20年以上も前の映画ですが、「Cube」は1997年のカナダのヴィンチェンゾ・ナタリという監督の作品で、低予算1セットものでつくられたものですが「シュールな状況での脱出もの」といったジャンルのパイオニアとなった作品。
7人の男女が立方体(Cube)の中に閉じ込められている状況で目覚め、その部屋から次の立方体の部屋に移動するときに、6方向の出口の内トラップが仕掛けてない出口が2つずつあり、それがどれなのかを見抜くために、出口の枠のところにある3桁の3つの数字の謎をとかなければならない。
Cubeは27個あり、一定時間が過ぎると個々のCubeである部屋がそれぞれルービックキューブのように上下あるいは左右へと動いており、脱出出口へと開く橋頭堡のCubeが1つだけあって、そこへ時間内に移動しなければ助からないという設定。
始めの方でまず2人がトラップにっよってあっさりと死に、残る5人が繰り広げる葛藤が終始スリリングな展開で、引き込まれて一気に観終えてしまえる作品です。
ところで、このCube自体誰がどんな意図で彼らを試しているのか、何故Cubeの中にこの7人が閉じ込められていたのかという謎が最初から最後まで終始不可解なまま。
ところで、このCube自体誰がどんな意図で彼らを試しているのか、何故Cubeの中にこの7人が閉じ込められていたのかという謎が最初から最後まで終始不可解なまま。
5人は、警官、医師、数学科の学生、設計技師、そして数字に驚異的な直感的能力をもっている「サバン症候群」の青年といった構成で、この5人にはそれぞれに役割があることに気づくのですが、結局はその中に不穏分子がいて、恐怖の展開になってしまう、というストーリー。
時間が経てば「動く部屋」というのがまさに世界そのものを表しているかのようでもあり、結局最後に助かったのはどのような人物だったのか、ということも含めて、この映画から伝わってくる「不条理感」と、この7人をずっと外から観察している人々が誰なのかという「不気味さ」など、現実世界の実相への皮肉に満ちていて、観終わたときの後味は決して良くはありません。
しょっぱなから金城宗幸の漫画「神様の言うとおり」のようなちょっとグロな場面などがありますので、ご覧になる方はご注意ください。
「Cube (カナダ1997年)」ヴィンチェンゾ・ナタリ監督
結末は覚えていませんので、たぶん後味が良くなかったのだと思います。Cubeの法則性に活路を見出したのでしょうか。
異常なCubeという設定の状況下に置かれた人間の行動や知恵や葛藤について観察しどのように対応するのか試しているのではないかと思います。