当直明け、外は雪。一日を満喫するには最高の滑り出し。そそくさと上野へ向かい、上野駅中央地下通路。台東区長奨励賞を受賞した佐宗乃梨子さんの「IZANAMI」を見る。以前藝大の卒展・修了展で彼女のゾンビ造形を見て強く心揺さぶられたことがあって、今回は「IZANAMI」。イザナミもまたゾンビだし、彼女の言う通り「生と死の外側」に。左頬を伝うウジのような造形がすごい。
それから国立科学博物館でラスコー展。
もう、最高。いよいよ来月フランスにオープン予定のラスコー4に行きたくて行きたくて。かつてならバタイユを想起したところだけれど、今回は港千尋さんのこんな文章を思いながら見ていた。「イメージには人を沈黙させる力がある。すべてのイメージがそうなのではない。むしろ現代は沈黙させないためのイメージのほうが圧倒的に多い。現代人が一日中見せられているイメージはすべて意味と理解を要求するものばかりだ。その世界にどっぷりと浸かっている人間にとって、洞窟芸術の世界は理解を超える。どれほど知ろうとしても、知りえない、語りえないイメージ。わたしたちが知る何かに対応するものをもたない、意味以前の世界。それがこの世界のどこかに存在する。その奇跡を受け入れなければ、沈黙を護ることはできない。
闇の奥のそのまた奥で、かすかな灯りに照らされてその人は壁に手を置き、細かく砕いた土の粉を、勢いよく吹きつけた。闇に向かって息を吹きかけるように、誰かに向かって囁くように。
そして炎は遠ざかる。闇に残るのは滴る水の音ばかり。永い時の彼方に、それをふたたび誰かが見る時が来るかもしれない。いや来ないかもしれない。「永遠と関係をもつこと」は、このイメージとともにはじまったのだろうか」(港千尋「闇への憧れ」)
実は先日あいちトリエンナーレへ行ってきて、これはそのコンセプトブックにあった文章。なんだかいろんなことがつながりをもっていて、毎日が結構ワクワクどきどき。