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思いやり(2)

2023-01-19 05:02:05 | 日記
時の中間の時代に、イエスは聖地のほこりっぽい道を歩いていたとき、しばしばたとえを使って話されました。

このように話されました。「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗どもが彼を襲い、その着物をはぎ取り、傷を負わせ、半殺しにしたまま、逃げ去った。

するとたまたま、ひとりの祭司がその道を下ってきたが、この人を見ると、向こう側を通って行った。

同様に、レビ人もこの場所にさしかかってきたが、彼を見ると向こう側を通って行った。

ところが、あるサマリヤ人が旅をしてこの人のところを通りかかり、彼を見て気の毒に思い、
近寄ってきてその傷にオリーブ油とぶどう酒とを注いでほうたいをしてやり、自分の家畜に乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。

翌日、デナリ2つを取り出して宿屋の主人に手渡し、『この人を見てやってください。費用がよけいにかかったら、帰りがけに、私が支払います。』と言った。

ここで救い主はわたしたちにこう尋ねておられます。

「この3人のうち、だれが強盗に襲われた人の隣人になったと思うか。」

わたしたちは当然、「その人に慈悲深い行いをした人です。」と答えます。

すると、イエスはこのように言われることでしょう。

「あなたも行って同じようにしなさい。」

深い思いやりを込めた関心について、イエスは多くの模範を示しておられます。

べテスタの池での体の不自由な人、姦淫を犯して連れて来られた女、ヤコブの井戸の女、ヤイロの娘、マリヤとマルタの兄弟ラザロ、
それぞれがエリコへの道での負傷者を表しています。彼らは助けを必要としていました。

ベテスダの池において、イエスは体の不自由な人に向かって言われました。
「起きてあなたの床を取り上げ、そして歩きなさい。」

罪を犯した女には勧告が与えられました。
「お帰りなさい。今後はもう罪を犯さないように。」

水をくみに来た女には、永遠の命に至る水がわき出る泉を与えられました。

ヤイロの死んだ娘には「タリタ、クミ。少女よ、さあ、起きなさい。」と命じられました。

墓に葬られたラザロには「出てきなさい」と呼びかけられました。

救い主は常に無限の思いやりを示されました。

イエスはこのアメリカ大陸で人々に御姿を現し、このように言われました。

「あなた方の中に病気の者がいるか。彼らをここに連れて来なさい。足の不自由な者、らい病にかかっている者、体のまひしている者、耳の聞こえない者、あるいはどんなことでも苦しんでいる者がいるか。彼らをここに連れて来なさい。癒してあげよう。わたしはあなたがたのことを哀れに思い、わたしの心は哀れみに満たされている。
・・・・・・
するとイエスは、御自分のところに連れて来られた者をことごとく癒された。」

次のような意味の深い質問をする人が い るこ とで しょう』

「こ れ らの出 来 事は世 の贖い主 に関 す るもので す 。 そのような心 に深 く刻 まれ る経験 は,わ た しのエ リコへの道 で,わ た し自身に も実際に起 こり得 るので しょうか。」

わた しは主 の言 葉 に合 わせ て 申 し上げ ます。「き て ごらんな さい。」10

いつ助 けの手 を差 し伸べ る特 権 がわたした ちに与 え られるか を知 るすべ はあ りませ ん。

エ リコへ の道 を旅 す るわた したち は,い つ だ れ を助 け る必 要 が あ るのか,ま たわた したちに助 けを求め ている疲れ た旅人 が どの人 なのか を,あ らか じめ知 らされてい るわけで はあ りませ ん。

以前 に教 会 本 部 に 寄 せ られ た1通 の手 紙 に,心 か らの感 謝 が 表 され て い ました。 差 出 人 の住 所 も氏 名 も記 され てい ませ んで した。 けれ ども消 印か らオレゴ ン州 ポー トランドで投 函 された ことが分 か りました。

「大 管 長 会事務 局御 中

わた しはさまよって いた時 代 に,ソ ルトレー ク・シ ティーで クリスチャンらしい心 のこもったもてなしを受けました。

カリフォルニ アまでバ スで旅 を していた ときに,ソ ルトレーク・シ テ ィー のターミナルで降 り立 ちました。 常用 してい た薬 が 切 れ たため,過 度 の 睡 眠不 足 か ら体 調 が 思 わ し くな く,震 えて いま した。

ボ ス トンで何 もか もうまくいか なか ったた め,急 に旅 立 ち,薬 の ことを完 全 に忘れ ていたので した。

わた しはテ ンプルス クウェアホテ ルのレス トランで 憔 悸 して座 って い ました。

す ると一 組の 男女 がわた しのテ ーブルに向 か って 来 るのが 目に入 りました。 『大丈 夫です か,お 若 い方』と女 性 が尋 ね ました。 わた しは立 ち上 が ると,激 する気持 ちを抑 え切 れず に泣 き出 しました。 そして事 の次 第 を話 し,そ の ときに窮地 に立 た されて い ることを打 ち明 け ました。二 人はわた しの支離 滅 裂 な話 に じっと耳を傾 け,話 が 終 わ ると 自分 たち に任 せるように と言 って くれ ました 。二 人は レス トランの 支配 人 と話 してか ら,わ た しに5日間何でも好きな ものを食べていいと言ってくれ ま した。それか らホテルのフロン トへ 連 れ て行 って,5日 分 の部 屋を予約 して くれ ました。 それか ら,わ たしを車 に乗 せ て医者 の ところへ 行 き,必要 な薬 を手 配 して くれ ました。 それは ほんとうに,わ た しが気 を確 かに持 ち,慰め を得 るための命綱 で した。

