさんということですね。


それと、ジョンソン首相って「キン肉マン」に出てくる
テリーマンに似ていると思いませんか。



最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
似ています (泉城)
2019-12-14 01:05:20
テリーマンに似ています。
たぶんプロレスのテリー・ファンクから採っているのでしょう。
EU離脱は確実ですが、その後がたいへんですね。各国との様々な取り決めの協議がありますし、とりわけ不利になりそうなウェールズ、ブリテン、スコットランドとの協議が難しそうです。
返信する
こんばんは (kamakuraboy)
2019-12-14 02:22:19
コメントをありがとうございます。72年以来48年間もEUの中にいた英国のブレグジットはこれからがら他国との協定を結んで行く作業が大変なようですね。特にご指摘のようにそれぞれの「国」によって条件や立場が異なるので、更に難しい問題があるようですね。北アイルランドとアイルランドとの国境問題、為替相場のポンド下落など直近の問題も。

テリーファンクというレスラーは名前を聞いたことがあります。そこからとって「テリーマン」ということですね。
返信する
西欧の大きな問題 (井頭山人)
2019-12-14 08:58:42
お早うございます。EECからEC、そしてEUへと変化変貌して来た訳ですが、世界が一色に統一されるのを好まない文化的独自性を持つ文明もある。特に島国はその傾向が強いと思う。我々の文化も、その様な背景と範疇に於いては英国と同様です。UKはグレートブリテン&ノーザンアイランドという連合王国で元々は王を戴く小国でしたし、現在でも国内問題は多々あるようです。この辺は泉城さんの仰る古代日本の多元文化と幾分かは似ているようです。1094年?のノルマン人の侵入で当時の王は敗北してフランス人がイングランド王でした。前にも話題になりましたが、現在の英語は古代のケルト語から古ゲルマン語を経て、その時以来フランス語とのハイブリットになった。その後、永いあいだイギリスは大陸とは意を異にして来た。近くは旧教対新教の30年戦争で大陸は完全に疲弊して宗教で争う事の無意味さを莫大な死者と荒廃によって悟った訳です。ウェストファリア条約を結び基本的にはもう宗教的狂信で相争う事はやめた。EUは現在の時点でドイツの覇権に近い。国民はもう、大陸の提案に従うのは懲り懲りだという事なのでしょう。移民も多いが俺たちは俺たちでやって行くんだ。というのが、心の一番底にあるのだと思います。
この先、EUは現段階からより緊密な共同体として発展してゆく可能性はあるのでしょうか?若しも発展してゆくとしたら、先ず解決しなければならない課題は何かという事です。現状ではEU内の国家の規模・産業・経済・科学技術・ect、があきらかに差が有る。言語・宗教・国柄、この差を埋めることが出来るのでしょうか。弱小国は体の好い植民地のようでは戦争をしない征服でも困る訳です。緊密な共同体として発展して行く為には越えなければならない問題は数多いと感じます。
返信する
こんばんは (kamakuraboy)
2019-12-14 22:17:31
井頭山人さん、コメントをありがとうございます。仰るように現在の英国と多元的古代日本とは幾分にているかもしれませんね。日本は現在では「国々」の集合体ではないけれど、英国は今でも「国々」の集合体ですね。

島国であるが故の独自の発展を遂げて、海洋国家としての性格が大陸国家群(日本にとっては他のアジア諸国、英国にとっての他のEU諸国ということですね)とはやはり一線を画したいというところが「心の一番底にある」のだというところを日本人が英国の決断にどこかで共感するところですね。ただ、現在の「ワンワールド」という我々とは対極にある価値観に飲み込まれずに生き残りをかけて戦っていくためには「ルール」に基づく相互互恵関係を築けるかどうかなのでしょう。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。