毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

ブルガーコフ「巨匠とマルガリータ」

2008年06月04日 08時09分43秒 | 読書
ミハイル・ブルガーコフ「巨匠とマルガリータ」 水野忠夫訳 河出書房新社

 ラテンアメリカ文学とは違った意味でのマジックリアリズム。ロシアン・マジック、か。年代からすると旧ソ連製だが。
 決して難解な本じゃない。細部は面白くどのエピソードひとつとってもわかりにくいとこなんかない。そして、重層的なエピソードが次第に一つの意味に収斂していく。ああ、これこそ読書の快感。
 象徴されるものなんかむしろ無視していいかもしれない。まずはその魔術的な語り口を楽しもう。象徴だの意味だのは、2度目からでいい。読書している間、実に幸せな時間を体験できた。その時間のかけがえなさ。
 舞台はモスクワ。そこでおこなわれるドタバタ劇の末の奇蹟の救済物語。神なき世の救済を悪魔と愛に頼る現代のファウスト劇だ。
 ソヴィエト政府に活動を禁止され、発表するあてもなく、これだけの小説を書き続けることはどれだけの苦しさを乗り越えての作業だろう。この小説の中で巨匠の小説が「原稿は燃えない」とよみがえったように、ブルガーコフのこの小説そのものもよみがえってわれわれの前に登場した。すでに和訳が3種類ある。
 ぼくが読んだのは水野忠夫訳。池澤夏樹個人編集世界文学全集の1冊。このシリーズは顔ぶれその他も面白そうだ。訳は日本語として全然違和感がない(ロシア語なんて一つもわからないから訳の正確さとかそんなものは皆目わからないのだけれど)。すらすら読んでいく先に、巨匠の物語が復活したときに感じた鳥肌。是非みなさんにも味わって頂きたい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 6月1日 護国寺 | トップ | 先週の読書 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事