快 復 に向 かい,体 力 をつ けて いる間,わた しは タバ ナ クルの オル ガ ンリサ イタルを聴 きに行 くのを 日課 としてい ました。繊 細 な音 か ら力 強 い 大音 響 まで,オ ルガ ンが 奏 で る天 上 の 音色 はわ た しの知って いる音 色 の中 で も最 も崇 高 な もの です 。 わた しは タバ ナクルのオル ガ ンと合唱団 のアルバ ムとテー プを手 に入 れ ました。 それ は気 落 ち した ときにいつ も心 を和 ませ,支 える もの とな りました。

ホ テル滞 在 の最 後 の 日にな りました 。わた しは旅 を続 け ることに しました。鍵を返 そ うとした ところ,あ の夫 婦か らのメ ッセー ジが フロ ントに置か れ てい ました。 『あなたの 人生 とい う旅路 で だれ か悩 み を持 つ人 に出 会 った ら,心 か らの思 いや りを示 して ください。 それ をわたした ちへ のお返 しとして ください。』わたしはそ れ を励 み にして生 きて きました。い え,そ れ以 上 に,助 け を必 要 としてい る人を積 極 的 に探 し求め ることを決 意した ので した。

"Repay us by showing gentle kindness to some other troubled soul along your road."

教 会 に感 謝 してい ます 。 この ようなことが 聖典 の中 で言 われ てい る『終 わ りの時 』なのか どうか知 りませ んが,わ た しが確 かに知 って いることは,あ なたがたの教 会 の二 人 の 会 員 はわ た しが 助 け を必 要 とした ときに聖 徒 であ った とい うことで す。 この経 験 をお知 らせ した いと思って この手 紙 を書き ました。」

何 とす ば らしい思い や りの模 範 で しょうか。

最 高の思 いや りが 隅 々まで行 き渡 っている個 人経 営 の看 護 施設 が あ りました。

経 営 者はエ ドナ・ヒ ュー レットといい ました。 余 生 を彼 女 の世 話 を受 けて過 ご したい と入 所 の順 番 を待 ってい る人 たちがいるほどで した。 彼女 は天使 のような人だ ったか らで す 。 エ ドナは患 者全 員 の髪 を洗 い,整 えて あげ る人 で した 。年老い た人の体 を洗 い,輝 くばか りに清 潔な衣服 を着せ てい ました。

わた しは,か つて管 理 して いたワー ドの 未 亡 人 を訪 れ る間 に,次 第 にエ ドナの施 設 を訪 問す るようにな りました。彼女 は陽気 な笑みで わた しを迎える と,居間 に案 内 して くれ ました。そこに は大 勢の 入所 者 が腰 か けて い ました。 いつ も最初 に話 し相 手 にな らなければ ならないの は,最 年 長 の ジニ ー・バ ー トで した。

彼 女 は102歳 で亡 くな りました。 彼女 はわ た しが生 まれ た ときか らわた しと家 族を知 っていました。

あ るとき,ジ ニ ーは ひどい スコッ トラン ドな まりで こ う尋 ね ま した。「ト ミー,最 近エ ジンバ ラへ 行 ったかい。」

わ た しは答 えました。「え え,少 し前に行 きました よ。」

「それ はよかった」と 彼 女は答 えました。

ジニーは静 かに夢 を見 てい るように老いた 目を閉 じてい ました。 それか ら真顔になって言い ました。「わたしは葬 式の 費用 を現 金で前 払 い してあ るんだ よ。あなた はわ た しの葬 式 で,テ ニ ソンの 『浅 瀬を越 えて』を暗唱 することになってい るからね。今,そ れを聞かせ て くれ るか い。」

Crossing the Bar’ by Tennyson

全 員 の 目が わた しに 向け られた ように感 じました。 事実 そ の とお りで した。 わた しは大 きく息 を吸 ってか ら始め ました。


日 が沈 ん で,宵 の星 が 現れ ると,
一つの叫 び声 がわた しを呼ぶ。
わた しが 海 に乗 り出 す とき,
浅 瀬 はうめき声 を上げな い。」ll

Sunset and evening star,
And one clear call for me!
And may there be no moaning of the bar,
When I put out to sea.

ジ ニ ーの ほ ほ えみ は 愛 が 込 め られ,天 国 を思 わせ るもので した。 それ か らこう言 うのです 。「ト ミー,と て もよか ったわ。で も,葬 式 までに もう少 し練 習 しとくんだね。」わた しはそ うしました。

わ た した ちが 地 上 の使 命 を果 た している 間の いず れ か の 時 期 に,足 もとがふ らつ き,ほ ほえみ が弱 々 しくな り,病の苦 痛 を覚 え る時が 来 ます 。

言 い換 えれ ば,夏 の盛 りが あせ,秋 が 近 づ き,冬 の 寒 さが や って来 て,死 と呼 ぶ経 験を迎え るのです 。 これ はあ らゆる人が経験 す るものです。 足 もとが おぼつ かな くなる老 い たときにそれ は来 ます。 その召喚状 は人 生 の半 ばに 達 してい な い人 に お届 け られ ることもあれ ば,幼 子 の笑 い声を沈黙 させ ることもあ ります 。

息 子や娘,兄 弟,姉 妹,父 親,あ るいは大 切 な友 人 に別 れ を告 げて悲 嘆 に暮れ る光 景は世 界 中で毎 日起 きてい ます。
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(次回に続きます。)

このお話は、末日聖徒イエス・キリスト教会機関誌リアホナ/2001年7月 号からご紹介しました。